彼らの処分
リーダーは驚いて、ジャックの方を見る。
「お前、なにを知っている」
「彼らは、ミリテス神殿の神官だよ。やっぱり運が尽きたみたいだね」
ジャックは静かに言う。
「運が尽きるとは、どうゆうことだ。それと、ミリテス神殿だと」
リーダーが彼を睨み付けた。
「あんたらが、盗み出された御神像を持っているから捕えに来たのですよ」
「そんなバカな、奴らの神殿はこの地域じゃない筈だ」
「此処がその地域だよ」
ジャックのその一言に慌てて地図を荷物から取り出して確認すると何故かミリテス神殿の近くだと気がついた。
「何故だ。気をつけて移動していた筈だ。それなのにどうゆうことだ」
「それには、二つ理由がある。一つは御神像によって、あんたらの幸運が無くなった為、もう一つは御神像が自分の力を恐れて神殿へ帰りたい為にあんたらの足を此処へ導いたのさ」
「バカな、人形に心があるなんて」
リーダーは力を無くした様に腰を降ろして、ジャックを見つめる。
「おい、ガキ、俺らを保安所へ連れていきな」
「それは無理だね。あの御神像ラッキー・スターは、あの神殿で封印されていた物だよ。だからそれを盗み出した者は神殿が捕え刑罰を与えることができるのだよ」
ジャックはリーダーを見つめて、静かに言った。
「そんな、バカな」
リーダーは愕然とする。
「そうだね、普通に考えると一介の神殿にそんな権利が有ると思わないからね、でも、そうしないとまた、国が滅ぼしかねないからね」
「国が滅びるだと、そんなバカな」
リーダーが呆然とする。
「最初に所有していたのはある国の姫で、彼女の手にあった時は幸運を呼んだが、ある日を境に次々と親しい人が亡くなり、ある旅人にソレを手放せば、不幸は起きなくなると」
「その旅人がミリテス神殿の者か」
ジャックの言葉にリーダーが訊ねると、彼は首を横に振った。
「それから、幾人の手に渡り、遂にある少女の手に渡り、彼女も幸運が起こり、やがて不幸が襲い、その時に、たまたま、とおりかかったミリテス神殿の神官だった。そして、人形はその神官へ自分を封じる様に頼んだそうだよ」
「それでか、それで俺らはどうなるのだ」
リーダーは恐る恐るジャックに訊ねると、彼は暫く考え込むと口を開く。
「たしか、あの神殿の管轄に置かれて一生出てこられないって聞いていたな」
「その通りだな、よく知っているな、若者よ」
神官達の中から一人の老人が出てきた。
「大神官様、何故、御出になったのですか」
神官の一人がその老人に近づく。
「さってと、後はよろしく」
ジャックが立ち去ろうと、大神官が彼を止めた。
「待ちなさい、君」
「なんですか、彼らは貴方達によって捕らえた。それでいいのでしょう」
彼はその場から早く離れたいと感じる。
「もうこの辺りは暗い、それに町まではかなりあるぞ」
大神官はそう言って、ジャックの手を掴んだ。その力は強く振り解くことができなかった。
「分かりました。手を離して下さい」
「フム、分かった」
大神官は頷いて手を離す。
「大神官様、この者をどうするつもりですか」
神官の一人が訊ねたので大神官は笑った。
「彼に礼をする、彼の協力のおかげで、あの者達を捕まえることが出来て、あの人形を取り戻すことが出来たのだから」
「それはそうですけど」
その神官が答えると、大神官は静かに言った。
「異存はないようだな」
そうして、大神官はジャックの方を見る。




