あれから5年?№2
気分転換での投稿です。
おかしい部分があるかもしれませんが、その都度なおそうかと思います。
マルスと華凜の魔法の講習は開始から1時間と少しで今日やる予定であった全ての事柄を消化した。理由はマルスがあまりにも優秀且つ華凜がとんでもないスピードで物事を吸収・理解した故である。分かりやすく言えば、1つの質問をするとマルスがそれに対して回答し、その後その質問に関する新しい事実も交えた考察が返ってきて、その考察とマルスの答えから華凜はそれを吸収して理解して実際にやり遂げたからである。ちなみに、今日やる予定だったことは、魔力の把握とその移動である。これは、無属性魔法の身体強化の大元となる技術であり、この技術の練度で身体強化の具合も変わってくる。ちなみに、家庭教師のリザの練度を100とすると、マルスは軽く見積もっても1万、下手すれば何百万に届きそうなほどの練度である。華凜はと言うと最初の方は慣れていないのか、精々5か6程度だったが、マルスのアドバイスと実際にやることによってすぐにコツをつかみ取り、終わる頃には100とまではいかないもののリザと良い勝負をするほどにまで練度が上がった。
「はぁ……今日みっちりとする予定だった魔力の認識と移動がこうもあっさり終わってしまうなんて……」
そう言って落ち込むリザ。しかし、マルスからするとリザの教え方は非常に優れていると感じていた。過去にマルスがマルス・イシュラムとして生きていた時代の時の子供の頃の家庭教師はと言うと、リザに比べると非常に見劣りするもので、そんな家庭教師から教わりつつも大賢者と呼ばれるまでになれたのはマルスの性格と努力の賜物である。
「まぁ、まだ時間があるけど良いわね……マルス君、カリンちゃん、今日は魔力測定と属性調査の儀に参加してもらうわ」
ここで魔力測定と属性調査について説明しようと思う。
魔力測定とは文字通り魔力に関する測定を行う事である。基本的に5歳になると親や家庭教師と同伴で教会に行くことによって受けられる。方法は特殊な金属板に刻まれた魔方陣に魔力を流す事によって、現在の保有魔力を計測することが出来る。しかしながら、この計測は少々曖昧な部分があって、1,10,100,1000の最も近い値でしか表示されず、計測限界の1000を超える場合と10,100,1000の真ん中の数字、55、550の値の場合は測定不能の結果が出てくる。
属性調査とはこれも文字通りに自らが使用可能な属性の計測をすることが出来、基本的に魔力測定と同じ日に行われることが多い。所持している属性は特別な魔方陣が描かれた水晶の球で行われる。火の適性を持っていれば赤色の光、水の適性であれば青、風は緑、土は黄色、闇は黒色、光は白色の光の球体が水晶内に生じる。余談ではあるが、この水晶の魔法陣を作り上げたのはマルスだったりする。マルスが改良する以前の物は非常に曖昧な物で、実際に属性毎の魔法による球体を作り上げてそれにより所持している属性を判断する。この方法だと、魔力が少ない状態で行った場合は結果が出らず、且つ魔法の球体をイメージできない場合は魔法自体が発動しないため適性を持っていても適性を持っていないと判断される恐れがある。そんな状況を改善したマルスの発明は世界全体を大きく騒がせた。
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現在、マルス、華凜、リザは魔力測定と属性調査を行うために教会へとやって来ていた。
「うぅぅ、緊張するよぉー……」
「そうかの?まぁ、なんとかなるじゃろ」
「そうですよ、カリンちゃん。マルス君程とは言いませんが気軽に行きましょう」
そんなたわいもない会話を続けているとついにマルスたちの順番が回って来た。
「まずはわしから行くかの」
そう言いつつマルスは内心この時を楽しみにしていた。前世でのこの魔力測定と属性調査の時もマルスは楽しみながら受けていた。
「はい、次の方、名前を教えて下さい」
「マルス・シューゲンじゃ」
「それじゃあ此方の水晶と金属板に魔力をお願いします」
そう言って受付をしていた司祭服に身を包んだ40代の男性が属性調査の水晶と魔力測定のための金属板を取り出す。その2つの道具を見たマルスはマルス・イシュラムの時代を思い出していた。そんな思い出を頭の中で思い浮かべつつ2つの道具に魔力を流す。
「ふむ……マルス・シューゲンさん、属性は全属性の適性を所持しています。魔力は……測定不能ですね」
その男性の言葉を聞いた辺りは少しばかりざわめきが生じた。しかしながら、すぐさまそのざわめきは別のものへと変貌した。その原因は華凜であった。華凜もマルスと全く同じ結果が出たのであった。
「やったー!マルス、一緒だね~」
「ふむ……華凜も全属性の適性持ちじゃったか……魔法の訓練もこれで一緒に出来るの」
華凜とマルスが喜んでいる反面、家庭教師のリザは何とも言えない笑みを浮かべていた。
(なんなのこの2人……私、なんで家庭教師の仕事なんて受けたんだろう……)
なんとも言えない笑みの反面、内心家庭教師の仕事の事を後悔しているリザであった。
最後まで読んで頂きありがとうございます!