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第二十一話 勇者、姫巫女、猪三傑

当作平均よりいくらか長い程度となっております。お付き合い頂ければ幸いです。

 華津(かつ)へ着いた二日後の朝。

 対価(たいか)(のち)に、という約束で補給(ほきゅう)を受けた上で、高楼(こうろう)――『(とう)』のある島を目指して華津を()った。

 裴泉(はいぜん)からは、各(ふね)へ乗り込む水先案内(みずさきあんない)計三名に加え、周華(しゅうか)蓬莱(ほうらい)双方(そうほう)の言葉を()()えられる者――通事(つうじ)()()けている。通事の(ため)しは昨日(さくじつ)()んでおり、頼れることはわかっていた。――仮令(たとえ)年端(としは)()かぬ少年であっても、だ。

 先日裴泉の屋敷(やしき)で見かけた、あの少年である。(たぬき)族らしい容姿(ようし)だが、(よわい)十一ということもあり、琥珀(こはく)より五寸(約九センチメートル)(ほど)小さい。名を、裴通(はいつう)()()()()()()()()である。

 数年間那耶(なや)弁津(べんしん)との()()りを見聞(みき)きし続け裴泉による指導(しどう)も受けて来たが、初めて重大な仕事を任されるに当たり、幼子(おさなご)としてではない正式な名を――それも周華風の名を――ということになったらしい。

 しかし名とは関係無く、(いた)素直(すなお)()聡明(そうめい)な裴通は、玉英(ぎょくえい)一行(いっこう)の誰にも可愛がられた。



『塔』のある竜津島(りゅうづしま)、その表口(おもてぐち)に当たる竜津までは、十四日半を要した。

 華津の東、最初の補給地(ほきゅうち)とした赤津(あかつ)まで三日半。補給と荒天回避(こうてんかいひ)に二日半掛けた(のち)進発。大きな島同士――らしい――の間を抜けて南東、また別の大きな島――らしい――にある宇和津(うわつ)まで四日。宇和津(ここ)でも赤津と同様(どうよう)二日過ごし、宇和津から南方へ伸びた半島を回り込むようにして竜津へ至るまでには――海流(かいりゅう)に乗れたため相当に(はや)かったが――二日半。計十四日半である。


 竜津到着(とうちゃく)直前、昼前のこと。

「『竜津』は、元は『竜頭(りゅうづ)』だったそうです」

 先頭を行く舟の舳先(へさき)(舟の前寄り。)に立った裴通が――雲儼(うんげん)がいつでも抱えられるように大きな手を()えて(そな)えている――子供特有(とくゆう)の高い声で語った。

「その由来(ゆらい)となっているのが、あの(みさき)です」

 裴通が右手で前を指しつつ振り返った。小さく細い指の先――(おおむ)ね進行方向、北にあるはずの竜津を(かく)すように西から伸びた岬。高さ四丈(約七・二メートル)(ほど)先端部(せんたんぶ)は、確かに竜と見紛(みまが)うような白い巨岩(きょがん)から()っていた。



 竜津島はより大きな島にほぼ(かこ)われている内海(ないかい)の島だと()うが、その竜津島の中でも()()岬によって一段(いちだん)波濤(はとう)から(まも)られている、絶好(ぜっこう)(しん)が竜津である。

 裴泉の話の通り、竜津へ来ることで『姫巫女(ひめみこ)様』の(いか)りを買うことは無いらしく、無事に辿(たど)()くことが出来た。

 竜津の小さな邑――『ムラ』の(たぬき)族達が『塔』への訪問者(ほうもんしゃ)(むか)えるのは()()()らしく、()()()()けても殊更(ことさら)(おび)えられたり敵対(てきたい)されたりすることはなかった。

「ただ、我々がここで()ごすだけでも『ムラ』には負担が掛かりますので――」

と裴通を通して要求(ようきゅう)されたのは、『ムラ』の者達と協力(きょうりょく)して(はたら)くことだった。


 玉英、琥珀、子祐(しゆう)、雲儼、(れい)、の五名が()()ったのは魚獲(さかなと)りである。

(わらわ)達のせいで『ムラ』の者達を()えさせるわけにはいかんからのう」

「たくさん獲るぞ!」

 琥珀も玲も随分(ずいぶん)()()だ。

「獲り過ぎぬようにな」

 (たしな)めこそしたが、『ムラ』から程近(ほどちか)い川は(そこ)まで見通せる非常に美しいもので、水や魚と(たわむ)れたい気持ちがあったのは玉英も同じだった。――()まる(ところ)(みな)で楽しみながら魚を獲った。


