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竜滅者たちの進化論(おかげさまでPVが15万を超えました。ありがとうございます)  作者: 紫木翼
3章

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「どうして私たち二人までここに呼ばれたんですか?シュウ隊長は心当たりがあるみたいですけど」


 今回の邪竜が『創造主』の言う通りシュウの魔力を感知してこの場に転移させたというなら自分とミアが揃って呼ばれるのは妙だ。

 しかもシュウが二人が転移させられた理由に心当たりがある様子だったことにもサヤは戸惑い、思わず質問を投げかけてしまった。

 そんなサヤから『創造主』はすぐに興味が無さそうに視線を外し、その後シュウがサヤの質問に答えた。


「お前ら毎日の様に俺にぼこぼこにされてるからな。それで俺の魔力が残ってたんだろ」

「それだと『フェンリル』の隊員全員呼ばれない?」


 シュウの説明に納得いかなかったミアまで会話に参加してきたが、ミアのこの質問にシュウは少し考えてから答えた。


「他の連中は週一でしか俺の攻撃受けてないから呼ばれなかったんだろ。そもそもお前らと他の連中の違いなんて他に無いんだからそれしか考えられないだろ」

「まあ、……そうね」


 シュウの説明に完全に納得したというわけではなかったが、それでも『創造主』の前でこれ以上長々と話すのは怖かったのでミアはそれ以上何も言わなかった。

 その後シュウは『創造主』に視線を戻して会話を再開した。


「結局運がよかっただけか。またうぜぇ邪竜送り込んでくれたな」


 自分以外にミアとサヤまでこの場に転移された理由が分かった以上、シュウとしてはこの話題を続けたくなかったのですぐに話題を今回の邪竜に戻し、そんなシュウに『創造主』は笑いかけた。


「安心しろ。もう今回の邪竜は送らない。同じことを繰り返しても見ていてつまらないからな」

「つまらない?お前人間の進化早めるとかいう馬鹿な理由で邪竜送り込んでるんじゃなかったのか?前に本でそう読んだぞ?」


 今回の邪竜が再び送り込まれることはないという『創造主』の発言に嘘が無いと悟りシュウは内心安心していたが、それを表情には出さずに『創造主』の発言で引っかかった部分について尋ねた。

 もっとも『創造主』が邪竜を送り込み始めたのは二百年前のことなので、それに関する記述などおとぎ話に近い代物だ。


 そのため『創造主』の発言と以前読んだ本の内容に食い違いがあってもシュウはそれ程気にしておらず何気無く質問をしただけだった。

 しかしこのシュウの質問に対する『創造主』の答えがこれからの流れを大きく変えることになった。


「もちろん邪竜を送り込む一番の理由はお前たちの進化を早めるためだ。だが邪竜を送り込む際にこちらも色々苦労しているのだからそれぐらいの役得はあってもいいだろう?」

「役得ねぇ。ま、今さらお前に邪竜送り込むなって言っても無駄だからそれはいいけど、俺のこと放っておいて本当にいいのかよ?俺まだまだ強くなるぜ?」


『創造主』の今後の動きを探るためにシュウがしたこの質問に『創造主』は含みのある笑みを浮かべながら答えた。


「一つの街にお前と同等の使い手が四人もいると思ったからお前を消そうと思ったのだ。それが勘違いだったと分かった以上もうお前を狙う必要はなくなった」

「なるほど、俺お前の勘違いで殺されかけたわけか」


『創造主』の勝手な発言に呆れながらもシュウは心の中で胸を撫で下ろしていた。

『妖精女王』を戦力に数えたのは確かに『創造主』の早とちりだったが、シュウ、コウガ、セツナに匹敵する強さの四人目は実際にアイギスに存在する。


 自分に匹敵する強さを持つ四人目の存在が『創造主』に知られていないことにシュウは安堵したのだが、極力『全知全能』を使わないことにしている『創造主』はそのことに気づかないまま帰ろうとした。

 しかし自分の勘違いが原因でこれまで自分を楽しませてくれたシュウに不要な苦労をさせたのは事実だったので、『創造主』はシュウに一応謝っておくことにした。


「今回のことはすまなかったな。私だってたまには失敗する。少し前に送り込んだ能力を封じる邪竜もほとんどの場所で想像以上の被害を出してしまったからな。だが失敗はちゃんと活かしているつもりだ。今日だって能力は封じていなかったからお前たちは勝てただろう?これからもお前たちの糧になるような邪竜を送り込むからがんばって私を楽しませてくれ」


 そう言って『創造主』は立ち去ろうとし、シュウは『創造主』の身勝手な発言に対して何も言わなかった。

 今さら『創造主』が考えを改めるとはシュウは思っておらず、改善の見込みが無い相手に怒りを向けても疲れるだけだ。

 そう考えてシュウは何も言わなかったのだが、『創造主』の発言を聞きミアは怒りを露わにした。


「ふざけないで!何が失敗を活かすよ!あんたのせいでこれまでどれだけの人間が死んだと思ってるの?」


『創造主』が言った能力を封じる邪竜とはおそらく三年前に現れてシンラに重傷を負わせた邪竜のことだろう。

 自分の憧れだったシンラにあれだけの怪我を負わせた張本人が三年前の出来事を失敗などという軽い一言で片づけたのを聞き、ミアは声を荒げながら『創造主』をにらみつけた。

 そんなミアを見て『創造主』は不思議そうな顔をしながらシュウに視線を向けた。


「どうしてこの女は突然怒ったのだ?私はちゃんと謝っただろう?この女が怒った理由が分からない」


 そもそも『創造主』は自分が楽しんでいる側面こそあるものの純粋な善意で人間たちに邪竜を差し向けており、実際能力を与えられて邪竜と戦うことで人類は邪竜出現前より生物として高みに至ろうとしていた。


