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竜滅者たちの進化論(おかげさまでPVが15万を超えました。ありがとうございます)  作者: 紫木翼
3章

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探り合い

 アヤネに邪魔だけはしないように告げた後、『妖精女王』はすぐさま目の前の二本角に殴りかかった。

 今回『妖精女王』とアヤネが対峙した二本角は薄緑色の角と白と黒の斑模様の角を持っており、二人が部屋に入った時から斑模様の角は光っていた。


 Sランクの邪竜の角が光っているのはその邪竜が能力を使っている証拠で、『妖精女王』は二本角の能力に警戒しながら二本角へと近づいた。

 そして『妖精女王』の拳が二本角に当たる直前、『妖精女王』の拳は見えない何かに阻まれ、その上攻撃を止められた次の瞬間には『妖精女王』は後ろへと吹き飛ばされてしまった。


 吹き飛ばされたといっても精々一メートル程後退させられただけで、『妖精女王』はダメージという程の傷は負っていなかった。

 そのため『妖精女王』はひるむことなく二本角へと殴りかかったのだが、『妖精女王』の攻撃は全て二本角の能力によって防がれた。


 自分の攻撃が防がれる度に二本角の薄緑色の角が光るのを『妖精女王』は確認していたので、先程から『妖精女王』の邪魔をしている能力は薄緑色の角の能力らしかった。

 下で邪竜の群れ相手に足止めをしている隊長たちのことを考えると『妖精女王』としても今回はできるだけ手早く勝負を終えたかった。


 そんな状況で目の前の二本角が防御向けの能力を持っていたことに『妖精女王』は舌打ちしたが、邪竜の能力に文句を言ってもしかたがない。

 これまで二本角と戦闘を行いながら目を凝らし、『妖精女王』はこの二本角の能力が障壁というよりは衝撃波に近いことに気がついていた。


『妖精女王』が目を凝らして空気の流れを読んだところ、この二本角の衝撃波の大きさは直径一メートル程だった。

 衝撃波がこの程度の大きさなら攻撃の直前でフェイントを入れれば二本角に攻撃を当てられるだろう。


 そう考えた『妖精女王』は今まで同様二本角の衝撃波に正面からぶつかるように見せかけ、途中で進路を変えた。

 その結果魔力を集中させた『妖精女王』の拳は二本角の胴体に当たり、『妖精女王』の攻撃を受けた箇所は周辺ごと吹き飛んだ。


 すかさず追撃を加えようとした『妖精女王』だったが、それより先に『妖精女王』が拳を当てた場所から衝撃波が撃ち出されて『妖精女王』は再び二本角から引き離された。

 しかも先程の『妖精女王』のフェイントを受けて二本角は衝撃波を広範囲に飛ばすようになり、『妖精女王』はフェイントで衝撃波を回避するどころか二本角の衝撃波を幾度もその体に受けることになった。


 幸い衝撃波の威力自体はそれ程でもなかったが、全力で魔力を放出しないと『妖精女王』ですら動けない程度の威力はあった。

 自分の攻撃を受けて能力の出力を上げてきた二本角を前に『妖精女王』は心底忌々しそうな表情をした。


「僕相手に出し惜しみしてたとはいい度胸してる。……力押しでいってもいいけどどうしよう」


 この衝撃波だけなら『魔装』を使えば突破できたが、斑模様の角の能力が分かっていない以上簡単に切り札を切るのは『妖精女王』としてもためらわれた。

 二本角の巨体に視界を遮られて直接見ることはできなかったが、時折聞こえてくる音から察するに二本角の体の向こう側では自分を見るなりすぐに逃げ出す隊長様も戦っているはずだ。


 二本角が衝撃波を撃ち出せる数に限界がある可能性もあり、下の隊長たちもさすがにそうすぐには負けないだろう。

 そう考えた『妖精女王』は『魔装』を使わずに前へと進み二本角との削り合いを始めた。

 

 一方『妖精女王』の反対側で二本角と戦っていたアヤネは、二本角の衝撃波を何度も受けて精神的にかなり参っていた。

 最初はレイナの様な障壁を張る能力を持っていると思っていた二本角が気づいたら高火力かつ不可視の衝撃波を何発も撃ってくるのだ。


 二本角の放つ衝撃波が大きくなった時点でアヤネの闘志はほぼ折れていた。

 セツナやこの二本角の様に広範囲に攻撃できる相手にアヤネができることなどほとんどなく、アヤネは最初に二本角が放っていた小規模な衝撃波すら『時間加速』も使い何とかしのいでいた。


