一人ぼっちの魔女
お母様に初めて会うシルキー。
私には名前すら無かった。死産と言われていたから当然だろう。シルキーと言う名付けてくれたのは、乳母のモルネが、可愛い名前をとシルキーと言う名前付けてくれた。1歳で、屋敷の中で働く侍女や執事、コック長や出入りする貴族の名前や顔も1度見たり声を聞けば覚えた。3歳からは、大人顔負けの話し方で屋敷にある書物や魔導書を全て読み切り覚えてしまっていた。
「お茶の時間でございます」
ガシャンと乱暴に銀のトレーが机に置かれると、カップに入ったミルクが零れていた。気にすることなく私はカップに口をつける。
「シルキーお嬢様!」
ポタポタと、口から血が垂れていて、乳母のモルネが慌てて医者をと侍女に指示を出すが誰1人動こうとしなかった。見て見ぬふりか、笑ってる者もいた。
「これくらい大丈夫。モルネありがとう」
シルキーは、自分の魔力で切れた口の中を治すと口を開けて乳母のモルネに見せた。
「ねっ、大丈夫でしょ?」
「し、しかし毎回こんなお怪我や嫌がらせを……侍女としてあるまじき行為です!旦那様にご報告を!」
立ち上がる、モルネにエプロンの裾を握ると私は左右に首を振って止めた。前にモルネが、お父様に報告したが取り合ってもらえず、モルネまでいなくなるほうがよっぽど、私は嫌だった。
「明日からは、私がお茶を用意します。それから、あなた達は、この離れには必要ありません」
「それは、ようございました」
「ご機嫌よう、お嬢様」
私を横目に笑い飛ばして部屋を後にする侍女たち。もう何人目かなと、数えるのも飽き飽きしていた。そんなある日、私は部屋の窓から見える外の花たちが気になり庭に出てしまった。
「誰かしら?」
私のお母様、ロザリー·ミア·レシティ。私は貴族の生まれで、公爵家の娘として産まれたのだが赤い髪は、魔女の呪い子と言われお母様が産んだと、知れ渡れば、お母様は辺境の地へと幽閉。おじい様たちの爵位すらも、危うくなる。だから、私が産まれたことは誰にも知られてはならないのに、お母様に見つかるとは思わなくて、後ずさりをして帰ろうとした。
「甘いお菓子は、嫌いかしら?」
綺麗で高価なドレスなのに、私の目線に合わせるように地面にしゃがむと、白いハンカチを私に、差し出す。何も無いハンカチからキャンディーや、クッキーチョコレートが、急に出てきて、ハンカチとお母様を交互に見入ってしまっていた。柔らかい笑顔を私に向けるお母様に、私はきっと不思議そうな顔で見つめていたのだろう。遠くからお母様を呼ぶ侍女たちの声に、私はお礼を言えないまま、その場から走って帰った。これが、嬉しいと言う感情だったのだろうか?