 (さいわ)い、夕刻(ゆうこく)までには一尺(約十八センチメートル)前後の魚が十分(じゅうぶん)()れ、同行(どうこう)した『ムラ』の者達の(すす)めに(したが)い、その場で調理することとした。

 小刀で(こそ)ぐように(うろこ)を取り、胸から腹に掛けて軽く(しご)くように(ふん)を押し出す。適宜(てきぎ)(あら)った上で塩をまぶし、子祐が手早(てばや)く作った竹串(たけぐし)()つ――(くち)から(えら)へ通し、鰓の近くから()()むように()して背骨を(から)めつつ()の方へ出す。()()からやや離した位置に置き、(こし)()えて焼く。

 四半刻(約三十分)(ほど)掛かるとのことで、焼いている間に()の者達を呼び集め、皆で共に食した。

「ふむ……この独特の風味(ふうみ)……気に入ったのじゃ!」

「ああ、滋味深(じみぶか)い、良い味だ」

「玲も好きだぞ! ご馳走(ちそう)だ!!」

 川の流れにも()()(とお)るような(あじ)わいを、腹の部分の(ほの)かな(にが)みが際立(きわだ)たせている。

 幼い裴通には少々苦過ぎるようだったが、「裴泉様の教えですから」と食べ切っていた。



『ムラ』から西北西へ川沿(かわぞ)いに(やま)(のぼ)り、三日目の朝。

 舟の(ばん)に残った田額(でんがく)以下の兵達と琳琳(りんりん)()、そして舟に関わる者達を(のぞ)いた一行は、『塔』の手前(てまえ)最後の(さか)()えようとしていた。

 森の中にあって坂の上は(ひら)けているらしく、前方(ぜんぽう)右、坂の向こうには山頂(さんちょう)(わず)かに()を出しているが、その左、正面(しょうめん)には、山頂(それ)より(はる)かに高く(そび)()円柱状(えんちゅうじょう)の白い『塔』が随分(ずいぶん)前から見えていた。

 直径(ちょっけい)六丈(約十・八メートル)、高さ二十丈(約三十六メートル)はある、(しん)(がた)(ほど)に巨大な高楼(こうろう)が、緻密(ちみつ)()()げられ、(みが)()げられた石肌(いしはだ)陽光(ようこう)()(かえ)しつつ、玉英()睥睨(へいげい)している。

 明らかに蓬莱の建築様式(ようしき)ではなく、周華のものとも(こと)なる。

 もしこの『塔』が周華の西()で発見されたのであれば、石造(いしづく)りが(さか)んだという【()ての国】から(なが)()いた者達でも居たのか……と思うところだが、ここは蓬莱である。しかも『塔』が()(とう)()てられたのだとすれば多大な労力を必要としたはずであり、門番(もんばん)以外の者達も(うわさ)になっていて然るべきだった。畢竟(ひっきょう)――

「母上のような者が住んでおるんじゃろうか」

琥珀が見上げながら(つぶや)いた通り、『神』ないし『神の(ごと)き者』が関わっている、と考える方が自然だった。



 坂を登り切り、『塔』まであと五丈(約九メートル)というところで、門扉(もんぴ)の前およそ一丈(約一・八メートル)の位置に男が姿(すがた)(あらわ)した。

 姿を現した、とは()()()()の意味である。遠目(とおめ)には誰も居ないように見えていた場所に、いつの間にか()()のだ。――益々(ますます)何らかの『力』によるもの、と思えた。

 玉英()があと数歩の距離へ(いた)ると、警告(けいこく)の低い声が(ひび)いた。

「止まれ」

承知(しょうち)しました」

 玉英がすぐさま(おう)じ、右隣(みぎどなり)の琥珀、左やや後ろの裴通と子祐、(あと)に続く他の者達も当然(したが)った。

 警告を聞いた瞬間に()()()()()べく口を開き、しかし玉英の返答により()()()()()ことに気付いた裴通が首を(かし)げている。――玉英には周華の言葉に聞こえているが、裴通には蓬莱の言葉に聞こえている。そういうことなのだろう。これも『力』のうちか。

何用(なによう)だ、魔族(まぞく)

 敵愾心(てきがいしん)も無く、ただ必要だから、といった様子で()()けてきた男は、子祐よりも一寸(約一・八センチメートル)ばかり大きい無角(むかく)鬼族……に見える。(とし)は玉英より一つ二つ上か。――定命(じょうみょう)(もの)であれば、だが。

 ほぼ全身を(おお)う赤い(かわ)らしき(ころも)が目立つものの、胡服(こふく)に近い独特な(よそお)いと共に垣間見(かいまみ)える()()まった肉体、(すき)の無い()姿(すがた)からは、突出(とっしゅつ)した才と(たゆ)まぬ鍛錬(たんれん)とを感じる。

 玉英は、

――()()とは鬼族のことだろうか?