 今回の様に単純に火力が必要な相手なら二階の足止めにはヴェーダの代わりに自分が残るべきだったとアヤネは後悔したが、今から二階に降りて邪竜の群れをもう一度突破するのはさすがに難しいだろう。

 とりあえず二本角の注意を少しでも自分に引きつけようと二本角相手の攻防を続けてはいたが、アヤネは既に自力での二本角討伐は諦めていた。


「……もうあんたに任せるしかないんだから早く倒してよ」


『妖精女王』に向けてつぶやく様に無責任な発言をした後、アヤネは二本角へと立ち向かい、その後も武器や手足を吹き飛ばされながら『妖精女王』が二本角を倒すのを待った。


 しばらく二本角の放つ衝撃波を体に受けながら二本角と一進一退の攻防を繰り広げていた『妖精女王』だったが、このままでは押し切れないと判断して『魔装』の使用を決めた。

 一度『魔装』を発動すれば二本角の衝撃波など物の数ではなく、『妖精女王』は難無く二本角に近づき二本角の体に拳を叩き込み始めた。


『妖精女王』の攻撃を受けた二本角は、最初能力を使い『妖精女王』を吹き飛ばそうとした。

 しかし『魔装』を発動した『妖精女王』は二本角の攻撃などものともせずに二本角への攻撃を続け、二本角の回復速度を上回る勢いで二本角の体を拳で破壊していった。


『魔装』の発動中は魔力を体の一部に集中して強力な攻撃を放つことはできないが、それでも『魔装』自体が並の武器をはるかに上回る殺傷能力を持つ。

 二本角は『妖精女王』の攻撃になす術も無く苦悶の叫び声をあげ、その後上空へと逃げ出した。


 今『妖精女王』たちが戦っている繭の三階はAランク以上の邪竜が余裕を持って空中を旋回できる程度の広さがあり、二本角がその気になれば空中に留まり『妖精女王』の攻撃から逃れることもできた。


 実際二本角が上空に逃れた途端『妖精女王』につけられた傷口が変形し、それを見た『妖精女王』は二本角が回復のために上空に逃れたのだと判断した。

 せっかくの二本角を相手に短期決戦で終わらせるのはもったいないが、今回は状況が状況なのでしかたがない。


 そう考えて『妖精女王』は二本角が高度を上げる前にとどめを刺そうと跳び上がった。

 これまでの感触だと後一分もかからずに二本角に致命傷を与えられると『妖精女王』は考えていたのだが、二本角は傷の回復のためだけに上空に逃れたわけではなかった。


『妖精女王』が二本角の傷口目掛けて跳び上がったのに合わせて二本角は傷口から二体の邪竜を生み出し、二体の邪竜はそのまま『妖精女王』目掛けて落下した。

 邪竜といってもそれらの邪竜には角も翼も無く、蛇と表現した方が正確な姿をしていた。


 しかし例え翼が無くともこれらの邪竜は『妖精女王』目掛けて落ちてくるのだから『妖精女王』にとっては邪魔者以外の何物でもなく、自分目掛けて落ちてくる邪竜を見て『妖精女王』は舌打ちした。


「ちっ、めんどくさい。まあ、建物の方だったら壊すの面倒だから楽にはなったけど」


 仮に今『妖精女王』たちがいる建物がここ数日アイギスに送り込まれていた邪竜を生み出していたら、二本角を倒した後でこの建物を壊さなくてはならなかった。

 そういった意味では邪竜を生み出しているのが二本角で助かったが、その分二本角を倒すのが面倒になってしまった。


 二本角から生えてきた邪竜は『妖精女王』の『魔装』にぶつかりいずれも吹き飛んだが、空中で思わぬ衝突を強いられたせいで『妖精女王』は上空の二本角へと到達できず床へと落下した。

 仮に先程体から邪竜を生み出したのが二本角の二つ目の能力だとした場合、毎日二体ずつAランクの邪竜がアイギスに送り込まれたのもこの能力によるものだと考えるのが妥当だ。


