自己紹介がわりの訓練スタート②
俺たちはあれからずっと山の高台からあたりの様子をうかがっていた。
「あそこ、何が起きているのでしょう」
俺たちが山からあたりを見回しているといたるところで戦いによる砂煙がたち、たったと思えばすぐに収まり、まるで誰かが訓練場内の生徒を猛スピードですべて倒しているように見えた。
「ああ、多分やばい感じだね。みんな倒されている。あの男に」
俺たちの視線の先には一人の屈強な男がたっていた。生徒の前に現れたと思えば一瞬のうちになぎ倒していき、すぐに次の相手に移動する。圧倒的な強さの男。
「倒しに行きましょう」
メトが急に立ち上がり言った。
「え?なんで。あいつ絶対強いよ。負けるかもしれないよ?」
「あなたもわかるでしょ。あの男はそうとうやばいやつです。このままじゃ死人が出ます」
「確かに全然手加減ってものをしてないし、あの男の顔クラスで見たことないしやばいやつだってことはわかるけど。うーーーーーん、、、、わかったよ。行けばいいんでしょ行けば」
本当はいきたくないけど俺の平和な学園生活を守るためにもクラスメイトに死なれちゃ困るからな。
ライトとメトは山を下っていた。
「倒しに行くのはいいがどうやって倒すつもりなんだ?あと俺は基本的には手伝わないぞ」
「え?あなたなんて言いました?」
相手は連続で戦闘して消耗している。対する俺たちは一戦としてしていないし、メトはかなり強い。でも相手は圧倒的力で次々と敵チームを倒している謎の男。何も考えず脳死でツッコめば負ける可能性がある。だから俺の言っていることはおかしくはないとおもうんだけどなあ。まあ俺があの男の相手をするなら脳死でも大丈夫だろうけど。戦いたくないしなあ。
「なんていった?ってどういうこと?俺はどうやってあいつを倒す、、」
「いやそっちじゃなくてです。戦ってくれないんですかあなた。どうしてですか」
「どうしてって言われると、、、戦いたくないから、、、」
確かにメト目線でいったら、ついさっき『わかったよ』なんて言った男が自分は戦わないとか言い出したら「は?」って感じだよな。
「どうして戦いたくないのか教えてください。理由次第では無理に戦えとは言いません」
「、、、、」
「なぜ戦いたくないのですか。答えてください。なぜですか」
「ああああ。わかった。しっかりと説明するから、いったん落ち着いて。」
説明するといったもののどうしよう。「今足ケガしてる」がいいか?「ちょっと腹痛が」の方がいいか?どうすればいいんだああ。ここは正直に言うしかないか。
「あのーなんて言ったら良いのかわかんないんだけど、、、あーーあのー」
「そんなに言いづらいことなのですか?別に怒ったりはしませんよ?ただ理由を知りたいだけです」
本人は怒っていないとは言っているが俺からしたら怒っているようにしか見えない。学校の先生とかだって怒らないから正直に言いなさいと言っておきながら本当のことを話すと「なんでそんなことをしたんだ。」とか「それはやっていいことなのか。」とかいろいろと言いながら説教をしてくる。今の状況はそれと同じだ。だからといって嘘をつくのはダメだし、、。いやここは思い切って
「えーと。戦いたくない理由は、、、目立ちたくないからです。」
嘘を言ってしまったー。でも時には自分を守るためにも嘘をつく必要がある。多分今がその時だ。多分、俺の選択は間違っていない。
「え?どういうことですか。目立ちたくないから?」
やっぱこういう反応だよなあ。俺もそういいたくなる気持ちはわかる。まだ「俺は弱いから足手まといになる。」とか「ケガをしているから最前線で戦うのは無理。」とかならわかる。だが俺が言ったことはただのわがままに過ぎない。たぶんここから説教の始まりだ。
「本当にそれが理由ですか?まああなたが嘘をつくような人にはみえないから信じてあげます」
「え?それだけ?説教はないの?」
