神を崇めよ
「左足、少し前に出すぎてるぞ」
「了解」
前も見えないんじゃ右足と揃えるのも一苦労さ
まったく、楽じゃないね、この仕事も
頭はいい気なもんさ、口だけ出していればそれでいいんだから
「右手、下がってきている。もう少し上げて、伸ばしすぎないように」
「了解です」
あの槍は重いからなぁ、右手は大変だろうな
どうせ使わないんだから、中を空洞になんてできないもんかね
もしくは木の棒かなんかに適当に色でも付けておけばいいのさ
にしても、特にやることもないと思考が負に傾いちまっていかんね
なにか建設的なことでも考えるとしようか
次に建てる時はもっと翼廊を大きくするべきだと思うね
そうしたら馬鹿達が、おっと、台座の奴等の誰かがよろけたな
「両足、しっかりしろ。ただ立ってるだけだろ、ちゃんとしろ」
俺らじゃないってのに、全く頭はむかつく奴だ
とんだとばっちりだよまったく、何様だと思ってるんだか
お前らのせいだぞ台座、話しかけられるなら怒鳴ってやるのに
高々背負って歩くだけなんだから、ちゃんとしてほしいもんだ
群衆のざわめきが聞こえてきたな、ようやくか
ちんたら歩きやがって、さっさと位置につけるんだ
よし、いいぞ
「右手、腕を前に、少し上げて」
「了解です」
嗚呼、この瞬間は本当に最高さ
われを崇拝する多くの馬鹿達を感じる
何を崇めているのか分かってもいないくせに
さあ、崇めよ、われは神である
明けましておめでとうございます。