表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪のその日、私は幼なじみに拾われました  作者: あめとおと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/9

第3話 断罪した王太子は、ようやく失ったものに気づく

 エレノアを追放してから、王宮は妙に静かだった。


 いや、正確には――

 うまく回らなくなった。


「殿下、この予算案ですが……」

「前回の調整、誰がやっていたのですか?」


 次々と持ち込まれる書類に、俺は眉をひそめる。


「……それは、財務官が」


「財務官だけではありません。

 これ、エレノア様の筆跡では?」


 側近の一言で、胸がざわついた。


 ***


 会議。

 交渉。

 数字の調整。


 以前は、すべてが“なぜか”円滑に進んでいた。


 俺は決断するだけでよかった。

 細かい部分は、誰かが整えてくれていた。


(……誰だ?)


 答えは、分かっている。


 だが認めたくなかった。


「エレノアは、ヒロインをいじめていた」

「彼女は悪役令嬢だった」


 そう言い聞かせてきた。


 けれど、彼女が去った後に残ったのは――

 混乱と、赤字と、責任だけ。


「殿下、商会との契約が破棄されました」

「理由は?」

「……エレノア様が、関わっていた商会です」


 息が詰まる。


 あの女は、

 ただ王太子の婚約者だったのではない。


 王国を回す“歯車”だったのだ。


 ***


 夜。

 一人きりの執務室で、俺はふと気づく。


 エレノアは、

 一度も俺に縋らなかった。


 断罪の場で、

 泣きもせず、言い訳もせず、

 ただ静かに頭を下げた。


(……なぜだ?)


 愛していたから?

 諦めていたから?


 ――違う。


 最初から、俺を選んでいなかったのだ。


 俺は、選ばれなかった。


 その事実が、胸をえぐる。


「殿下……リリアーナ様が、お呼びです」

「……今はいい」


 彼女の涙より、

 帳簿の赤字より、

 エレノアの背中が、脳裏から離れない。


 だがもう、遅い。


 彼女は物語から降りた。

 俺が追い出したのだ。


 王太子としての俺は、

 正しい選択をしたはずだった。


 それなのに――


「なぜだ……」


 失ってから気づくとは、

 ずいぶんと、愚かな話だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