チョコレート・ドーナツホール
お腹が空いていた。こんなに自分と芸術について悩んでいるのに、生物的な肉体が邪魔をする。すっかり手遅れになったキャンバスは、私の食い扶持がなくなったことを示していた。私は器用じゃないから芸術だけでは生きていられない。お金も、家も、食事も、スマホも、家族も、インターネットも、結婚も、世間体も、同窓会もぜんぶいる。芸術が食べれたらいいのに。本を読んで、映画を見て、絵画を見て、立体アートを見て、建築を見て、陶芸を見て、音楽を聴いて、それで空腹が満たされればいいのに。
そうしたら、私だって神様の道具を目指せるのに。
そうしたら、私だって神様の道具を目指せるのに。