という疑問は一旦(いったん)()き、

「私は玉英。この蓬莱の西、周華の王女です。ここには、あなたのお(ちから)をお()(いただ)くべく(まい)りました」

真っ直ぐ男の目を見て言った。

 乱雑(らんざつ)に切ってそのまま伸ばしたような、やや長めの灰色の髪の下から、青味掛(あおみが)かったやはり灰色(はいいろ)(ひとみ)が玉英を見つめ返している。

 続けろ、の意だと受け取った。

「八年前、我が父母(ふぼ)を含む数多(あまた)の者達が叛逆者(はんぎゃくしゃ)に殺され、国を(うば)われました。簒奪者(さんだつしゃ)専横(せんおう)(きわ)め、天下万民(てんかばんみん)が苦しんでおります。……国を取り戻すため――」

と言い掛けて、玉英の瞳の奥に(くら)紅蓮(ぐれん)の炎が渦巻(うずま)いた。

「――いえ、父母の(かたき)を、私を(まも)って死んだ者達の仇を()つため、どうか、「わかった」お力を……っ!?」

「……お貸し、下さるのですか?」

 玉英が目を見開いて問うと、

「そう言っている」

男は(ひい)でた(まゆ)でも(がえ)んじ、

「国がどう、と言われても俺の知ったことではないが、仇を討つためであれば――」

一瞬(いっしゅん)自身の胸元(むなもと)へ視線を落としてから、

「――嗚呼(ああ)、良いだろう」

(あらた)めて承諾(しょうだく)し、(かす)かに口角(こうかく)を上げた。

「ありがとうございます!」

 玉英の満面(まんめん)()みに、

「気にするな。所詮(しょせん)暇潰(ひまつぶ)しだ」

自嘲(じちょう)するように(はな)で笑う男。

 玉英は男の瞳に言葉と裏腹(うらはら)の僅かな――(かく)()れていない――熱を感じたが、別のことを問うた。

「それでも、ありがとうございます。……ところで、何とお呼びすれば(よろ)しいでしょう?」

袁泥(えんでい)とでも呼べ。それと、そう(かしこ)まって話すな。俺はこの『塔』の門番に過ぎない」

 裴泉の手の者が伝えたのと同じ言葉だ。

「わかりました、袁泥殿。しかし、だとすれば、この美しい『塔』から離れてしまっても大丈夫(だいじょうぶ)なのですか?」

 袁泥の目の前――『塔』から二丈(約三・六メートル)に満たない距離では、『塔』の表面は、京洛(けいらく)で最も精緻(せいち)(みが)かれた(ぎょく)よりも(なめ)らかに見えた。如何(いか)なる『力』によるものか、と思わずにいられない。『塔』の――おそらく――全体がそうなのだ。

 代わりの門番が居なければ、いずれ略奪(りゃくだつ)()()()うことは想像に(かた)くなかった。

「美しい、か。――そう評してもらえるのは、嬉しい」

 袁泥は再び胸元に目を()り、先程(さきほど)までとはまるで(ちが)(やわ)らかい――どこか(せつ)なげな笑みを浮かべたが、数瞬(すうしゅん)()って顔を上げると、

「問題無い。どこへなりと連れて行け」

表情を消し、ぶっきらぼうに答えた。

「はい。よろしくお願いします」

 玉英は笑顔で応え、頭を下げる。

「嗚呼、しっかり護ってやるよ」

 袁泥が口の中で「今度こそ」と付け足したのを、琥珀の耳だけが(とら)えていた。



 下山(げざん)には二日掛かった。

 初日の昼過ぎにふと振り返って見れば『塔』が消えていたのには(みな)(おどろ)いたが、袁泥によれば「そういうもの」らしい。袁泥はそれ以上話さなかったため、玉英も()いて()()めはしなかった。――(いず)れ『神』に(るい)する者の影響であれば、言い(がた)いこともある。


 竜津を離れていた四日間、残った者達の働きは十分(じゅうぶん)なものだったようだ。

 気前良(きまえよ)く受けられた補給と海流のおかげで再度(さいど)舟旅(ふなたび)円滑(えんかつ)に進み、六日目の昼前には竜津の北東方向にある難波津(なにわづ)到着(とうちゃく)

 難波津(ここ)からは陸路となるため、竜津の(さい)とほぼ同様、舟の番に田額等を残し――今回、琳琳のみは玉英等に同行した――東へ発った。

 北に川を見ながら山を登り、その川が北寄りに曲がった四日目からは北東へ。(くだ)りが多くなった七日目の夜、雨呼(あまよ)びの姫巫女(ひめみこ)が居るとされる八松(やまつ)へ辿り着いた。



