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小学校なるもの №2

 マルスが小学校に入って5年が経過した。現在マルスたちは小学校6年生である。クラス替えは幾度となくあったが、全てにおいてマルスと真と華凛は毎回同じクラスであった。そして勉強の方だが、マルスは現在すべてのテストで100点をとっている。国語なる教科は、本好きなマルスにとってはお手の物で、算数も元々異世界である程度の計算を行ってきて、どちらかと言うと優れた頭脳を持っていたマルスにとっては楽勝であった。そして、理科であるが、案の定マルスは理かと言う科目に最も興味関心を持ち、真面目に取り組んだと言える。


 火が燃えるためには酸素と言う気体が必要になる。これがわかるだけで、マルスの中の魔法は大きく発展したと言える。今までは、火魔法は火を発生させたら、常に魔力を与え続けて火を維持しなければいけなかったからである。しかし、酸素があることによって燃えると言う事は、維持が現状に比べて半分以下の魔力で済むことになる。それは何故か、まず火を維持する条件は燃える物、そして酸素の存在が不可欠である。燃える物に関しては、少量の魔力で済むが、今まではその火の維持に莫大な量の魔力が必要であった。分かりやすく数値化するのであれば、燃える物に対して魔力を10、火の維持に100の魔力を使っていたのが今までである。しかし、今のマルスが同じことをしようとしても、酸素によって火が燃える事を知っているので、火の維持に10、酸素を集めるのには、空気中の酸素を動かすだけなので20程度の魔力で済む。つまり、これだけで火魔法の魔力消費がほぼ1/3で済むことになる。これが、小学校の時点で判明したのだ、今後さらなる魔法の発展が見込める事をマルスは確信していた。


(この世界は素晴らしい所なのじゃ。わしは、今後がさらに楽しみになったぞ)


 さて、残った教科の社会であるが、これに対しても理科ほどではないが、マルスは興味を示した。現在は小学校なのであまり詳しい内容ではないが、歴史と言う授業は戦術に関する事、そして過去の偉人の発見について学べるのである。アレイヤードの世界にないいくつもの事柄がマルスの中で発見できた。マルスが好きな教科の第1位は理科で、第2位が社会であると言える。


 勉強面はこんな感じで、次は交友関係である。まずマルス自体は最初の頃はしゃべり方が変って事で有名になったが、皆が慣れてしまえば、それからは平穏な生活が待っていた。まず、真は相変わらずマルスと仲が良く、現状では親友と言っても差支えないだろう。そして、華凛であるが相変わらずマルスと仲良くしており、そしてマルスラブは現状維持……否、むしろ加速していた。マルス自体自らの容姿は普通程度と考えているのに、クラスの美少女と言えばで真っ先に名前が上がる華凛がマルスの事を好きなのは未だに謎であった。そして、1年の時とは違い、現在ではこの3人に2年の時から一緒のクラスになった高志(たかし)美亜(みあ)を加えた5人でいつもつるんでいた。


□■◆◆■□


「なぁ、曇ー、この公式ってどういう意味なんだ?」


 現在は昼休み。次の授業の算数のテストの勉強をしているのは、マルスの親友とも言える真である。


「む?台形の面積の公式じゃな。公式としては(上底+下底)×高さ÷2と言うのが公式じゃな。これは、同じ形の台形をもう1つあると仮定して、上下を反転させたものをくっつけて、台形を平行四辺形と考えて、その平行四辺形の面積を求めて半分にしたものが台形の面積になるという事を利用した公式じゃ」


「なるほどなー、やっぱ曇頭良いなー。サンキュー、助かったぜ」


「気にするでない。それにわしは頭が良いわけじゃないぞ?むしろ普通だと思うのじゃが……」


「くもりんは自覚が無いだけで普通に頭が良いと思うよ?うちやたかみんが知る限り全部のテストで満点だったよね?」


 マルスのボヤキに即座に突っ込みを入れるのは美亜であった。彼女もマルスほどではないが、変わった人間である。彼女が付けるあだ名はどこか変わっている。まず、マルス事曇の事はくもりん、華凛はかーちゃん、真はしーくん、高志はたかみんである。


