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0ガチャ目

これは壮大な物語の裏で起きていた、もう1つのお話。


「あーテスト終わったわー!」

「お前テスト出来た?」

「まぁまぁって感じかな〜」

2学期の期末テストが終わり、東平高校1年1組のクラスはここ数日の緊張した空気からの解放によって、いつもより賑わっていた。

「トミーは相変わらず鉛筆転がしてたん?」

「選択問題は鉛筆サイコロ使った。流石に筆記はちゃんと書いたけどね」

「そりゃ筆記はサイコロじゃどうにもなんないしな」

トミーと呼ばれる少年、宝富(たかとみ) 万代(ばんだい)はテストを真面目に受けることはなく、選択問題は必ず自前の鉛筆サイコロを転がして回答していた。このように運任せでテストを行うせいで、文字通り当たり外れが大きい。

「今回は何点取れそう?」

「運任せだしなんとも」

「前のテストは平均が45点、その前が72点、その前が66点だっけ?」

「なんで覚えんだよ気持ちわりーな」

「1回だけでいいから真面目にテスト受けてみろよー何点取れるか気になるし」

「テスト勉強とか面倒だからやだ、進路もこれといってないし」

「まぁそれは分かる」

「んじゃ俺委員会あるから先に漫研行っといて」

「へいへーい」

仲の良い友達とひとしきり会話をした万代は、漫画研究部へと向かった。


「トミー待たせたー」

「委員会結構時間かかったな」

「まぁ風紀委員会って色々面倒なことやらされるからさ」

「なんとなく想像つくw」

「んで今回は何の漫画書くんですか?万代先生?」

「いやーガチャポンを題材にした漫画を書こうかなーって…てか先生呼びとか気持ち悪いからやめろ」

「謙遜なさんな〜あの中年チョップの漫画コンテストで佳作取ったんだし、先生呼びにもなるって」

「はいはい」

「てかガチャポンが題材なんだ、トミー好きだもんねガチャポン、それでどんなストーリーなん?」

「ガチャポンの運任せな感じめっちゃ好きだもん!何が出るか分からないあのドキドキ感!んでさ、俺ガチャポンの中でもSDゴンダム好きだからさ、ガチャポンで出たロボットが大きくなって敵を倒すみたいな漫画書こうかなって思ってるんだよね!」

「出た!オタク特有の早口!んで肝心のネタの方は王道だけど中々面白そうかも!」

「だろ!頭の中でピンと来たんだよね!」

「よーし俺も先生に負けないように頑張らないとな!」

「だからそれやめろ」

漫画研究部は全員で6人いるのだが、各々が思い思いの漫画を描き、それを何かしらのコンテストに出したり、校内で配られる学級新聞や、文化祭のポスターに使う絵を描いたりという活動をしている。

「もう帰る時間だなートミー帰ろうぜー」

「OK」

2人は机の上を片付けて、下校する。10分程歩いた所で、友達は急に物騒な話題を持ち出す。

「そういえば最近、ここら辺で行方不明事件が多発してるらしいな」

「あー最近ニュースで言われてるなー」

「しかもうちの学校の生徒も1人行方不明らしいし怖いわー、誰かの陰謀だったらどうしよ」

「夜なんだからそういう話すんなよ...チビりそうになる...」

「まぁお互い気をつけましょーや、んじゃ俺こっちだから!じゃなー」

「じゃーなー」

(流石に俺は行方不明にはならないよな…)

友達と別れ、不安になりながらも自宅へと足を進めていた時だった。

「うわっ!?」

急な浮遊感が体を襲ったのだ。

何かの作業で塞ぎ忘れたのか、マンホールが開けっ放しになっており、そこに落下してしまった。

「ちょちょちょ!これどこまで落ちるんだよ!?」

更に運の悪いことに、誰かが行使した黒魔術の残滓によって、異界へと繋がるゲートが出来上がっており、万代はそのゲートへと入り込んでしまった。

「おわっ!?」

20秒ほど落下した万代は、何故か水に叩きつけられ大きな水飛沫を上げる。

「がぼぼごぼごぷぶ」

何にも理解できない状況で入水したため、頭がパニックになり、泳ぐという正常な判断が出来なくなってしまう。

「がぼごぼぐぶ...プハァ!!」

今度は何らかの力によって、身体が水の外側に引き上げられる。酸素を求めていた身体は、すぐさまそれを取り入れようと必死に呼吸をする。

「はぁっ、はぁっ、っはぁーはぁーはー...」

(なんなんだよこれ!?てか昼だし!俺は池みたいなとこにいるし!浮いてるし!なんだこれ!?)

「おーーーーい!大丈夫ですかーーー!?」

湖の向こうから張りのある甲高い声が聞こえる。そして、返答する間もなく身体が勝手に陸地の方に水平移動する。

「大丈夫ですか?溺れてるのが見えたもので...」

(この制服...東平高校の...)

「これは...ありがとう...でいいのかな?まだ状況が理解出来てなくて...」

そこにいたのは黒髪のボブで、眼鏡の少女だった。パッと見の年齢は、万代と変わらないくらいの歳だ。

お互いに詳しい状況が分からなかったため、情報交換も兼ねて話し合った。

カクカクシカジカ

「...それで君が念力で僕の事を陸地まで引き上げたと?」

(なんだその漫画みたいな話は...)

「そういう事になりますね…それで話を聞く限り私とあなたは同じ境遇にいるようです」

「同じ境遇?」

「私も元々はこの世界にいなかったんです、その制服...東平高校の制服ですよね?」

「そう...だけど...え?」

既に頭がオーバーヒートしそうな状況で、追い打ちをかけられる。

「取り敢えずここで立ち話もなんですし、私の家に案内します、着いてきてください」

「あ...うん...」

こうして、彼の摩訶不思議な異世界生活は幕を開けた。



いつもの新作1話メモ書きです!こちらも今連載してる作品の後継作なので、2話以降はかなり後になるかと思います...

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