「華津より栄えておるようじゃのう」

 最後の坂を下る途中(とちゅう)見えた限りでも、要所(ようしょ)の明かりと建物は倍近くあったのだ。

 東側の海――津付近の舟は華津と比べれば少なかったが、『クニ』全体へ幾重(いくえ)にも()(めぐ)らされた(ほり)には北西から流れ込んだ川の水が通っており、朔原(さくげん)のようにとまではいかぬにせよ、一部は小舟で移動出来るようになっていた。


 玉英等が(とびら)の無い(もん)へ近付くと、門の(おく)中途(ちゅうと)()()がった通路――防衛(ぼうえい)のための仕組(しく)みだろう――の(かげ)から、玉英より一尺(約十八センチメートル)は小さい、(つぶら)な黒い瞳の女が現れた。

 肩程(かたほど)まで伸ばした(うす)褐色(かっしょく)の髪に一部白が混ざっており、髪と同じ色の楕円(だえん)に近い形の耳が特徴的(とくちょうてき)だった。鹿(しか)族だ。

「ようこそいらっしゃいました。どうぞこちらへ。姫巫女様がお待ちです」

……とは、裴通が言い換えているのだが、(やわら)らかい声ではあった。

 (くだん)の姫巫女の側仕(そばづか)えだろうか。蓬莱でこれまで見てきた大半の者達と比べ、いくらか()()かった着物を(まと)っている。――(しゅ)に染めた(あさ)である。

 裴泉は(むらさき)()めた(きぬ)を身に着けていた――絹は那耶(なや)との交易で得たもので、紫は華津南方(なんぽう)の海の(かい)から得た染料(せんりょう)による、という話は聞いた――が、他の者達の着物はやはり麻だった。華津から八松に至るまで、麻が主であることは変わらないのだろう。

案内(あない)、感謝する」

 玉英は女に言い、左の裴通に目で合図(あいず)を送った。



 玉英()は、裴泉のところにあった巨大な建物を更に数段大きくしたような、三十六本の柱に支えられた建物へ(まね)かれた。――『カミ』が在所(ざいしょ)とするに相応(ふさわ)しい、非常に立派な建物である。

 柱の一本一本が直径五尺(約九十センチメートル)はあり、支えとして、水平の柱が縦横異なる高さで各々の柱を(つらぬ)いている。全体の高さは『塔』と比べればほぼ(なか)ば――十丈半(約十八・九メートル)というところだが、三丈(約五・四メートル)の高さにある(ゆか)幅はおよそ九丈(約十六・二メートル)とより大きい。

 その上へ、下から(じゅん)板壁(いたかべ)板葺(いたぶ)きの屋根(やね)、板壁と草葺(くさぶ)きの屋根、と二階がやや小さくなるように(つら)なっており、屋根は四方(しほう)から中央上部へ集まる形で傾斜(けいしゃ)して、風を受け流す構造になっている。


 各壁面の窓から差し込む月明(つきあ)かりと数本の松明(たいまつ)――松の(えだ)そのままではなく(あぶら)の多い部分を切り出して(たば)ねたもの――で照らされた一階の部屋、その東()りへ出る階段を玉英と琥珀が(のぼ)()った途端(とたん)

「よく来てくれたね」

玉英()から見て左前方――部屋の奥、一段高くなった部分へ両手を突いて座り(あし)を前へ投げ出している、()()()()()齢十三(ほど)の少女に、見た目通りに幼く、しかし見た目に反して深く(ひび)く声で歓迎(かんげい)された。――どうやらまたしても裴通の()()はここまでのようだ。

 背丈は琥珀より三寸(約五・四センチメートル)近く大きいだろうか。(あざ)やかな紫の絹()しにもわかる(ほど)華奢(きゃしゃ)である。ひたすら伸ばしたような明るい紫の髪が床へ広がっているものの一切(いっさい)気にする様子(ようす)は無く、ただただ底知(そこし)れぬ紫根(しこん)の瞳で玉英を、琥珀を、そしてまた玉英を見つめた。

「そんなところで止まっていないで、もっと近くへおいでよ」

 玉英と琥珀は言われるが(まま)()()()()()少女から一丈(約一・八メートル)(ほど)の位置――(むしろ)が並んで()かれた場所へ進み、子祐と裴通も後ろへ続いた。

