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転生

 マルスは目を覚まして辺りを見回す。首の辺りが動かしにくいがなんとか辺りを確認することに成功する。そこは真っ暗な空間であった。そして、何と言っても狭いのである。手や足、首が動かしにくい程に狭いのである。大事な事なので2回言いました。


(ふむ……判断材料が足りないから何とも言えんの。とりあえず、寝るとするか)


 その思考と共にマルスは再び夢の世界へと旅立った。


□■◆◆■□


 マルスは再び目を覚ます。しかし、どれほど時間が経過したかはわからないが一向にこの暗い空間を出ることが出来ない。そして、この暗い空間にいる間マルスは暇で仕方なかった。体を動かすことが出来ない、そして、辺りは真っ暗闇。こんな状況で長い時間を過ごすと考えるとどれ程の人間が耐えることが出来るであろうか?多くの人間は発狂して狂ってしまうレベルであるだろう。


 そんなマルスにも変化が訪れた。そうマルス自身が移動しているのである。原因は不明であったが、久方ぶりに動けたことにマルスは喜びを隠せなかった。


(ようやく動くことが出来るのか……可能性としてはいくつか考えられるのだが……さて、どうなっておるのかのー)


 そんな事を内心で考えながらマルスは流れに身を任せて動いていた。しばらくすると一筋の光を感じた。


(ようやく外に出られるのか……どれほどこの状況を望んだことか)


 そしてマルスは外へと出た。そこに広がっていたのは、たくさんの金属の塊らしき物体が置いてある白い壁と眩しい天井のある空間であった。それを見たマルスは確信する。どうやら、自らが行った最後の魔法は上手く発動したのだと。


(どうやら最もわしが望む可能性だったようだ。ここはアレイヤードの世界ではない世界、つまりは異世界という事か……ふむ、今後が楽しみじゃのー)


 マルスがそんな事を考えると突如背後から衝撃を受ける。


「グボッ、ゲホゲホ」


 マルスは突如襲ってきたその衝撃にむせてしまう。この時気が付いた、マルスは思考に熱中になって呼吸する事を忘れていたのであった。


(わしとしたことが……待てよ、衝撃があったって事は周囲に誰かいるのかの?ふむ、話が通じるか試してみようかの)


「おぎゃー、おぎゃーぎゃ?おぎゃーおぎゃーおぎゃ」(誰か、おらんのかの?いたら返事を頼む)


(ぬ、ぬあんじゃこりゃあああああ、わしはしゃべることが出来なくなったのかの?良く考えればわしは何故空中に浮いているのだ?そうか、この背中と腰に感じるのは誰かの手なのか!つまり、ここには誰か人間、もしくは獣人やエルフ等の亜人がいる)


「おぎゃー、おぎゃーぎゃー」(答えてくれ、誰もおらんのかの?)


「――――――――――――」


 この時マルスは確かに耳にした。聞いたことの無い言語であるが、確かに人が話す言葉を聞いた。そして、そのことに安堵したのか、ようやく周りの状況を呑み込むことが出来た。


 まず、マルスは自らが発動させた異世界へと干渉する魔法により記憶を持ったまま転生することに成功した。そして、この世界はアレイヤードではない別の世界であることが確定している。しかも、どうやら魔法が存在しない世界であった。


(ふむ、焦ってばかりではダメじゃの。一度冷静になって目的を確認しよう。わしの目的は大きく分けて2つじゃの。1つはこの世界で魔法に使えそうな知識を学ぶことじゃの。そしてもう一つはアレイヤードの世界へと再び帰還する事じゃな)


 そんな事を考えながら、マルス・イシュラム事、白鷺(しろさぎ) (くもり)は誕生した。


□■◆SIDE:????◆■□


 私は今分別室にいる。そう、私はもうすぐ自らの子供を産むことになっている。


 お腹の中の子供は非常に大人しかった。1日だけやたら動き回っていたけれども、その日を除いて非常に大人しい子供であった。1週間ほど前、2軒隣の家に住む友達も女の子を出産したらしいんだけど、その子はどうもお腹の中で暴れまわっていたらしく、私のお腹の中の子供があまりにも動かない事に友達は懸念を抱いていたみたいだけど、私は大丈夫だと信じている。きっと元気な子供が生まれてくると母親が信じなくて誰が信じると言うの?


 そしてしばらくすると私は大きな陣痛に襲われて、痛みを感じた。それと同時にお腹の中の子供が段々と出てくることも感じた。


(あぁ、生まれるのね)


 そんな事を考えながらしばらくすると生まれたらしい。でも、なんだか随分違う。友達の話だと生まれてすぐに赤ちゃんが産声を上げたらしいのだけど、いつまでたっても聞こえてこない。私はその状況に絶望した。まさか、私の子供はもう死んでいるの?死産だったの?しかし、私はようやく待望の声を聞いた。どうやら何か詰まっていたらしく、背中を一度叩くと泣き始めたのであった。


「グボッ、ゲホゲホ」


「おぎゃー、おぎゃーぎゃ?おぎゃーおぎゃーおぎゃ」


「ようやく出会えたね、あなたの名前は白鷺曇よ」


 少し変な泣声だけど問題ないわよね?ようやく生まれた、私のかわいい赤ちゃん、名前は男の子だったら夫が付けてくれた曇、女の子だったら私の空って名前を考えてたけど、今回は夫が考えてくれた名前になったわね。次回があれば、私の考えた空って名前を付けてあげるんだからね!

最後まで読んで頂きありがとうございます!

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