第一章 逃げ場所、6
「良かった。聞いてくれ。俺は敵じゃない。むしろ、俺と仲間たちは、崩壊した星から逃げてきたんだ」
やっぱり、このパラサイトとあの隕石には関係がある。
「つまり、その隕石はお前の宇宙船なのか?」
ボクはそう尋ねると、恐竜は鳥のように首をかしげてこちらを見た。怒らせたのかどうかは分からないが、次に発せられた言葉は先ほどよりも厳しかった。
「言葉遣いが悪いな。死にかけていたお前を助けたというのに、俺にそんな態度を取るとは」
思わずボクはたじろいだ。「どういうこと?」
「先週の夜、墜落したのは宇宙船じゃなくて、俺自身だった。そして、その衝撃で、お前の体はバラバラになっていたんだ」
次の瞬間、ボクの脳裏に映像のような記憶が浮かんできた。ーー先週の出来事だ。しかし、それはボク自身の記憶ではなく、このパラサイトのものだった。フラッシュバックのように、鮮烈に流れ込んでくる。
視界は人間のものとは違い、よりもっと敏感だ。音は、遠くの家庭で衝撃に驚く声まで拾い、感触は道の細かな凹みにまで気づく。風や音、気温といった周囲の振動によって、この世界を理解しているのだ。
形を持たない自分自身は、近くのマンホールに飛び込み、下水で体温を冷ましていた。
身体を水に浸しながら、息苦しげな生物の呼吸が聞こえてくる。その時、パラサイトの中からさまざまな感情が一気に溢れだした。
ひきょうな自分のせいで、自分の星が破壊され、さらに、この星に侵入して、生物を殺してしまったという驚愕。仲間たちとまた会わなければならないという焦り。そして、追い立ててくる猟師たちが、もうすぐ迫っているという恐怖。
しばらくの間、時が止まったように感じた。あの猟師たちに、平和な日々も、豪華な風景も、自分の星そのものも奪われたのだ。何度も、何度も、その思考が脳裏で繰り返される。恐怖から悲しみへ、悲しみから後悔へ、後悔から怒りへーー感情は絶えず移ろっていった。
今度こそ、絶対に逃げない!
下水から飛び出し、苦しげな呼吸の者へと身を躍らせる。接触した途端、その生物が致命的な状態であることを悟った。
墜落の炎に肌は焼かれ、衝撃で手足は吹き飛び、血が道に広がっている。自らの身体でその生物を追い尽くすと、意識と意識が絡み合い、一つになった。
記憶が流れ込む中、パラサイトの声がボクの耳に届いた。
「正体不明の敵が宇宙から、俺たちの星に来た。対抗策を立てる間もなく、敵は俺と同じパラサイトたちを捕まえられ、眩しい光線で星そのものを破壊した。あの日から俺たちは新しい星を探し、身を隠そうとしてきた。だが、結局、敵の猟師に追われていたんだ」。




