気が付けば5年
最近寝ても3時間で目が覚めます。なんでだろう?
今日はぐっすり寝れるといいな!
マルス事曇が生まれて5年が経った。さてこの辺で今まで分かったことを纏めようと思う。
まず、この世界はアレイヤードの世界ではなく、地球と言う世界であった。その中の日本と言う国に生まれ変わった。そして、この地球はアレイヤードの世界と違い人間しか種族が存在しなかった。亜人と呼ばれるエルフや獣人、ドワーフは存在すらしなかった。そして、最も重要な事でもあるのであるが、この世界には魔法が存在しなかった。何故魔法が存在しないのかはわからないが、この世界は魔法の代わりに科学と言う魔法に近い存在の物が発展していた。ちなみに、これまた原因は不明であるが、マルスはこの世界において魔法を使う事が出来る事を両親が寝ているときに確認することが出来た。
以上の事が今まで生活してきてわかったことである。ちなみに言葉は3歳頃におおよそは理解できた。しかし、この世界の漢字なる文字は非常に難しく、マルスは本を読みたかったのだが、多くの本を読みたくても読むことが出来なかった。なので、現状マルスが読むことが出来るのは絵本や児童書、そして図鑑等の写真が多い本である。
そして家族であるが、父親の白鷺 剛、母親の白鷺 美奈とマルス(曇)と妹の白鷺 空の4人家族であった。そして、美奈の友達の子供である黒羽 華凛と言う名の幼馴染?なるものが存在している事がわかった。なんでも、母親曰く華凛はマルスが生まれる1週間前に生まれたらしい。多分であるが今後多く関わる事になると考えられる。しかし、マルスからすれば幼馴染などどうでも良かった。
さて、目的の1つである魔法の知識を学ぶことであるが、どうやらこの地球には学校なるものが存在して、そこで知識を学ぶことが出来るらしい。しかも、知識の段階によって小学校、中学校、高等学校、大学と言う4段階に分かれているらしい。知的好奇心が高いマルスとしては非常に有難い事であった。マルスは5歳にして大学進学を考えていたのであった。また、マルスは4歳の頃、家を両親が半日ほど留守にすることがあった。その時、マルスは再び異世界に干渉する魔方陣を描き魔法を発動した。これでいつ死んでも再びアレイヤードの世界へと戻ることが出来る。
「これで準備は終わったかの、後はこの世界で知識を学ぶだけじゃの。ふむ、今後が楽しみじゃな」
□■◆◆■□
「曇君ー、あーそーぼー」
その日、マルスに来客があった。近所の幼馴染事、華凛である。
「華凛ちゃんは相変わらず元気ねー、ちょっと待っててねー。曇ー、華凛ちゃんがきたわよー」
「母様、そう言わずともわしにも聞こえていましたよ」
「ぷぷっ、相変わらず曇君は変なしゃべり方だよね!空ちゃんは?」
「む、そう言われようともわしはわしじゃ。空は今はぐっすり寝ておるよ。さて、行くかのー」
「そっかー、とりあえず、今日こそおままごとだよ?」
華凛に引かれながらマルスは家の近くにある公園へと出かけた。ちなみにマルスと華凛は週4~7程度のペースで遊んでいる。幼稚園があろうがなかろうが関係なく、大体は華凛、マルス、空の3人で遊んでいる。しかし、たまに今回のように2人で遊ぶこともある。
公園へと着いたマルスと華凛は早速御ままごとを始める。ちなみに、設定としてはほとんどが、マルスと華凛の新婚生活を想定したものである。当のマルスはと言うと、毎度適当に流しながら頭の中ではいつも別の事を考えていた。しかし、今日の御ままごとはいつもと同じ様にはいかなかった。それは華凛が行った質問が原因である。
「ねぇ、曇君。曇君は好きな人っているの?」
「む?慕っている人か……わしには特におらんの」
「慕っている?」
「好意を持つ、つまりは先程華凛が言ったように好きな人という事じゃ」
「へー、そんな言葉があるんだねー。曇君は難しい言葉いっぱい知っているよねー……私はね、好きな人いるよ?」
華凛はいつもと元気ではきはきした感じではなくどこかもどかしそうにモジモジとしながら言った。
「ふむ、華凛に慕っている人がいるとは意外だな。流石は女の子と言ったところか?」
「うん、そのね、その好きな人ってのが曇君なの。曇君は華凛の事どう思ってるの?」
「そうか、わしのことが……わしはそういう事は疎くて尚且つ考えた事が無いからの。なんとも言えんかの」
務めて平静を装ってマルスは答えたが内心は焦っていた。元々アレイヤードの世界においてもマルスは生涯独り身だった。自らの持ちうる全ての時間を魔法の研究に注いていたからである。しかし、そんなマルスであっても求婚が無かったわけではない。だが、マルスは女性と言う物に対して興味関心を抱いていなかったのだ。これこそ生涯独り身だった原因でもある。マルス自身アレイヤードの世界では魔法に関する研究に没頭していたわけであるが、現在のこの地球と言う世界に魔法は存在しない。つまり、魔法の研究を行おうにもほとんど行う事が出来ないのであった。さて、そんな状態であれば他の事にも興味関心を示すのは当然の流れであり、この時を境にマルスは初めて女性と言う生き物に対して興味関心を向ける事になったのであった。
「そっか、でも曇君に好きな人がいないのかー……まだ大丈夫だよね。ねぇ、曇君?曇君さえよければ将来私を曇君の御嫁さんにして?」
「ふむ……考えておくかのー」
「やったーーー!約束だよ?これからずっと一緒だよ?」
その時華凛が浮かべた笑みはとても可愛らしい笑みであった。
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