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発動体No.1

遅くなって申し訳ないです。

 マルスと華凜の魔力測定と属性調査から数日が経過した。マルスも華凜も古代魔法を扱っていることからすっかり忘れていたが、この時代では発動体のを用いた魔法が普通である。そのため、マルスも華凛も発動体持っていないことから、両親に発動体を買ってくるように言われた。ちなみに、ここで気付いた方もいるかと思うが、両親やリザはマルスと華凛が古代魔法を使えることを知らない状態である。そのため現在、マルスと華凛、それに家庭教師のリザを加えた3人で王都にて発動体を探すために散策していた。


「リザ先生、発動体って何で必要なんですか?私もマルスも特にそういうのが無くても魔法を使えるんですが……」


「へ?ちょっと待って、カリンちゃんもマルス君も魔法使えるんですか?」


 ふと華凛が漏らした言葉に驚きを示すリザ。そして、華凛はと言うと思わず小さな声で「あっ」と言ってしまっていた。


 現代魔法のことを知ったマルスは華凛に対して魔法が使えることに関することの口止めを行っていたのだ。その理由は、5歳の子供が古代魔法を扱えることが世間に知られると後々の人生が大幅に狂わされ、尚且つめんどくさいものになるためである。


「うむ、わしも華凛も魔法は使えるのじゃ。現代で言う古代魔法かの?そのため、先生や両親のように発動体を必要としていないのじゃ。しかしながら、わしとしてはこの機会に発動体を研究して自作したいと考えておるの。そしてリザ先生、わしと華凜が古代魔法を使えることは両親に内緒にして欲しいのじゃ」


「黙っておく分には問題ないですが……何故黙っておかないといけないのか教えてもらっても良いですか?」


 諦めて事情を話すマルスに対して疑問を投げかけるリザ。彼女自身、優秀であるが故に古代魔法と言う物に対して興味関心を大いに抱いている。しかし、それ以上に古代魔法を使えるのに何故黙っているかの方が気になってしまったのだ。


「ふむ……説明すれば長くなるのじゃが、簡単に言えばわしも華凛も自由でいたいのじゃ。ただでさえ古代魔法を自由に扱える稀少な存在、しかも子供。これだけで国に拘束される未来しか見えないのじゃ。それにわしと華凜の家は貴族、将来自由に冒険者として生活したいわしと華凜からすると、この国と家は枷にしかならないのじゃ。両親がいなくなることは寂しくは感じるのじゃ。でも、やはり自由を知ってしまうと自由と言う物を欲してしまうのじゃ」


 途中からマルスはやけに傍観しているようにリザは感じた。目の前にいる5歳と少しの子供が傍観している、傍から見れば違和感でしかない光景である。しかし、妙に納得させられる話でもあった。


「しっかりとした理由もあるのですね……それに、マルス君は本当に5歳なのか疑わしくなってきました」


「リザ先生、わしは生まれて5年しか経過しておらん正真正銘の5歳児じゃぞ?」


「……聞いても無駄みたいですね」


 何かを感じ取ったリザ。しかし、それが何かわからないままリザとマルスと華凜の発動体の購入が始まった。


□■◆◆■□


 結果から言おう、杖の発動体を1度購入して自らが作った亜空間の中でバラした結果あまりにも中身が単純すぎて終始苦笑いのマルスであった。華凜は中を見てわけのわからない模様があったので興味深そうに覗いてた。


「ふむ……期待はしていたのじゃが見事に裏切られたの。この程度であれば3分程度で同じものを作れるの……いや、3分じゃ過剰じゃな」


「へ?マルスはこの模様の事がわかるの?」


 マルスの呟きを聞いた華凛が中にあった模様と言う名の描写魔法術式についてマルスに尋ねる。ちなみに、中に存在した描写魔法術式は、『充填』、『登録』、『選出』、『発動』の4つを意味する術式である。


 つまり、発動体とは魔力を『充填』することによって予め『登録』された魔法を『選出』し『発動』するための道具である。


「華凜よ、これは古代魔法の一種じゃ。正確には描写魔法の魔法術式じゃの。華凜に馴染のある言葉を使うのであれば魔法陣じゃの」


「ねね、マルスが曇の時に最後に使った古代魔法って魔方陣使ってたよね?あれと同じ種類の魔法?」


「そうじゃの。普段わしと華凜が使っているのは古代魔法の正確には詠唱魔法と呼ばれる物じゃの。そして、この発動体や転生の際に使ったのが、もう1つの古代魔法の描写魔法と呼ばれる物じゃ」


「へー……でも、私は詠唱魔法の方が好きかなー……描写魔法って文字覚えるの大変そう……」


「む?華凜よ、描写魔法はわしが地球に転生して知ったことなのじゃが、基本的に英語の組み合わせじゃぞ?この中には充填、登録、選出、発動を意味する英語があるのじゃ」


「へ!?」


 マルスの放った衝撃発言に固まる華凜。傍から見ればミミズが這ったように見える描写魔法術式の文字であるが、英語を意識しながら華凜が見ると先ほどマルスが言った言葉を表す英語の『Charge』、『Register』、『Choice』、『Exercise』の4文字を読み取ることが出来、他にも見た事のある英単語が見受けられた。ちなみに、正確には以下のような文章が円形に書かれてある。


Detect-Charge-Connect-<OK:Register-NO:Fairule>-Chain-<OK:Choice-NO:Cancel>-Link-Exercise‐End


 つまり、この発動体内の詳しい構造は、魔力を感知し、それを充填。規定量に達していれば登録された魔法から選出、達していなければ失敗する。そして、成功すれば最終に発動すると言った流れである。


「え、じゃあこんなの何てどう?」


 そう言って華凜は術式を書きだす。


Detect-Charge-<OK:Change-NO:Fairule>-<OK:Long-NO:Cancel>-Link-Exercise-End


「これを剣に書き込めば魔力を流せば刃が伸び縮みする剣が作れるんじゃないの?」


「ふむ、発想自体はわしが考えもしなかった術式じゃが、これだと失敗じゃの。この術式に魔力を流せば剣全体の長さが長くなるの。華凜の術式を基にするのであればこれが正解かの」


Detect-Charge-<OK:Change-NO:Fairule>-[Blade]-<OK:Long-NO:Cancel>-Link-Exercise-End


「へー、カッコで部位を限定することが出来るのね」


「そうじゃ。詠唱魔法で出来ない事が描写魔法ではできるのじゃ。魔法とは楽しいものじゃろ?」


「うん!マルスがはまるのもわかる!発動体の案だけどね……こんなのなんてどう?」


 それから2人は発動体に関する話し合いを始めた。そして、発動体が出来た時この話し合いを後悔したのは言うまでもない。

最後まで読んで頂きありがとうございます!

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