「説教?そんなに怒られたいのですか?あなたやっぱり変態ですね。なんか寒気がします」
さすがに俺だって説教されたいわけではないが、つい怒られるかと思っていたからおどろいた。
「いや、説教されたいわけではないけど。その言葉からすると俺が戦わないということを許すってことでいいの?」
「ええ、そうですよ。でも一つお願いがあります。私はあなたのわがままを怒りもせず許しました。あなたも私の願い、きいてくれますよね?」
これはかなりの高等テクニック。自分はあなたのために動いたということを先に言っておくことで相手にこれを断ったら自分の人間としての価値が下がるということを悟らせ、絶対に断れなくするという技だ。まんまとかかってしまった。この技を食らった時、できることはただ一つ。
「はい。願いをお聞かせください。」
丁寧にあいての願いを聞き入れること。これしかない。
「私の願いは、えーと。私がもしあの男に苦戦して負けそうになったらその時は一緒に戦ってください。わかりましたか」
「はい。わかりました。その時は一緒に戦わせていただきます。」
これくらいの願いならお安い御用だ。ちょっと戦うぐらいならいいだろう。
「なんで急にかしこまっているんですか?なんかこわいです」
「その何か得体のしれないものを見るような目はやめてくれ。」
「まあ何はともあれ頼みました。でも私はあの男に負ける気なんて一ミリとしてありませんので安心してください。あなたの出番はないかもしれません」
「出番が来ないことを祈るよ。一度もたた、」
「静かに」
一歩ほど前を歩いていたメトが俺がこれ以上前に進まないように腕を伸ばしてきた。極力音をたてないように植物をゆっくりかき分けながらメトがみているところをみた。俺たちの目線の先にはあの男と男子生徒が一人いた。男子生徒の方は立っているのがやっとといった感じだった。あの男の方は今まで何戦もしてきたことをどこからも感じさせないほど無傷でぴんぴんしていた。
「私は彼があの男にやられそうになったら攻撃を開始します。あなたはもしもの時すぐ助けに来れる位置にさえいてくれればどこにいても構いません」
「わかった。じゃあ俺は少し山を登る」
「急に逃げたりしないでくださいね」
「安心してくれ。メトがやばそうになった時は必ず助ける。流石の俺も嘘はつかないからな」
こうやって念を押してくるあたり、今から戦う相手の実力が自分と同等もしくは自分以上ということをしっかりわかっているのだろう。そして心のどこかに勝てるかわからないという不安があるのだろう。そんな不安に思っている自分の心を無視してまで戦う理由。俺にはわかんない、こともないか。俺も昔そんな感じだったしなあ。
「あなたを信じます。もしもの時はお願いします」
「はい。任されました。」
俺たちそこでわかれた。メトはその場で待機、俺は山を登りいざという時のためにスタンバイ。なんかこれチームって感じがして、、、わかんないけどなんかいい気分!!
だけどちょっといやぁな感じがする。多分あの男、、、、、
メトが隠れて二人を見ていると
「お前ももうおしまいだ」
男が男子生徒に向かって銃を向けた。
バンッ
男が引き金を引こうとした瞬間男の頭に向かって銃弾がとんできた。男は銃弾を少しのけぞるようにして避けた。男が銃弾を避けるとほぼ同時にメトが男との距離をすばやく詰め至近距離で銃弾を3発撃った。男は3発の銃弾をぎりぎりのところでよけきった。
「次は誰だ。銃の発砲とほぼ同時に動くことによって相手の意識をそらし、距離を詰めさらに発砲。うまいな、もう少しであたるところだった。これは、、、なかなか面白い戦いになりそうだ。」
最後まで見てくださりありがとうございます。次回こそメトやライトの実力が明らかになってくるとおもいます。土曜日ぐらいには次話を投稿したいと思います。ぜひみてくださいね。皆さんありがとうございました。




