小学校なるもの
そろそろストックが・・・まぁ、いいや(笑)
マルスが華凛に婚約宣言されて2年が経過した。現在マルスと華凛の年は6歳で今年中に7歳になる予定だ。つまりは、幼稚園から小学校に入学したのであった。ちなみに、華凛の誕生日が6月15日、マルスが6月22日である。
小学校に入ると、まず関わる人の数が一気に激増した。今まで幼稚園と言う場所は1クラスに同い年ぐらいの子供10人程度であったが、今いる小学校なる場所は1クラス30人もいる。一気に3倍である。それに加えてもう1つクラスが存在して、1つの学年で計約60人の生徒がいる。つまりは単純計算でこの小学校なる場所には約360人の子供がいる事になる。次に小学校に入って教科書を貰って驚いた。まず、教育の水準がアレイヤードの世界と比べるととんでもない程、それこそドラゴンとワイバーン程違う事である。アレイヤードの世界では、教育と言う物はごく一部の貴族や王族が行う事で、都度の人間が教育と言う物を受けた事が無かった。そしてこの世界におけるこの小学校なるものが義務教育と言う一定の年齢になると受ける事が義務付けられている教育であるという事だ。これをマルスが知った時は今までにない程の驚愕を感じたのは言うまでもない。
さて、現在はと言うと入学式が終わって自己紹介をしているところである。ちなみに今は華凛がやっている。
「わ、私は黒羽華凛と言います。好きな物はぬいぐるみです。よろしくお願いします」
華凛が自己紹介を終えると今まで以上に大きな拍手が起きた。それも、華凛の容姿が影響していると考えられる。まず、髪型は背中の肩甲骨の少し下程まで延ばされた艶やかな漆黒のストレートヘアー、そしてキリッとした目、そして淡いピンク色の唇。身内贔屓なしに美人である。幼い頃から一緒であったマルスは特に考えてもいなかったが、クラスで一番の美少女は華凛だとクラスのほぼ全員が同意するであろう。
華凛が自己紹介を終えてからしばらくするとマルスの番がやって来た。
「わしは白鷺曇。好きな物は本じゃ。どうぞよしなに」
マルスが自己紹介を終えるとクラス全員が首をかしげた。まず、よしなにと言う言葉の意味が把握できていなかった。唯一華凛が意味を理解していたらしく、マルスに向けて笑みを浮かべていた。それからようやくちらほらと幾人かの生徒が拍手を初めて次の人へと順番が移った。
ちなみにマルスの容姿はと言うと黒髪短髪に黒い瞳、全体的に少しほっそりとした落ち着いた雰囲気を醸しだす少年である。そして、年不相応のしゃべり方から大人っぽく見られることが多かった。現に本人は知らないが、母親の美奈や剛も幾度となく『この子は本当に子供なのか?』と感じる事があり、美奈は何度も華凛の母親に相談したくらいである。
さて、自己紹介が終わるとその日は解散となった。そして1人準備をしていると話しかけてくる人がいた。その人は華凛ではなくクラスの男の子だった。
「なぁなぁ、なんでお前はそんな変なしゃべり方なの?」
「ふむ、その質問には明確な答えが存在しないの。わしがわし故にこのしゃべり方なのじゃ。まだお主には難しいじゃろうけど、そのうち意味が分かる時が来るの。その時を楽しみにするのじゃ」
「ぷはは、相変わらず変なしゃべり方!名前曇って言ったよな?俺は真、渡辺 真だ。よろしくな?」
「うむ、よろしく頼む」
真は、マルスのしゃべり方を笑った後握手をしてきた。マルスはこの時内心変わり者もいるものだなーと考えていた。マルスのしゃべり方は本人も認識済みだが、変なしゃべり方である。そんな変なしゃべり方のマルス相手に話しかけてくる同い年の子供なんて慣れている華凛だけだと思っていたが、その思惑は外れてしまった。
(ちと予想外かの。これからの小学校生活上手く行くといいがのー。しかし、先程教科書なるものを読んでみたが、どうも理科なるものが魔法に使えそうな知識が豊富そうじゃ。うむ、わしは好きになれそうじゃ)
「ん?曇ボーっとしてどうした?なぁ、一緒に帰ろうぜ?」
「む?悪いの、少し考え事をしてたんじゃ。構わぬ。帰ろうかの」
話が纏まっていざ帰ろうとしたら再びマルスは声を掛けられた。今度は良く知る声にだ。
「むー、曇君1人先に帰るなんてずるいよ?私も一緒に行く~」
「すまんの、華凛は皆に話し掛けられておるから、もうしばらく話し込むと考えておったのじゃ。ふむ、真よ、華凛も一緒になるが構わんかの?」
「か、華凛さん!だ、大丈夫です!」
どこか緊張しながら答える真。そんな真を見たマルスはと言うとどうでも良い事を考えていた。
(そう言えば、この世界に来て料理と言う物のすごさを知ったのー。アレイヤードとは大違いじゃ。そして小学校から始まる『給食』なる料理が出てくるので楽しみじゃの。うむ、今後が楽しみじゃ)
「真君って言うんだ、よろしくね?それと、私の事は華凛って気軽に呼んでね?」
「ひ、ひゃい。華凛しゃん……よ、よろしくお願いします」
「んー、私的には華凛って呼んで欲しいんだけど……まぁ、いいや。んじゃいこっか?」
「うむ、いくかの」
こうしてマルス、華凛、真の3人は帰路についた。
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