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うみのゆうえんちへとごしょうたい

作者: タダノタピオカ

不思議なメッセージボトルを拾ったら貴方はどうしますか?

とある休日、ラジオを聞きながら海辺を散歩していた。

ラジオからは最近海を守るための団体がいくつか発足したというニュースが流れている。



なんとなしに聞きながしながら景色を楽しんでいると、波でコロコロと転がるメッセージボトルを見つけた。



あのよく映画や本などで見る中に手紙のはいったガラスのボトルだ。



「へ〜こんなの本当にあるんだなぁ・・・」



持ち上げて中をよく観察したが、幸いボトルの中には水が入っていないようだ。



固いコルクの蓋を四苦八苦しながらもなんとか開け、中の紙をそっと取り出して読んで見る。



「えっと・・・なになに?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



うみのゆうえんちへとごしょうたい



みんなにはないしょだよ



はるでもなつでもあきでもないまんげつのひ



だんだんひがおちてくらくなるそのしゅんかんに



いちばんすきなおうたはなぁに?



じまんのうたごえきかせてくれたらむかえにいくよ



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「何だこれ、手紙じゃないのか?」



書いてあるのは不思議な文章だった。



言葉の意味は分かるけど内容の意味は分からない。

というかそもそも意味があるとは思えない。



「変なもの拾っちゃったなぁ」



口ではそんな事を独り言ちながらも、でも俺は不思議とそんな意味不明な事にも付き合ってやろうかなという気になっている。



何故ならちょうど今日は春でも夏でも秋でもないし、しかも満月の夜だ。

そして、あと1時間もすれば日も沈む。



「多分音痴ではないはずだし・・・」



俺は何を唄おうか考えながら近くのベンチに座り考えた。

そして、頭の中にフッと湧いてきた歌に決める。



いよいよ日没になり、俺は周りに誰も居ない事を確認してから海に向かって歌い出す。



「わーれはうーみのこしーらなみのー」



そういえば2番の歌詞は分からないな、と思い始めてた所で海の端に何かあるのを見つける。



あんな島あったかな、などと考えていたらその島と思っていたものが段々と大きくなり、みるみる間に目の前にまで近付いてきた。



島だと思ったのは大きな大きな亀だった。



しかも亀の尻尾を後ろから別の大きな亀が咥えて、さらにその亀の尻尾を別の大きな亀が咥えてとかめが数珠つなぎのようになっている。



一番前の亀には男の人が乗っていて、他の亀にもそれぞれ3人が乗っている。

一番前の亀に乗っていた男の人に一番後ろの亀に乗るように指示されたので真似して跨ってみた。



俺が乗り込むと亀たちがゆっくり動き出して、なんと次々と海の中に潜っていくではないか。



ただでさえ真っ暗な海は怖いのに、溺れてしまうと俺は慌てるが前に座っていた女の人が振り返り身振りで大丈夫だと伝え海に消えていく。



目をギュッとつむり、身構えるが結果、なんと本当に大丈夫だった。



なんと亀の甲羅の中から出た空気の泡が包み込んでくれたので、呼吸も大丈夫だったし、何なら服も濡れてない。



ついた先は海の底とは思えない程明るく楽しそうな海の中の遊園地だった。



皆が次々と中に入っていったので、俺も後に続く。



小魚達のパレード、ウツボのホラーハウス、シャコ貝のティーカップ、なんと言っても目玉は珊瑚のお城をバックに行われた水中花火だ。



興奮したぼくは思わず隣りにいた男の子とハイタッチする。



後ろにいた女の子は感激して泣いていた。



なんて素敵なんだろう、こんなに楽しいなんて夢みたいだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ジリリリリリリ!!!



やかましい目覚ましの音で起きる。



「あ〜もう朝か・・・つそうだ!今日は朝から決起集会があったんだった!」



バタバタと準備をして家を出る。



俺は今、地元の海を守るため海岸工事の反対運動をしている。

一応リーダーのため俺が遅れるわけにはいかなかった。

幸いにも道は空いていて、時間に遅れることは無さそうで安堵する。



「俺たちが子供の頃に遊んだ海は、俺たちの子供たちの世代にも遊んでほしい。綺麗な海を守らなくては。」



俺は決意を新たにした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ここはとある研究所。



元々は海の生き物達を調べるのを目的とした施設だが、最近新たに人間の脳に働きかける電波の研究も始めた。

そちらの研究は徐々に結果が出てきて、支援者も増えてきた。

喜ばしい限りだ。



「所長、先日の治験No.18の男性なんですが、海の工事の反対運動のリーダーとして活躍しているようです。他の4人もそれぞれ団体に所属したり集会に参加するようになり、海を守る活動を始めています。」



助手が告げたのは先日の治験者の活動報告だった。

結果は上々のようで、安堵から思わず拳を握りしめる。



「よしよし、今回の子供の頃の記憶に海での素晴らしい体験を植え付ける実験も成功といえるだろう。しかしまだまだ環境を破壊しようとする会社は後を絶たない。これからも海を守る人材を確保しなければ。よし、早速次の実験の予定を立てよう」






おしまい

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