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幕引き

初めましての方は初めまして、面識のある方はお久しぶりです?


学生生活記念にどこかの賞に応募する予定の作品です。


拙い文章ですが楽しんで頂けると有難いです。

「わしの生もこの辺で終わりかのー」


 1つのランプがほんのりと辺りを照らしている部屋の中、1人のローブを羽織った老人が呟く。


 この老人の名前はマルス・イシュラム。この世界アレイヤードにおいて大賢者と呼ばれている魔法の天才であった。マルスは生まれた頃から魔法の才能に恵まれており、その真面目な人格から魔法に関する研究に生涯を捧げて没頭した。その結果が現在の名声とも言える大賢者と言う称号だ。


 さてそんなマルスであるが、現在の年は82歳、このアレイヤードの世界の平均寿命は38.4歳である事を考えるといつ寿命が来てもおかしくない状態であった。そして、平均寿命が何故こんなにも低いのか、それにはこの世界における冒険者、奴隷、魔法、亜人等の属に言うファンタジー要素が関連している。例えば冒険者はその仕事柄、命のやり取りがどうしても身近になってしまう。そのため、低い年齢で生涯を終える人間が多く、平均寿命が下がってしまうのだ。


「ふむ、せめてもう数年ほどあれば魔法の真理に辿り着けそうなんじゃがのー……仕方がないかの。さて、わしの生涯で最後の魔法を使うとするかの。上手く発動してくれるとよいのだがの」


 こうしてマルスは残り少ない生命力を用いて地面に描かれていた魔方陣を起動する。この時マルスが用いたのは60歳頃からひそかに研究していた魔法であり、それは異世界に干渉する魔法である。


 このアレイヤードの世界には様々な魔法がある。基本的な魔法、「基本魔法」としては、テンプレとも言える火魔法、水魔法、土魔法、風魔法がある。他にも有名な所で闇魔法、光魔法が挙げられ、最後に誰でも使える無属性魔法の計7種類が魔法として挙げられる。そしてアレイヤードの全ての人間や亜人は基本魔法の内1つの属性に適合を持つのでアレイヤードの人間は2種類の魔法を最低でも扱えることになっている。ちなみに最高としては全属性の適性持ちであり、マルスは全属性の適性を所持している。


 さて現在マルスが扱っている異世界に干渉する魔法であるが、部類的には無属性魔法に部類される。この無属性魔法だが、はっきりとした物ではなく現在でも多くの謎に包まれている。無属性魔法とは前述した無属性魔法を除く6種類以外の魔法と言うのが最も広がっている定義である。つまり、無属性魔法には無限の可能性が秘められており、その可能性の1つとして異世界への干渉である。


(願わくば知識の発達した国にてしっかりとした知識を学び、再びこの世界へと戻って魔法を極めたいな)


 そんな事を考えながらマルスは魔方陣に魔力を流し魔法を起動する。


 この世界における魔法の発動方法は大きく分けて詠唱と描写の2種類存在する。


 詠唱とは、わかりやすく言えば呪文である。キーワードを言う事によってイメージをして、そのイメージを通して魔法を発動する方法である。例えば、オーソドックスな『ファイアーボール』であれば、『火の精』と『火球』と言うワードを入れる事によてイメージして魔法を放つことが出来る。そして、呪文は人それぞれである。例えを挙げるのであれば、『火の精よ、火球により対象を燃やしたまえ』や『火の精に願うは火球により対象を燃やし尽くせ』と言った感じである。キーワードさえ存在すれば自らのオリジナルの詠唱を作る事が出来る。


 描写とは、現在マルスが使ているような魔方陣を描く事による魔法の発動である。詠唱と違い描写は邪魔されにくい事が利点として挙げられる。魔方陣を書けさえすればいいので、あらかじめ魔方陣を書いた板や紙を使えば、詠唱に比べて魔法の発動を無効化される危険が減る。しかし、魔方陣はファイアーボール等の簡単な魔法であれば魔方陣を書くのもそこまで労力がかからないが、今現在マルスが使っているような複雑な魔法であればあるほど魔方陣は複雑になるという点が欠点として挙げられる。


 さて、少し話が逸れたがマルスが描いた魔方陣が発光を初めて、魔法はしっかりと発動をした。しかし、あくまでも理論上での話であって、望んだ効果が得られるのかは自らの死によって確認するしか方法が無い。そしてマルス自身そう長くない状態であった。


「後は上手く魔法が発動してくれるとよいのだがのー」


 そう部屋の中でぼやいたマルスは、ランプの光を消して眠りについた。


 それから9日後、アレイヤード最高の魔法使いと名高い大賢者マルス・イシュラムは82年の歳月と共に自らの人生の幕を下ろしたのであった。

最後まで読んで頂きありがとうございます!

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