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精神戦隊  作者: 魔法トロ
序章
3/15

第一章 逃げ場所、2

 ミサイルのような速度で、森を勢いよく飛び出した。後ろから聞こえる二人の怒鳴り声は、どんどん小さくなっていく。全力で首にしがみついているのに、いつか振り落とされそうな気がする。ボクの体は、恐竜に「乗っている」というより、まるで旗のようにバタバタと風に舞っていた。風が強くて目を開けているのがつらい。


「それは、公園だった!やっぱり生きてる!それでよかったけど、どこへ向かってるんだ!?」

 ティラノサウルスは、小さくガオとうなりながら幹線道路へ飛び出した。車の間を滑らかに縫うように曲がっていく。通り過ぎるたびに、車の窓から驚いた人の顔がちらりと見える。ごめんなさい!この化け物を止められない!


 幹線道路から新幹線の線路へ、そして近くのビル群れへと軽々と移す。急に動きがウサギのように素早くなり、頭がぐるぐると回ってしまった。


 トン、トンとビル群れの屋根を次々と飛び越えていく。ボクは吐き気を催した。だが、それをする前に世界が縦になった。その瞬間、ボクはピューッと上へ上へと飛び上がった。恐竜は都市で一番高いマンションの壁を登っている。


 混乱した状態でボクは下をちらりと見て、血の気が一気に引き、体が力を失った。死ぬ、死ぬ、死ぬ、マジで死ぬ!落ち着こうにも、もうそれしか考えられなかった。それなのに、ボクは目を瞑らなかった。心臓が激しく高鳴り、今にも胸を突き出そうな気がした。恐怖に震えながらも、その裏側では確かな興奮が沸き上がっていた。なぜそうしたのか、自分でもわからない。ただーーなんと楽しかったのだ。一瞬でも捕まる手を緩めれば、岩のように地面へ墜落する……そんな危険な事実があるのに、夢を叶えるためにこの国へ引っ越し、見知らぬ世界に一人で飛び込むときのようなーーそんな興奮を感じていた。


 雲の切れ間から日差しが都市に降り注ぐ。日差しはビルの窓に反射し、ピカリと輝く。この高さから見下ろす街並みは、まるで海のように広がっていた。その豪華な景色が、ボクの目に映った。


 突然、急激な動きでマンションの窓へ突っ込んで、ティラノサウルスはそのまま部屋の中へ飛び込んだ。窓ガラスが部屋の中へ四方に飛び散る。恐竜がすぐに止まった。ボクは握力を失い、そのまま壁に叩きつけられた。脳が落ち着くと、体を起こして床に座り込んだ。頭をさすりながら部屋を見渡す。


 ここは普通の私室よりも広く、まるで工作室のようだ。いくつもの作業机が並び、その上にはさまざまな機械の部品が置かれている。完成されたものもあれば、まだ金属とネジの状態のままのものもある。見覚えのある場所だ。


「……え?何でここに……?」


 言い終わらないうちに、部屋のドアがゆっくりと開いた。完全に開くと髪に青いハイライトが入った、顔に驚きのない青年が立っていた。しかし、本当は青年ではなく、25歳のエンジニアで、博士でもある小池(こいけ)龍登(りゅうと)だった。持っているコーヒーカップから湯気がひらひらと舞い上がっている。


「……」


 龍登は恐竜を目にした。絶滅から(よみがえ)ったティラノサウルスが当たり前の光景のように冷静にコーヒーを飲んだ。やがて、龍登の視線はボクに移る。苦笑いを浮かべたボクは、手をゆっくりと震わせながら、「お邪魔します」と言った。


 唇からコーヒーカップを離し、龍登は、二度(またた)いた。「……友人?」

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