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酷い女

愛人がいる邸に、ミランダと私、トーマとマイセンさんの4人で来た。



『2度と子供に会わせない。』


トーマにとって、これは困るのね。『会いたい』って泣きつくでしょうし、そうしてあげられると思ってる。



「話したい事は決まってるの。大して時間はかからないから。」


私と2人きりで話をさせるのは怖かったのか、トーマもマイセンさんも部屋に入ってきた。マイセンさんが入ったのを見て、ミランダもスッと入ってきた。


部屋には、金髪で茶色の瞳の華奢な女の子がいた。


「知ってると思うけど、私はルーナ・ラッセンよ。少し話したい事があって来たの…。」

「……」


『怖い』って言って泣きそうだわ。


「あのね、貴女がトーマと子を作ろうとなんだろうと構わないの。」

「……」

「けれど、子供には2度と会いにくるべきではないわ。」

「…どうして」

「貴女は邪魔者なの。」

「っ!?」

「ふざけるなっ!!邪魔な訳ないだろ!」


トーマが庇うように私と愛人の間に立った。かなり怒っているようだけど、気にしないわ。


「邪魔でしかない。だから私が必要だった。そうでしょ?」

「ふざけないで!!私の子供よ…会いに行って何が悪いのっ!!」


涙を浮かべながら言われるのは辛いけど、本当の事は言うべきよね。


「…もう貴女の子ではないからよ。」

「……っ」

「私とトーマは年内に離縁するわ。」

「…離縁?」

「ええ。その後、トーマは誰かと再婚する。『前妻の子』というだけで虐められる事だってあるのよ。」

「……」

「それが『愛人の子』だと知ったなら、そのリスクは上がるの。もし何かあった時、貴女は全てを捨ててでもエミリーを守る勇気はあるの?今、既に逃げてるのに。」

「ルーナ、俺は再婚はしない。」

「そう。なら話は終わりよ。」

「っ酷い!あなたは子供を産んでないからそんな事が言えるのよっ!!」

「ええ、私は結婚もしていない男と子供を作るような事はしないし、そうなったとしたなら子を選ぶわ。」

「それが出来ないから困ってるんじゃない!」


トーマもこの子も自分勝手だわ。似た者同士って事かしら。


「私と離縁した以降の事を考えて2人で行動して。邸に一緒に来てほしかったのは、それを言うためよ。」

「…本当に離縁するの……?」

「ええ。」

「トーマっ!本当なの!?」

「…まだハッキリとは決まってない。」


ハッキリ決まってないんじゃなくて、にげてるんでしょ…。


「私がずっとラッセン夫人を演じていれば、貴女はいつでも子に会える…って都合よく考えているかもしれないから、早めに伝えておくわ。」


2人とも、痛いところを突かれたって顔ね。


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