第一章 逃げ場所、5
「パラサイト?!」ボクは反射的にヘルメットを外そうとした。しかし、何かにがっちりと貼りついているようで、びくともしなかった。
「それは無理だ。お前と俺の体は、すでに同体になった。自分の頭を引き剥がすつもりか?」
自分の頭の中に知らない男性が居座っているのと、パラサイトが体に張り付いているのとーーどちらがより気味の悪い状況なのか、判断できなかった。
「離せ!やめろ!頭から出ていけ!このクソパラサイト!」
ボク暴れる横で、龍登動じることなく近くの段ボール箱から金属くずや機械の部品を引き寄せた。そして淡々と組み合わせながら、低い声で言う。
「……サラ膝を付け」
ボクは龍登の声のほうへ体を向け、身をかがめた。突然、電流が全身を駆け抜ける。
「イテテテっ!龍登、何してるんだよ!」
「……テーザーがは効かないか。……電圧を上げる。」
さらに強い刺激が背筋を突き抜けたとき、頭の中にパラサイトの声が再び響いた。
「同体だということが、まだ分からないのか?ともあれ、俺はお前の敵じゃない、むしろ、手を貸して欲しいことがある」
手伝うこと……?パラサイトの言葉に疑いを抱くのは当然だ。でも、嘘をつかれていたら、恐竜の姿で、もう殺されていたかもしれない。いや、違う。ボクが生きているのは、こいつがパラサイトだから。宿主が死ねば、パラサイトも死ぬ。それなら……ボクから龍登に移ろうとするのか?
今のところボクは何もできない。だから、依頼を聞いてみようと思った。龍登が次の電撃を加える前に、ボクは片手を上げた。
「龍登、待って!敵じゃないって!」
龍登は、疑わしげな視線でボクを突き刺さる。
「……洗脳されたな」
龍登はそう言うと、機械のダイヤルを目一杯にひねった。テーザーを握った龍登の手が、一気にボクの顔へ伸びてきた。しかし、接触する寸前、ヘルメットがベタベタと形を崩し、ボクの左腕へ飛びかかる。
直後、それは手首に時計のように巻き付き、まるで腕時計のような形へと変化した。ただし、文字盤の代わりに小さな画面がひとりでに点滅する。そこに映ったのはーー先ほどの可愛いティラノサウルスだ。首をかしげ、じっとボクを見つめる。
「おい、龍登!俺の声、聞こえるか?」恐竜の口は動かず、さっきの男性の声がスピーカーから流れてきた。龍登は何も言わないで、宙に浮いていたテーザーを取り、電源を切った。