「美亜ちゃん……曇君、今まであったテストと言えるもの全部で満点だよ……はぁ」


「白鷺君は相変わらずだね」


「む?なんだか疎外感を感じるのは気のせいじゃろうか?」


「「「「(なんであんなに頭が良いのにこんなに物事に疎いんだろう……)」」」」


 相変わらず平和な5人であった。そんなこんなで話していると、チャイムが昼休みの終了を告げた。そして自分の席に着く5人、それから5時間目の算数の授業が始まった。


□■◆◆■□


 この日の全部の授業が終わってからいつものように5人で帰ろうとしたところ、いつもと少し違う光景がそこに広がっていた。教室の出口を出ようとしたところ、その出口を同じクラスのガキ大将的な存在の男子生徒3人に塞がれたからである。


「のう、出られないのだがどいて貰えないかの?」


「出られないようにしてるんだから出られなくて当たり前だろう?なぁ、白鷺、お前調子乗っていないか?全部のテストで100点取って、華凛さんと仲が良いからって調子に乗ってるんじゃねぇぞ?」


 やけに喧嘩腰なガキ大将。


「ふむん、別に調子には乗っていないと思うがのー。むしろ、わしからするといつもと同じ態度のつもりだがの」


「はっ、どうだか。ちょっとお仕置きしないとだな。着いて来いよ」


「ふむ……皆、すぐ戻ってくるから待っててくれないかの?」


「く、曇君……大丈夫なの?」


 真っ先に華凛が声を掛ける。他の3人はと言うと少し顔色が青ざめていた。


「華凛よ、わしは今まで何か危ない目にあったかえ?大丈夫じゃ。安心して待っておれ。あやつらは少しおいたがすぎたようじゃの」


「うん……ちゃんと待ってるね?」


「それじゃあの」


 そう皆に言い残してマルスはガキ大将達の後を追いかけた。残った華凛以外の3人は口をポカーンと開けて呆けていた。


 連れてこられたのは体育館の裏側。この場所は常日頃から生徒の通りが少なく、一部の生徒の溜まり場になっていたのだ。


「さてと……白鷺ー、覚悟しろよ?」


 そう言って殴り掛かってくるガキ大将C、ガキ大将AとBは笑みを浮かべながら状況を見ている。しかし、アレイヤードの危険な世界で人生を全うしたマルスからして、ガキ大将の攻撃はあまりにも遅く、隙だらけであった。殴ってくる拳を片手で掴む。そしてこっそりと掛けていた身体強化の無属性魔法で拳を握る。おおよそ20%程度でガキ大将Cは悲鳴をあげ始める。それを見ていたガキ大将AとBは状況を察したのか、二人して殴り掛かってくる。掴んでいたガキ大将Cを地面に叩きつけて、同じように殴りかかって来た2つの拳を片手でキャッチして再び握りつぶしに掛かる。ガキ大将BはCと同じく20%で悲鳴をあげたが、ガキ大将Aは表情を歪めるだけで悲鳴をあげなかった。それどころか、空いたもう片方の手で殴りかかってくる始末だった。状況をいち早く確認したマルスは反対の手に持っていたガキ大将を盾にするようにして動かす。目論み通りにガキ大将Aの拳はガキ大将Bに直撃する。それで、ガキ大将Bは完全に無抵抗になった。自らの拳が仲間を傷付けたことによって、頭に血が上ったガキ大将Aは幾度となくマルスに殴り掛かるが、全てを躱される。


「ふむ、早く戻らないと皆に心配をかけるな……どれ……」


 そう呟いたマルスはまず、ガキ大将Aに足払いを掛ける。それを躱しきれるわけがなく、音を立ててガキ大将Aが地面に転んだ。状況を把握したガキ大将Aは顔を真っ青にした。それに追撃を掛けるように、マルスは蹴りのモーションに入る。それを見たガキ大将Aはほんのり涙を浮かべ、泣き叫びながら、股間から液体を垂れ流した。マルス自身手を出すのは避けたかったので、ガキ大将Aの鼻先5mm程で蹴りを止め、その場を後にした。


 次の日、マルスは担任の先生に呼び出されるも、マルス自身特に手をあげて外傷を与えたわけでもなく、むしろガキ大将側がマルスに喧嘩をふっかけた事をマルスから聞いて、尚且つその日の放課後にガキ大将ABCが、マルスに自分から仕掛けたことが複数の生徒から証言があったことによって、先生は軽く頭を抱えて、マルスに対して謝罪をした。そのさらに次の日、ガキ大将3人が呼び出されて先生にこっぴどく叱られたのは言うまでもなかった。

最後まで読んで頂きありがとうございます!


感想に関してですが、全て目を通しています。


そして、誤字、ミスの指摘ありがとうございました!

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