「どうぞ、座って」

 やはり(みな)言われるが儘、(そろ)って胡坐(あぐら)をかいた。

 少女は一旦(いったん)視線を左へ――玉英等から見れば右へ向け、

(あけ)、ご苦労だったね」

と階段付近、壁際(かべぎわ)(ひか)えていた案内の女性――朱を微笑(ほほえ)みと共に(ねぎら)った。

 下がって良い、という含意(がんい)を読み取ったのだろう、朱は少女へ(うやうや)しく一礼(いちれい)し、階下(かいか)へ去った。

 少女は視線を戻し、八つ数える程の(とき)を掛けて四名(それぞれ)の目を見た後、

「さて……君達は、(いくさ)をしに来た、ってわけじゃないよね?」

首を傾げ、無邪気(むじゃき)な笑みを見せた。



「私は、玉英と申します」

 玉英が背筋(せすじ)を伸ばして言うと、

「琥珀じゃ」

琥珀もすぐに続けた。――子祐と裴通は立場上、口を出さない。特に裴通は、今回()言い換える必要が無いと知って拍子抜(ひょうしぬ)けするやら安心するやら少女の美貌(びぼう)見惚(みと)れるやらで(いそが)しい。

「うんうん、(ゆかり)(ゆかり)だよ、よろしくね玉英、琥珀。それで、どんな(よう)?」

 少女――紫がまた笑顔を見せる。

「はい。紫様に願い(たてまつ)りたき」

「あ、ちょっと玉英」

「はい」

「様、はやめて欲しいな。あと奉るとかさ、別に紫は『カミ』様じゃないからね」

「……違うのですか?」

「です、もやめてよ」

と、紫は息を大きく吸い込んで、

「紫は紫。明後日には雨が降るな~みたいなことを予見(よけん)出来る()()だよ」

「ですが……」

 紫が玉英をわざとらしく(にら)む。

「いえ、いや、でも、それは十分(じゅうぶん)な『力』……じゃないか?」

「ううん、こんなの、みんなが何日か()(しの)べるようにする()()のことだよ。わかっていれば()えられる、ってやつ」

 紫は眉尻を下げて笑い、

「大体ね、紫は一番強く感じるから『姫巫女』なんて言われてる()()で、『巫女』はたくさん居るんだよ。さっきの(あけ)だってそう。だから、(しゅ)の着物」

 ここへ来るまでに見掛けた他の民は――夜のこと(ゆえ)さほど多くはなかったが――特に染めていない麻の着物だった。染めた着物は『巫女』としての身分を表すのだ、とすれば納得(なっとく)である。

「その、耳飾(みみかざ)りや首飾(くびかざ)りも?」

 (あけ)もいくらかは身に着けていたが、それとは比べ物にならない量と色彩(しきさい)の飾りが、紫の耳と細い首の周りにはあった。――これ()も、他の民は着けていなかったものだ。

「そうだよ~。重くてしょうがないけどね?」

 愉快(ゆかい)そうに笑う紫。

 玉英と琥珀も一頻(ひとしき)り共に笑ってから、琥珀が(たず)ねた。

「『巫女』の名は後から決めるものなのかや?」

「お、(するど)いね。『巫女』の()()に生まれるのは大抵女で――だから『巫女』って()うんだけど――齢十にもなると体質はわかるから、選ばれたら、付ける」

「元の名もあるんじゃろ?」

「うん。でも、家族以外は呼ばなくなるね」

「『巫女様』じゃから?」

「そういうこと」

「ふむ……」

『琥珀様』として親しまれ、可愛がられてはいても、対等な者は居ない。――玉英と出逢(であ)うまでそうした(さみ)しさを(かか)えていた琥珀にとっては、我が身のことのようで。

 ましてや『姫巫女』として『巫女』の中ですら(まつ)()げられている紫は、(なお)(こと)……そう思うと、言わずにはいられなかった。

「紫、(わらわ)達と、友達になるのじゃ!」

「えー、ありがと!」

「何やら軽いのじゃ!?」

「そんなことないってば~。嬉しいよ。それとも、琥珀が紫と()()()一緒に居てくれるってことだった?」

 微笑みの中、紫の瞳が怪しく光る。

「そういうわけには……いかんのじゃが……」

 勢いを()がれた琥珀。

「なら玉英が?」

 紫の視線が動く。

「それもダメなのじゃ! 玉英は妾の番になるのじゃ!!」

 勢いだけは取り戻した。

「じゃあ、()()()()()()()()友達で居てくれる。それ()()でいいよ」

「うむ、それなら、無論じゃ! のう?」

 左の玉英に笑い掛ける琥珀。

勿論(もちろん)! よろしく、紫」

 玉英の答えは決まっていた。

 仮令(たとえ)紫が()()()()()()(うそ)()いていたとしても、言うことは同じだった。

 紫が()()()()()()にしておきたいのであれば、今は(だま)されておいてやりたかった。

 友達として。



 蓬莱と故郷――周華との違い(など)、しばしの取留無(とりとめな)歓談(かんだん)(のち)

