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竜滅者たちの進化論(おかげさまでPVが15万を超えました。ありがとうございます)  作者: 紫木翼
4章

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追加任務

いつも読んで下さりありがとうございます。

おかげ様でモチベーションを維持できて一年間投稿を続けることができました。

今後も読んでもらえると嬉しいです。

 ミアたちと別れてすぐにシュウが会議室に向かうと既に会議室には半分以上の隊長がいた。

 セツナがいないのは当然として他に会議室にいない隊長はアヤネ、リク、ヴェーダの三人だけで、治安維持局の仕事があるこの三人が他の隊長たちに遅れて会議に参加するのはいつものことだった。

 そのためシュウはアヤネたちの不在に何の反応も見せずにレイナに一枚のDVDを渡した。


「私が思いついた十三種類の能力の使い方を実際に使っているところを撮ったものです。才能が無い人たちの役に立つように内容はかなり抑え目にしたので教材にでも使って下さい。あ、撮ったのは体が入れ替わる前ですからそこは安心して下さい」

「……何をして欲しいの?」


 シュウが自主的に一般の隊員向けの教材用の映像を用意していたと聞き、レイナは礼を述べるより先にシュウに差し出されたDVDの対価を尋ねた。

 シュウが完全な厚意でこの様な映像を用意するはずがないと考えたからで、レイナ以外の隊長たちもシュウの真意をつかみ損ねていた。

 そんな同僚たちの視線を受けて苦笑いしながらシュウは今回教材用のDVDを用意した理由を口にした。


「来月の会見出るだけ出て適当に済ませようと思ってたんですけど、でもさすがに何の準備もしないで出るのは怖かったんですよ。ほら、私って口下手ですから」

「……どんな準備してるのかは聞いても答えないだろうからそれはいいとして、記者会見に向けての準備とこのDVDがどう繋がるの?」


 シュウやアヤネが手に入れてくる犯罪にまつわる情報の中には警察も報道機関も全く把握していないものが頻繁に含まれていた。

 それらの出所を聞かされても愉快なことにならないのは容易に想像でき、レイナも子飼いの情報源の数人ぐらいは抱えている。

 そのためシュウの言う準備については深入りせずにレイナは話を進め、それを受けてシュウは来月の会見への意気込みを語った。


「私テレビの記者会見なんてほとんど見たことないですけど、あれって要するに記者が相手を社会的に殺そうとしてるんですよね?」

「……いや、普通に事件の概要とかを説明するためにも開かれるけど、あんたの言ってる様な会見もいくつかはあるわね。で、記者たちがあんたを社会的に殺そうとしてるとしてあんたはどうするつもり?」


 記者たちが自分を社会的に殺そうとしているという内容の発言を笑顔で口にしたシュウを見て、レイナはこの時点でシュウが会見で何をしようとしているのかを察した。

 正直な話この時点でレイナはシュウとの話を終えたかったのだが、シュウが用意した教材は魅力的だったので気力を振り絞ってシュウとの会話を続けた。


「何する気か知らないけど会見の後で事務局にとばっちりが飛んでくるのね。じゃあ、そのDVDは慰謝料としてもらっておくわ。……大したことなかったら許さないわよ?」


 一応シュウの企みには気づいていない振りをしながらレイナはシュウの用意した映像の出来を確認し、そんなレイナの質問を受けてシュウは不敵な笑みを浮かべた。


「心外ですね。制作一週間、二時間超の大作ですよ?冗談抜きで超役に立つと思います」


 そう言ってレイナにDVDを手渡した後、シュウはレイナとクオンに先程サヤと話した内容を伝えた。

 話題が急に飛んだ上に新しい話題の内容がかなり衝撃的だったこともありレイナはすぐに返事ができなかったが、クオンはシュウの提案にすぐに反応した。


「……シュウの体を治した時に拒絶反応が出なかったのはたまたまの可能性があるからそれを調べる必要はあるけど、考え自体はそんなに悪くないと思う。何もしないと一年も持たない病人からすれば朗報だし」