 そうなると二本角が生やせる邪竜はあれで打ち止めだが、果たしてどうなるか。

 自分の予想を確かめるために『妖精女王』はもう一度二本角目掛けて跳び上がり、再び舌打ちをするはめになった。


 二本角の身体数ヶ所から合わせて六体の邪竜が生えてきたからだ。

 先程の戦闘でこの邪竜の戦闘力が大したことがないことは分かっていたが、跳び上がっているだけの状態で空中で妨害を受けるといくら『妖精女王』でもどうしようもない。


 自分に襲い掛かる邪竜二体を倒した時点で『妖精女王』の跳躍の勢いは失われ、『妖精女王』は邪竜四体と共に床に落下した。

 床に落下した後邪竜を全て倒し、『妖精女王』は再び上空にいる二本角に視線を向けた。


 いくら広いといっても今『妖精女王』たちがいる場所は屋内なので、二本角は跳躍で届く高さを飛んでいた。

 しかし再び二本角に飛び移ろうとしても途中で軌道を変えられない以上何度やっても結果は同じだろう。

 こっそり『飛燕』を持ってくればよかったと反省しながら『妖精女王』はアヤネに無線を繋いだ。


「今から邪竜に攻撃を仕掛ける。床に落ちてくる邪竜の相手は任せる」

「ええ、分かったわ」


『妖精女王』、そしてアヤネも気づいていたが、二人の予想通り二本角の斑模様の角の能力は邪竜の生産だった。

 二本角はAランクの邪竜を一日二体しか生み出せないが、今回の戦闘中に生み出した簡易版の邪竜なら一日に百体近く生み出すことができた。


 簡易版の邪竜を生み出すことに能力を使うとAランクの邪竜の生産が止まり、どちらの邪竜を生み出すにしても二本角自体の魔力を消費する。

 そのため二本角の斥力(衝撃波というのは『妖精女王』とアヤネの勘違い)の能力を突破できなくても、長期戦に持ち込んで邪竜をひたすら生産させれば今回の二本角を魔力切れで消滅させることは可能だった。


 しかしそれには六十時間近く二本角と戦う必要があるため体力的に難しく、そもそも『妖精女王』もアヤネも二本角の能力の詳細は知らないのだからこの作戦は取りようがなかった。

 アヤネとの通信を終えた『妖精女王』はこれまで同様二本角に正面から突撃し、それを受けて二本角は再び邪竜もどき六体を生み出した。


 今回二本角が生み出した邪竜たちは落下の勢いそのままに『妖精女王』に襲い掛かったのだが、邪竜たちは空中の『妖精女王』に触れることなくそのまま床へと落下した。

 自分の生み出した邪竜たちを先程から自分が戦っている人間がどうやって回避したのかは二本角には分からなかった。


 しかし二本角にはもう一つの能力がある。

 二本角は今も自分目掛けて突撃してくる人間に不可視の斥力波をお見舞いした。

 しかしこの斥力破も『妖精女王』を素通りし、やがて斥力破は繭の壁に命中した。


 先程の邪竜数体はともかく今の自分の斥力破はとても回避できる大きさではなかった。

 それにも関わらずどうして自分の目前まで迫っている人間は無傷なのか。

 二本角がそう不思議に思っていた時、二本角は左の翼に異変を感じた。


 二本角がこの異変に気づいた時にはもう手遅れで、二本角が『妖精女王』の幻影に気を取られている間に本物の『妖精女王』は二本角への攻撃を始めていた。

 隊長並の強さを持った能力者にとっては邪竜の体の上に到着した時点でもう勝った様なもので、『妖精女王』は隙だらけの二本角の左の翼に拳や蹴りを叩き込んだ。


『妖精女王』が攻撃を始めてから十秒足らずで二本角は飛行能力を失い、その後『妖精女王』は無防備な二本角の背中への攻撃を始めた。

 二本角は背中にいる『妖精女王』を振り落とすべく体を揺さぶりながらも、背中から邪竜の首を十本生やして目視でも敵の姿を発見しようとした。

 しかし現在の『妖精女王』は能力で姿を消しており、二本角は敵がどこにいるのかすら分からなかった。

月曜に用事ができたので今日投稿します。

これからは曜日と時間が不定期になると思いますが、ペース自体は落ちないと思います。

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