 人類の成長のきっかけとなった自分がどうして人間から恨まれているのかが『創造主』には理解できなかった。

『創造主』は邪竜と戦い人類が種として成長する過程を楽しんでいるだけで、その過程で出る犠牲者など気にも留めていないからだ。


 送り込む邪竜の強さの調整を間違えて想定以上の犠牲が出たら反省はするが、それで『創造主』は心を痛めたりはしない。

 先程の『創造主』のシュウへの謝罪はあくまで強い相手と不要な戦いをさせたことに対するものだ。

 そんな相手にミアがどれだけ怒りをぶつけたところで響くわけもなく、怒りを露わにしたミアを不思議そうに見ていた『創造主』の心情をある程度は理解していたシュウはミアをなだめた。


「落ち着け。さっきも言ったけどこいつに何言っても無駄だ。セツナみたいな奴に人殺しは悪いことですって言ってる様なものだぞ」

「あんたは邪竜に大切な人傷つけられたことがないからそんなことが言えるのよ!」


『創造主』に怒りを覚えていたこともありまるで聞き分けのない子供をあやす様に自分に話しかけてきたシュウをミアはにらみつけた。

 しかしミアの鋭い視線を受けてもシュウは顔色一つ変えなかった。


「俺がガキの頃の討伐局は今よりやる気無くて外周部は当たり前の様に戦場になってた。その時の知り合い何人も邪竜に殺されてるんだけどこれで満足か?」


 怒りを露わにした自分を見て呆れた表情を崩そうとしないシュウを見ている内にミアは冷静さを取り戻し、やがてシュウに謝罪した。


「ごめん。言い過ぎたわ」

「気にするな。まあ、とにかく頭いかれてる奴とはまともに話すだけ時間の無駄だから、もう黙ってろ」


 そう言ってミアをなだめた後、シュウは『創造主』に視線を向けた。

 シュウは『創造主』にさっさと帰るように言うつもりだったのだが、それより先に『創造主』はまたしてもミアの神経を逆撫でする発言をした。


「お前が怒っているのはお前の祖父があの時に怪我をしたからか。しかし確かあの事件がきっかけでその男は機構に入ったのだろう?それなら最終的には機構としてはあの事件で得をしたことになる。どうして怒っているのか理解に苦しむな」

「お前、もうまじで早く消えろ」


 ミアを煽っているとしか思えない『創造主』の発言を聞き、シュウもさすがに呆れより怒りを強く覚えながら『創造主』に帰宅を促した。

 三年前に送り込んだ邪竜について謝った途端目の前の女が自分に怒りを向けてきたことを受け、『創造主』は目の前の女が怒り出した理由を調べた。


 シンラの強さは『創造主』の目に留まる程ではなかったが、シンラ程長く邪竜と戦い続けている能力者は世界全体を見ても少なかったのでシンラの存在は一応『創造主』の頭の片隅に残っていた。

 そのため比較的すぐに『創造主』はミアとシンラの関係に気づけたのだが、それでもやはり『創造主』にはミアが怒っている理由が分からなかった。


 目の前の女の祖父は今も無事に邪竜との戦いを続けているのだから怒る必要など一切無いはずだ。

 そう考えた『創造主』はミアに罪悪感を覚えるどころか取るに足らない人間が自分とシュウの会話に何度も口を挟んだことに怒りを覚えた。


 結果的に好都合だったとはいえ自分の計画を邪魔したことも含め、この女には何らかの罰を与える必要がある。

 そう考えた『創造主』は含みのある笑みを浮かべながらシュウとミアに話しかけた。


「偶然とはいえお前たちは今回私の送り込んだ邪竜を見事倒した。それに対する褒美を与えよう。お前は確かこの女の上司だったな。この女の体を使って戦い方を教えてやれ」

「は?」


 突然意味の分からない発言をした『創造主』にシュウが戸惑う中、『創造主』は右手から薄い黄緑色の光を放ち、次の瞬間にはシュウとミアはその光をまともに浴びていた。

 ミアはとっさに『反射壁』を発動したのだが『創造主』の放った光は『反射壁』などものともせずに二人に影響を与えた。

 魔力がほとんど残っていなかったシュウは『創造主』の突然の攻撃に一切抵抗できず、せめてもの抵抗に『創造主』をにらみつけた。


「おい、今度は何を、」


 しやがったと言いかけたシュウだったが普段より高い自分の声に驚き発言を中断してしまい、ゼロに近かった自分の魔力が戻っていることに気づきシュウは再び驚いた。

 その後自分が斧を持っていることに気づいたシュウは自分たちに起きた異変に当たりをつけ、シュウが普段より低くなっていた視線を横に向けるとその先には見慣れた姿があった。


「次から次にうぜぇことしてくれるな」


 ミアの声で『創造主』への怒りを口にしたシュウの横では何が起こったかようやく理解したミアが絶望した表情を浮かべていた。

 そんなシュウとミアを見てサヤは何が起こったか分からずに困惑しており、そんな中『創造主』が口を開いた。


「お前たちの体を入れ替えた。一週間後にお前たちが言うところのSランクの邪竜を送り込む。二人でその邪竜を倒さない限りお前たちの体は元には戻らない。精々がんばってくれ」


 そう言うと『創造主』は姿を消し、その後首だけになってのたうち回っていた邪竜が消滅したため三人はアイギスへと転移した。

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