「ところで、結局聞いてなかったけど、どんな用で来てくれたの?」

紫が切り出した。本題(ほんだい)である。

「二つ、いや、三つある」

 玉英は表情を()()めて言った。

 なお、周華の王女である、ということは流れの中で話してある。紫は「ふーん、そうなんだ。改めて、遥遥(はるばる)良く来てくれたね」と笑っていた。

「一つ目は、交易の許可。紫の『クニ』や西の王――裴泉の『クニ』と……どちらにも属していないところがあるなら、その『クニ』ないし『ムラ』とも」

「いいよ。元々(もともと)紫の許可なんて要らないけどね」

 紫は屈託無(くったくな)く笑う。品目(ひんもく)について()きもしなかった。(あと)で良いということだと判断し、続ける。

「ありがとう。二つ目は、同盟(どうめい)締結(ていけつ)。と言っても、お互いに敵対せず、お互いの敵とも(むす)ばない、というのが主眼(しゅがん)だが……」

「それもいいよ。()()()()()()()当然だよね!」

――琥珀が()()()()()いなかったらどうなっていたのだ?

と瞬間考えたが、それよりも確認すべきことがあった。

「先程も名を出した、裴泉については――」

「気にしなくて良いよ。『お()び』は(もら)ってあるからね」

と紫は身に纏う絹を(つま)んで見せる。

「そうか……わかった。では、三つ目……と言っても、可能なら、だが……」

「うんうん、何でも言ってよ!」

 玉英も笑顔を返し、しかし眉尻を下げて、遠慮(えんりょ)がちに言った。

「遅くとも二年後、私達は強大な敵との決戦に(いど)むこととなる。その(さい)力を借りられる、突出(とっしゅつ)した戦士の()てがあれば教えてくれないか? 竜津の『勇者』程でなくても良いのだが」

 袁泥(ほど)の者はそうそう居ないだろう。

「うーんと、報酬(ほうしゅう)は出せるのかな? あ、これは紫にとかじゃなくて、その、戦士達に、なんだけど」

 紫にしては歯切(はぎ)れが悪かった。

「出せる、つもりでいる。周華の全土(ぜんど)寄越(よこ)せ、と言われても困るが……」

 当面の糧食(りょうしょく)武具(ぶぐ)手配(てはい)(もと)より、(こう)()げれば何処(いずこ)かの地に(ほう)ずることも考えていた。――実際には、王となった兄玉牙(ぎょくが)に頼む、ということになるだろうが。

「そっか、それなら大丈夫。新天地(しんてんち)が欲しいって()()()連中(れんちゅう)だからね。(いのしし)族と、仲良くやれそう?」

 猪突猛進(ちょとつもうしん)という言葉があるように、直情径行(ちょくじょうけいこう)そのもの……かと思いきや、実は警戒心(けいかいしん)が強く、優秀な(しょう)、あるいは護衛(ごえい)となり得る種族である。

 森での狩猟採集(しゅりょうさいしゅう)を主として周華各地にも暮らしているが、十分(じゅうぶん)成熟(せいじゅく)した男性は伴侶(はんりょ)を求めて単独で旅に出ると云うから、()()()を欲するのは理解出来た。

「会ってみなければわからないが、そうしたいとは思う」

()()()()()()()良かった」

 紫が満面の笑みを見せた……かと思えば、表情が微かに(かげ)り、

「ただ、迎えに行って貰わないといけないんだけど……」

「どこへ?」

房葉(ぼうよう)。――東の()て、に近いところだよ」



「用意なら任せておいて!」と言われていたため、翌日は八松内をいくらか見て(まわ)った後、先の建物の()階――北側にしか窓が無い――へ玉英と琥珀()()招かれ、紫と話して過ごした。

 更に翌日、先導(せんどう)を含めて十四(そう)の小舟で出立。半島や()()の間を抜けて東南東の伊津(いづ)まで五日、三日で北東の浦津(うらづ)、半日でそのまた北東の房葉(ぼうよう)……天候(てんこう)に恵まれ、補給を含めておよそ十日半の旅になった。


 房葉へ上陸したのは、昼過ぎである。

 着岸(ちゃくがん)前から波音(なみおと)()()す程にさわがしかったため、先導が居るとは言え、見知らぬ来訪者(らいほうしゃ)への警戒か……と身構(みがま)えたが、そうではなかった。

 八松の者達を番に残し、浜辺から小さな坂を上がってみれば、強烈(きょうれつ)日射(ひざ)しの中、ほぼ裸の()()()()()男達が、互いの身体を激しくぶつけ合い、(なぐ)り合い、()り合っていたのだ。

 (いくさ)でないことは、(たたか)う二名の周囲で(はや)()てている者達の存在が示していた。――全ての男達が日に焼けた褐色(かっしょく)(はだ)(さら)しており、(かく)しているのは(こし)から下の一部だけである。