「そのサヤという方の創った内臓は時間が経っても消えないのですか?」


 アヴィスは明日シュウを殺すつもりだったのでサヤがシュウの傷を治せるという事実はどうでもよかった。

 しかしシュウの遺していくサヤがアイギスでの影響力を増すのはおもしろくなかったので、アヴィスはサヤの創った内臓を他者に移植するという案に疑問を呈した。

 そんなアヴィスの発言を受けてクオンは自分の考えを伝えた。


「サヤさんの血についてはもう研究局で実験してるけど、栄養さえ与えれば理論上は二十年は持つはずだから移植を受ける相手の同意さえもらえば大丈夫だと思う」

「……その実験、本人の許可取ってますか?」


 サヤの上司の自分が知らなかった実験を突然聞かされてシュウはクオンに疑いの目を向けたが、クオンはシュウの視線を受けても平然としていた。


「当然もらってる。『飛燕』二つをただで作るって言ったら喜んで同意書にサインしてくれた」

「……そうですか」


 いつクオンがサヤの同意を取ったのかは分からないがおそらくサヤはその同意書とやらの内容をきちんと理解していないだろう。

 詐欺同然のクオンのやり口にシュウは呆れたが、シュウも大きな声では言えないことの百や二百はしてきたので結局何も言わなかった。

 そうしてシュウとクオンの会話が途切れたのを見測ってシンラがシュウに話しかけてきた。


「今後のことももちろん大事ですが、今は明日のことに集中してもらえませんか?」

 このシンラの発言を聞きシュウは不思議そうな表情を浮かべた。


 明日の邪竜との戦いについては既に全て決まっていたからで、シンラの発言の意味が分からなかったシュウにシンラが研究局からの報告を伝えた。


「明日シュウさんとミアさんが戦うSランクの他にもう一体Sランクが現れるそうです」

「へー、それはまた……」


 Sランクの邪竜が同時に二体送り込まれてくると聞きさすがにシュウも驚き、その後は雑談をする雰囲気でもなくなったので隊長たちはアヤネたちの到着を待つことにした。

 その後一時間もしない内にアヤネたちが到着して明日の二体目のSランクの邪竜についての話し合いが始まったのだが、シュウが出撃してコウガがアイギスで待機という形が取れない今回の布陣を決める会議は難航した。


「Sランク二体同時かー。……もしかしてこれからはこれが当たり前になる感じなのかしら?」

「どうでしょう?今回は私が強制参加ですからみなさんが暇しないように『創造主』が気を遣っただけかも知れませんし」


 一時間程前に研究局が知らせてきた情報によると先日『創造主』がシュウたちに告げた場所とは別の場所にもう一体Sランクの邪竜が現れるらしい。

 シュウとシンラの勘による邪竜出現の察知は外れこそしないが数までは分からないので、元々現れることになっていた一体目のSランクの邪竜の気配に紛れて二体目の気配に気づけなかった。


 シュウとコウガがいる以上理屈の上ではSランクの邪竜二体までは対処可能だ。

 しかし以前の性別縛りの様なことをされるとそうもいかなくなり、現れたSランクの邪竜が二本角だった場合も考えるとSランクの邪竜を二体同時にする事態が頻発するとほとんどの隊長がいずれついていけなくなるだろう。

 そう考えて面倒そうな表情浮かべたアヤネの心配にほとんどの隊長が共感していたが、唯一の例外、シュウはそれ程不安を感じていなかった。


「私、コウガさん、セツナさんがいるんですから三体までは余裕でしょう。四体目もぎりぎりいけると思いますし、『創造主』もそうほいほいSランクの数は増やしてこないと思いますから大丈夫ですよ」

