中学校なるものNo.3
0時に間に合わなかったorz
マルスが退院してからすぐ、教室は少なからずどよめきに包まれた。まず、マルスにナイフで傷つけた不良に関しては治療費や慰謝料の支払い及び少年院送り、さらに転校と言う処置がとられた。同様にもう一人のナイフを出した不良も同じ処罰になった。もう一人のマルスに最初にやられた不良は共犯ではあるが、ナイフを所持していなかったことから少年院送りは免れて転校、謹慎、慰謝料及び治療費の支払いが処罰として決定した。
そんな事がありながらも、残りの中学生活は平穏に終わった。2年生になると、高志や真、美亜も同じクラスになった。マルスからすれば、中学2年生の時が一番楽しかったと言える。修学旅行も仲の良いメンバーで班を組むことが出来たので終始楽しむことが出来ていた。
そして中学3年生であるが、ここで、真と高志とは同じクラスであったが、華凛と美亜と別々のクラスになってしまった。なんやかんやで小学校の頃からずっと同じクラスであった華凛がいないとなるとどこかさびしい一年間であった。高校に関してはマルスの頭が良いので、県内のどの高校であっても問題なく合格できるレベルであったが、華凛と同じ高校に行くと中学に入ってから決めており、2人の家から近い公立高校に2人で行くことになった。
中学での勉強だが、マルスにとって非常に有意義であった。水素による爆発、雷や台風と言った自然現象が魔法に即座に応用できる内容であった。社会については、城の形式が一番為になったと言える。戦の戦法に関しても兵糧攻めや水攻めと言った方法も為になったと言えるが、アレイヤードの世界における城塞の建築は非常に雑な物で、たまに起こる魔物の大量発生によって結構な頻度で陥落していたため、マルスにとって城の建築形式が為になったのである。
そんなマルスと華凛との関係であるが、常に良好である。かれこれ3年近く付き合っているが、特に喧嘩するわけでもなくラブラブなカップルである。ファーストキスに関しては中学校1年の頃のクリスマスに済ませていたが、未だにお互いはじめてな状態である。ちなみに、2人の間の約束で卒業したらお互いはじめてを卒業しようと言った約束まであったりもする。
最初は入院してしまう等波乱万丈な展開で始まった中学生活ではあるが、マルスにとっては有意義な3年間であった。
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現在、マルスは体育館にいた。3年間続いた中学校生活の終わりの日、つまりは卒業式である。学年全員の人間とコミュニケーションをとることは出来なかったが、3年間で話した事のある人達が周りにいた。そして、1ヶ月後にはそれぞれ違った道を歩む人であった。何人かは、マルスや華凜と同じ高校に行くであるだろうが、多くの人達は別の高校に行くことになるであろう。真と美亜は、マルスや華凜と同じ高校になるが、高志に関しては今後の進路の事も考えて工業系の学校に行くことになった。高志とは離れ離れになってしまうが、会えなくなると言うわけではないので、今後休みの日とかは一緒に遊ぶ約束をした。
そして、卒業式が終わってマルスは華凜の家へと向かう。今日、華凜の家の両親は留守らしい。
「曇、卒業おめでとう」
「そうじゃの、華凜もおめでとうなのじゃ」
「中学生活もあっという間だったね」
「じゃのー、華凜の印象に残った出来事はなんじゃ?」
「私?私はやっぱり曇の入院と修学旅行かなー」
そう言って遠い目をする華凜。入院中、両親の次に会いに来てくれたのは華凜であった。そのためか、暇な入院生活でもある程度は楽しく過ごすことが出来た。今思えばマルスにとって華凜はこの世界において掛替えの無い存在になっていた。アレイヤードの世界において魔法ばかりを研究していたマルスにとって現状は予想だに出来ない事であった。
「そうじゃの。わしも入院するとは思いもしなかったしのー……。それに修学旅行はわしも楽しかったのじゃ。あのメンバーで再びどこかに旅行にでも行きたいの」
「それには同意だね……ねぇ、曇……約束覚えてる?」
「今日のやつかの……?」
「うん、ようやくだよ……私、楽しみにしてたんだよ?」
「わしもじゃ……その、初めてだから下手かもしれぬが……」
「ううん、気にしないよ。私は曇と出来ること自体が嬉しいの……だから……来て?」
華凜のセリフと共に動く曇、そしてお互いの唇が触れ合って、体が重なってしばらくして、2人は初めての経験を終えるのであった。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
後2~4話ぐらいでアレイヤードの世界に戻る予定です。