練武(れんぶ)かや?」

 玉英の右、首を傾げる琥珀に、反対側――左の裴通が見上げつつ答える。

「『すま()』です。(あらそ)う、という意味で、力比(ちからくら)べ……つまり比武(ひぶ)ですね」

「ふむ、それでここまでやるのかや?」

 全力の立ち合い、と言った方が良いくらいには双方(そうほう)(ちから)()もっているようだが――

「鹿族も(おこな)いますが、猪族のものは特に猛烈(もうれつ)で、死者が出ることもあるそうです。大抵、女性を取り合う場合だとか」

「ならば当然じゃな。(のぞ)(つがい)を得るために命を()ける、本懐(ほんかい)じゃろう」

 ()(かえ)(うなず)く琥珀。――常に、そのつもりで玉英と共に()るのだ。

「そう……ですね」

 幼い裴通はそこまで思い切れないのか、困ったように笑った。


 話している間に『すまひ』は決着し、両者が(みな)に肩や背を(たた)かれ、(たた)えられていた。――その音も随分と大きく、激しかった。

 勝者だけでなく敗者も称えるのは、生き残ったことに対してか、はたまた先の雰囲気(ふんいき)からして一種の祭りのようなもの(ゆえ)なのか。

 思案する玉英に、()から出て来た若者が声を掛けた。一部()()げた黒褐色(こっかっしょく)の短髪は、猪族特有のものだ。瞳も同色である。

「あんたら、どこのもんだ」

と、今回は、裴通が()()をすることとなった。()()っている。

「私は玉英。八松の紫に紹介されて来た」

 周華から、(など)と言っても通じるとは限らない。事実そうであるように、紫の名を出すのが無難(ぶなん)だった。

「紫? 紫っていやぁ……ムラサキだから……姫巫女様じゃねぇか!? 舐めてんのかてめぇぶっ殺すぞ!!」

 裴通が驚きつつも迫真(はくしん)演技(えんぎ)で伝えようとしているが、剣幕(けんまく)だけならば若者自身からも読み取れる。

 どうやら紫は相当に(した)われているらしい。

「紫がそう呼べと言ったのだ、仕方あるまい。我等(われら)は紫の友となった」

と琥珀の肩を抱き、左手では他の者達に「待て」と合図を送っている。

「友ってこたぁ……ダチ……だと……いや……ですか」

 急に(ほこ)(おさ)める若者。(くち)は悪いが、案外(あんがい)素直(すなお)(たち)らしい。あるいは若さか。――玉英より一つ二つ下に見える。

「で……何の用で?」

 渋渋(しぶしぶ)、という顔。

「この地では力を()るい切れない若者が居る、と聞いて来た。その力を、私に貸して貰いたいのだ。……そなたも、どうだ?」

 若者は背丈こそ子祐より二寸近く小さい――茗節(めいせつ)と同程度だが、身体の厚さは(いず)れよりも数段上で、膂力(りょりょく)に優れているのは見て取れた。その上、玉英等に気付いて最初に声を掛けて来た度胸(どきょう)もある。

 ただ、出来れば一度試して――

「はっ、姫巫女様のダチだとしても関係ねぇ! 俺を従えようってんなら、俺を倒してみな!!」

おきたかった。(わた)りに舟、だ。……やや無鉄砲ではあるが、これも警戒心の現れ、と言えなくもない。一般に、より強き者に従わねば、(ほろ)びるのだ。

「剣で良いか?」

 どうせなら、自ら確かめようと思った。

「あん? 剣……?」

 若者は玉英の腰に目を遣り、

「俺はそんな大層(たいそう)な剣持ってねぇし、そもそもあんたじゃ小さ過ぎんだろ。俺の相手すんなら……後ろの兄ちゃん、あんたでどうだ」

「……自分か?」

 玉英のすぐ後ろに居た、梁水(りょうすい)である。梁水の方が一寸(約一・八センチメートル)上回る程度で、体格はほぼ同等。『すまひ』であれば、良い相手になりそうだった。

「よろしいですか? 玉英様」

「ああ、頼む」

 玉英は振り向いて頷く。

「ハッ。……()いだ方が良いか?」

「どっちでもいいけどよ、脱いだ方が(つえ)えと思うぞ?」

「わかった。いい奴だな、お前」

「んなこと言っても手加減しねぇぞ」

「当然だ」

 梁水は話しながら腰の剣といくつかの道具袋を置き、着物と靴を脱いで、犢鼻褌(とくびこん)(ふんどし。)だけの姿となった。

「向こうが()いたみてぇだ。あっちでやろうぜ」

「ああ」

 若者に誘われて、先程まで『すまひ』の行われていた(ひら)けた場所へ移る。――梁水の荷は文孝(ぶんこう)と成長(いちじる)しい猫族の季涼(きりょう)が手分けして持った。

