第一章 逃げ場所、7
意識のないボクは、吹き飛んだ手足が再生していく感覚を覚える間にも、その声の語りは続いた。
「どうすれば生き残れるかを巡って、仲間と議論した。そして、生命体のいる星で次の計画を立てることにした。そこは、ここだ」
視界がふっと元に戻る。長時間が経ったように思えたが実際には、ほんの数秒の出来事だった。
「……先週の記憶が消えたのは……ボクが死んだからだ」遠い目でまっすぐに見つめたまま、揺れる唇からその重たい言葉が漏れた。
「……どういうこと?」龍登の声が耳に届いたが、それは深い井戸に投げ込まれた石のように、ボクの意識の闇へ沈んでいった。記憶を否定したくても……!何かを思いつく。子供の頃、鉄の柵で右腕をけがした。その傷跡がまだ残っているはずだ。もし、その記憶が本当なら……!
確かめるように腕を動かし、泳ぐ視線で上下を探る。しかし、目に映ったのは、引き裂かれた皮膚ではなく、欠陥ひとつない、すべすべの肌だった。目を見開く。
「このパラサイトは自分の記憶で先週の出来事を見せた。隕石の衝撃で……ボクの手足は体から吹き飛ばされた。死ぬところだったけど、パラサイトが助けてくれた。手足を再生してくれたんだ。ほら、ボクの腕の傷跡が消えてる」。ボクの言葉に龍登は眉を寄せた。
「……傷跡、あったっけ?」
「あったよ!あった!こんな状況で嘘をつくわけないだろう!」ボクは龍登の瞳をじっと見つめた。行方不明の友達が急に現れ、しかも宇宙からパラサイトを連れてきたーーそんな状況なら、普通の人の顔には、恐怖や困惑が浮かぶ。龍登の顔には、驚きすら、恐怖もない。表情は、この状況は大したことではないという勇気を表しているというわけではなく、この世界には何の意味がないから、表情を表すなんてにも意味がないのを表している。虚ろな目で、龍登は、まるで私の向こうを見つめているようだ。
「……サラのことは信じてる。けど、このパラサイトに洗脳されてるか、それが私の疑いだ」。
確かにボクにとっては、何の問題もないが、それでも、ボク自身の洗脳に気づくわけがない。困惑した目付きで、ボクは龍登の目を見た。




