スパイに名前を聞くのは禁止ですか?
プロローグ
*
「ねぇ、ターゲットが動いた。」
「……」
「おーい、聞いているんだったら返事くらいして。」
「んぁ、あーわりぃ聞いてなかった。」
隣でため息をついている少女は、俺の相棒(コードーム:東雲)、容姿は端麗でも少し頭がね(察して!)一方、腰にもう銃口を食い込ませられている俺は、(コードネーム:如月)コードネームは気に入っている(かっこいいし、二月生まれだしね)。もちろんスパイだから本名は誰にも言ったことがない。っと、そろそろ東雲が引き金を引きそうなので、一旦退却。
「で、ターゲットは?」
睨み顔を無視して続ける。
「裏出口から東に向かっているみたい。」
「そんじゃ、いきますか。」
「はぁー。」
「―こちらSYNAPSEターゲットを追います。」
「―わかった。幸運を祈る。」
ちなみにSYNAPSEってチーム名も案外気に入っている。
―SYNAPSE解散まで、1ヶ月―
「ご苦労、こいつの詳細は。」
ボスはこいつのことを感情がないような目で睨みつける。
俺たちの所属しているこのTHOUSAND LEAF略してサーフはスパイの中心部といえるそしてその中の3組のチームの1組が俺たちだ。
「はい、合衆国の科学研究所の職員です。」
「裏の顔は。」
「…本国専用スパイだと思います。」
「そうか、ご苦労だった、こいつの処分は任せる。」
「……はい。」
「……」
「何だ。」
「いえ何でも。」
「ほら行くよ。」
「おい!引っ張んなって。」
「ごめん、シリアスシーン続いてたから。」
いや全然続いてないけどね、むしろあの状況でよくそんなこと言えたな。そんな心の中ツッコミをしていると、後ろでもごもご動いている袋からかすかな声がする。
「…してください、死んじゃい…す。」
「大丈夫俺がそう簡単に返すと思うか?」
「如月あんたなにするつもり?」
「いやっ別に何もしないよ。」
なんか東雲が訝しむ目でこっち見てるけど、それを軽く受け流して目的の場所に向かって歩き出す。こんな軽口たたいてて上からやられないかな、先が思いやられる。
「っていうかボスこいつのことすぐに決めたよな、もしこれで違ったらどうするんだろうな。」
まじめな話をすると、さっきからそのことを考えてた、ボスはこいつのこと少ししか見ず俺たちにも大まかな話しか聞かなかった。すると東雲があきれ顔でこっちを見て。
「いや、あんたまだここに来て1日しかたってないでしょ、なに語ってんのよ。」
「別に語ってねーし!」
いやめっちゃ爆笑してるけど、まぁこいつが言ってることもわからんでもない、こんな新人な俺に言う筋合いはないか、俺はここに来てまだ1日そんだけしかたってない、というか俺がここにいるのも全然実感わかない。
下校する、そして少女を拾う。
*
―1週間前―
今日は金曜日、待ちに待った土日のお時間まであと2時間、そんな結構いい感じの韻を踏みながら次の授業の準備をしていると。
『最近さぁこの辺変な事件多くない?』
と隣の女子が話しかけてきた、でもまて…、今俺に話してる?このクラスカースト中の下に話してるの?俺はそんな話しかけられるタイプでもないし、いやでも今完全にこっち見てたし、聞かれたからには答えなければならない。ゴホン。
『そ…』
『あー確かに、言われてみれば』
『……』
あっぶねー、今の聞かれてなかったよね、脊髄反射で机に突っ伏したけどこっち見てないよね、うううぅぅ死にたいー。
『和也、大丈夫?』
『あぇ?』
『何その声。』
なんだ沙月か、俺を励ましてくれた(?)この少女は赤城沙月。身長や出席番号が近いからいつも近くにいる、肌はハーフに見間違えてしまうほど透き通っていて目はエメラルド色という才色兼備だ、いくらハーフだろといっても「純粋な日本人です」と言ってくる。そしてさっき、ちらっと出てきたが俺の名前は和泉和也。特段何かあるわけではないが俺も一応日本人だ。
『で、和也はどう思う?』
『何が?』
『いやさっき私に話してたのに、和也が答えようとしてたあれ。』
『……やっぱ聞かれてたああああああぁぁー』
なんか、にししって笑ってるし隣の子も顔赤らめないでくれる⁉こっちが恥ずかしくなるから!
『よし、じゃあ始めるぞ。』
『先生来ちゃったから、またあとでね。』
―下校―
自宅に戻るとドアの前に少女がいた。一度目をつぶり目を開けた、少女がいた。え、ラノベにもこんな展開あるか?顔は見えないけどきっと美少女なんだろうな。と妄想にふけっていると。
『あなたも敵ですか?』
え、敵?予想の一万倍外れた言葉だった、これラブコメのシュチュじゃないの?
この度は「スパイに私情は禁止ですか?」を読んでいただきありがとうございました。
自分はまだ学生で、経験も浅いのでたまに何言ってんだこいつ?となるかもしれませんがどうぞ暖かい目でお読みください。近々続きも書くのでよろしくお願いします。
では、牧野イブキでした。