 周囲に居た者達は若者と玉英等の様子を見守っていたが、どうやら()()()そうだ、とまた騒ぎ出した。

「決まり事は?」

降参(こうさん)するか、死んだら負けだ」

「死ぬなよ」

「あんたこそな!」

と言うが早いか、若者が突進。

 梁水は()(こう)から受け止めた。

 足はいくらか(すべ)ったが、体勢を崩しはしない。むしろ、若者の両肩を(つか)み、押さえ込んでいる。

 敗勢(はいぜい)(さと)った若者がどうにか逆転しようと試みるが、(ちから)出処(でどころ)たる肩を押さえられてしまってはどうしようもない。二十数える程は(ねば)ったが、次第(しだい)に体勢を崩し、降参した。

 若者は座り込んで深く息を吐き、問うた。

「あんた、強えな……俺は真庭(まにわ)(らい)。あんたは?」

 梁水は手を伸ばし、若者――雷を助け起こす。

「梁水。……他の者達は、もっと強いぞ」

「嘘だろそりゃ」

「本当だ」

 一部は嘘、もとい言葉足らずで、一部は本当だった。

 玉英と出逢ってからの二年半、梁水とて可能な限り鍛錬し、また御伴(おとも)として玉英の近くで戦を経験して来たのだ。

 剣や槍、弓の腕となると他の熟練者達に及ぶべくもないが、こと単純な膂力と『受け』――止めるにせよ、流すにせよ――に限って言えば、(ごく)一部の例外以外には負けない水準に(たっ)していた。――水との()()()()()かされているのだ。

「梁水、あんたが従う相手なら、ええと……」

「玉英様だ」

「ぎょくえいさま? なら、俺は従う」

 気持ちの良い()()(かた)だった。

「しかし、梁水なら兄貴にも勝てるかもしれねぇな。俺とそこまで変わらねぇし」

「誰が変わらねぇって?」

 他所者(よそもの)でも『すまひ』に参加したら関係無いのか、周囲の者達がやはり称えに来る中、雷と良く似た若者が、雷の背を叩きつつ(くち)(はさ)んだ。

「兄貴!」

「お前が負けたからって俺も負けるってか? あん?」

「多分負けるって!」

「こんにゃろ~うりうり」

 さして背の変わらない雷の頭を()(まわ)す『兄貴』。

「やめろって!」

 じゃれ合いを眺めつつ玉牙のことを思い出し、玉英は笑みを(こぼ)した。



 結局、雷の兄――(じん)も梁水との『すまひ』に挑み、最初の当たり方の段階で別の形を作ろうとしたものの大差無い負け方をして、

「負けちまったぜ!」

「だから言っただろ!」

じゃれ合いが続いたところへ、また別の男がやって来た。

「雷も迅も負けたんなら、俺の出番ってことになるな」

「「広常(こうじょう)殿」」

 迅と雷の兄弟が揃って声を上げた。

 (とし)は文孝程度――二十五といったところか。外見の特徴は迅や雷とほぼ同じだが、一層(いっそう)身体が大きい。十一尺二寸(約二百一・六センチメートル)に近い上、分厚(ぶあつ)いのだ。

 広常は迅、雷へ左の口角だけを上げて見せた(のち)、梁水へ向き直り、

「どうだい?」

 受けて動かした梁水の視線に玉英が頷いて返し、

「ああ」

三戦目が決まった。


 広常殿()と呼ばれるだけあって、広常は強かった。

 重心を低く(たも)ち、大地の()を活かそうとする梁水。

 その()を途切れさせようと大きな身体で意外な程に素速く動く広常。

 三十を()える攻防の(すえ)、互いに互いの腕を掴み合う形で膠着(こうちゃく)した。

 体格で優る広常にとって本来勝勢(しょうぜい)のはずだが、梁水は大地へ根を張ったように動かなかった。

 かと言って梁水から攻め切ることも出来ず、互いに決定機(けっていき)を得られぬまま百を数え――

()め」

 玉英が声を掛けた。ここまで拮抗(きっこう)した状態から無理に動かそうとすれば、予期せぬ事故が起こりかねない。それは本意(ほんい)では無かった。

 梁水と広常は視線を交錯(こうさく)させたまま頷き、同時に離れる。

 示し合わせたかのように溜息(ためいき)()き、

「本当に強いな、あんた」

「お前もな」

「広常」

「梁水だ」

 双方、既に名を聞いてはいたが改めて名乗り、微笑んで、抱擁(ほうよう)を交わし称え合った。

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