「……Sランク三体が現れた場合の対策はその時に考えるとして、とりあえず今は明日二体目のSランクと戦う隊長を決めましょう」


 また話が脱線しそうだったのでシンラはシュウの発言を止めて明日出撃する隊長を決めた。


「二体目のSランクには私、リンドウさん、コウガさんで対抗し、後方には『リブラ』に待機してもらいます」


 今回シュウとミアの戦いの後詰としての参加が見送られた『リブラ』の参加をシンラが口にした瞬間、ほとんどの隊長の表情が変わった。

 しかしこのことを予想していたシンラは他の隊長たちの反応に動じず話を進めた。


「明日のリクさんとヴェーダさんの配置を見てまた騒ぐ人たちもいるでしょうが、『リブラ』の後方待機が多いのは別にお二人に気を遣ってのことではありません。ここで『リブラ』を出さないのは戦略的にあり得ませんし、むしろここで『リブラ』を出さないと『ロイヤルアイギス』の記事の内容を認めたことになると思います。ですから明日は『リブラ』にも出てもらいます。いいですね?」

「「はい。分かりました」」


 シンラの視線を受けたリクとヴェーダは少し考え込んだもののすぐにシンラに返事をし、そんな二人にシュウは笑みを向けた。


「そんな心配することないですよ。Sランクとの戦い自体はコウガさんたちに任せておけば問題無いですし、うっとうしい雑音については私やレイナさんが対応します。お二人は言われたことにだけ集中して下さい」


 ミアの顔で優しく笑いかけられたリクとヴェーダは目の前のミアの中身がシュウだということを一瞬忘れてしまい、不安や緊張から多少は解放された。

 そんな二人を見たシュウはやや不満そうな表情を浮かべた。


「……言ってること普段と変わらないと思うんですけど何でこんなに反応が違うんですかね?」


 合宿中のギオルなどもそうだったが体が変わったぐらいで自分への周囲からの反応があからさまに変わったことがシュウには不思議だった。

 そのため自分の発言を聞き安堵の表情を浮かべたリクとヴェーダを見てシュウは首をかしげたのだが、そんなシュウにレイナが話しかけた。


「普段のチンピラみたいな話し方とその話し方じゃ周りの反応違うのは当然でしょ。気づいてるだろうけどあんた事務局の局員に避けられてるわよ?」

「私みたいな紳士つかまえてチンピラはないでしょう。まあ、言いたいことは分かりますけどこのしゃべり方続けてると胃に穴が開きそうなんで諦めて下さい。避けられてるのも別にモブにどう思われても困りませんしね」


 シュウのこの乱暴な発言を聞きレイナは呆れると同時にどこか安心し、ここでシンラがシュウに話しかけてきた。


「個人的な頼みになってしまいますが明日はミアさんのことをよろしくお願いします。シュウさんの強さを疑ってはいませんが相手の能力次第では苦戦するでしょうから」

「安心してて下さい。明日は十四個目の教材を撮りに行くぐらいのつもりでいます。孫娘さんも流れ弾で死なない程度には訓練してもらったので大丈夫ですよ。あなたも明日は安心してて下さいね?何なら寝ててもいいぐらいですよ」


 シンラに安心するように言った後、シュウはアヴィスに話しかけたのだが、寝ていてもいいと言われたアヴィスは真面目な表情を崩すことなくシュウに返事をした。


「シュウさんを疑うわけではありませんけど部下の手前さすがに寝るわけにもいきません。隊員共々お二人が無事に帰るのを待っています」

「……ええ、お願いします」


 シュウの軽口を受けてもまるで表情を崩さないアヴィスの発言を聞き、シュウは不敵な笑みを浮かべた。


「シュウさんたちの方ももちろんですが私たちが戦うSランクもどんな能力を持っているか分かりません。明日は残りの隊も本部待機でお願いします」


 このシンラの発言に他の隊長たちが返事を返して会議が終わる中、シュウは先程のアヴィスとのやり取りを思い出して明日は面倒な事になりそうだなと嘆いた。

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