二章 設定 魔法
“火炎魔法”
古代語、と称している英語が言語となっている魔法。オール大陸では失われた言語となっている為、時空魔法についで二番目に研究されている魔法となっている。
《温温》
ものを温める魔法。温度の上限等は無いが、熱いのがいいなら炎を出せばいいだけだよね。
“疾風魔法”
獣人の言語、スータス語を用いた魔法。
基本的には周囲の空気を利用して魔法を行使するので、他の魔法より燃費が良い。
《真空間》
指定した周囲の空気を抜く魔法。一見いとも容易く窒息死が出来る恐ろしいものだが、魔法の範囲が固定されている為、相手に動き回れると直ぐに効力が無くなってしまう。就寝時に使用するのがオススメ。
《貫く風》
風の弾丸を放つ魔法。規模が小さく、周囲の空気を利用している為、とてつもなく魔力消費が少ないがその威力は生身の肉体であれば簡単に穿つ。
とてもコスパの良い魔法なので、ネキロムはとても気に入っているのだが、如何せん登場する魔物がデカブツばかりで使う機会が無い。
《空の方舟》
ビニールプールから着想を得た、空気を固めて創られた舟の魔法。
物作りにおいて、素材は固体である事が基本。しかしその考えは、魔法無き時代の思考。《石の方舟》の問題点であった重量を克服した成功作品である。
《空の台車》
《空の方舟》に車輪が付いた陸用の舟。素材自体が空気な為、振動を全て吸収してくれる優れモノ。
《大疾風》
突風を生み出す魔法。攻撃力も防御力も何も無いが、利を生み出すのは使用者の技量が重要だ。いやーん、まいっちんぐ!
《割れぬ虹玉》
一定の強度を持つ空気玉を創る魔法。高所から飛び込んでも、トランポリンのように優しく受け止めてくれるが尖った物は勘弁。優しく受け止めるのだから、優しく触って欲しいものだ。
《風精霊の腕》
風の腕を生み出す魔法。大地魔法より攻撃性能は劣るが、見えぬという利点がある。しかし結局はイタズラ用の魔法。ネキロムに与えてはいけなかった……。
《見えざる飛剣》
《見えざる剣》の上位互換。空気の刃を飛ばし、遠くの敵を切り裂く魔法。小型の敵であれば両断出来るが、図体のデカい相手には厳しい。
こんや、12じ、だれかがしぬ。
“大地魔法”
鉄人の言語、ダーラウ語を用いた魔法。
創りやすい、(形に)残る、(燃費が)安いの三拍子が揃った、熟達した魔導師には人気の魔法。しかし、派手さは他に劣るため子供には不人気。
《岩の山小屋》
相手の四方、上部を岩の壁で囲う魔法。密室に閉じ込める事で視界を防ぐ事が目的。しかし強度はそこらの岩と同等な為、強大な相手には分が悪い。
《岩石の塔》
その場に簡易な高所を創る魔法。地面をせり上げて、円柱の上にひと回り小さな円柱が乗っかっているような形。高さは約十五メートル。
考えもせずにネキロムは魔法を発動させた為、電柱から降りられない野良猫となってしまった。ありがとう、ティグリス。
《黒曜箱》
真っ黒な岩石で創られた箱を創造する魔法。黒曜、と名乗ってはいるが実は黒曜石では無い。ただの色付けされた岩石。
《巨人の墓》
巨大な岩の板を創造する魔法。しかし巨人を見たこともなければ、この世界の墓が墓石を用いるのかも知らない。もしかしたら誰にも理解されない名前。
《砂の壁》
砂で出来た壁を創る魔法。砂漠で使用すれば、魔力消費を抑えられる利便性はあるが、それ以外の場所では砂を生み出す工程が必要。耐久面も《土》に劣る為、砂漠以外では素直に《土》の真言を使おう。
《旅する駱駝》
岩で出来た動くラクダを創る魔法。コブの間にはクッション代わりで砂が敷き詰められてはいるが、あまり上質とはいえない。
編み出された初日は半日もすれば魔力が無くなるような欠陥品であったが、改良に改良を重ねた結果、ネキロムの魔力で一日は持つようになった。
しかしネキロムが参考にした《火炎の競馬》は、もっと少ない魔力で五日は走り続ける事が出来る。魔法の頂きは、未だ高みだ。
《石の方舟》
帆船を石で模した魔法。
不恰好。ゴミ。失敗作。二度とこの作品に出てくることは無いだろう。
《岩石精霊の腕》
《土精霊の腕》の上位互換。岩石になった事で質量が増え、攻撃力、耐久力が向上した。これである程度の魔物も怖くは無い。
《鉄槍》
鉄の槍を生み出す魔法。長さも形もネキロムのイメージでしかない、結局はただの粗悪品。しかしとある王子にとっては最強武器なのだ。
《砂塵》
砂埃を巻き上げる魔法。一瞬だけではあるが、隙をつけば相手を怯ませる程度にはなる。
《砂嵐》
《砂塵》の上位互換。持続性が補強され、長時間砂埃が巻き上がる嫌がらせ魔法。攻撃力は無いが鬱陶しいことこの上ない。髪の毛に砂が入り込む為、人にも魔物にも嫌われている。
《砂の腕》
砂の腕を創る魔法。砂の為、自在に形作りやすい初心者向けの魔法。ちなみに《精霊》の真言を付けていないのは、魔力消費量が少なくなるため。実は《精霊》を付けると、ある程度自律行動をしてくれる。
“回復魔法”
付与魔法と同じく、昔の招致者が創った魔法。時系列としては付与魔法の後に創られており、付与魔法の状態異常に対を成すように状態異常回復の魔法がある。
《回復》
体力、スタミナといった気力を回復させる魔法。病気が治るという訳では無いが、免疫力を復活させる理由で使用されることもある。
“時空魔法”
ユウキの能力で創った言語で創った魔法。一般的に知られているのは下記の魔法だけであり、現在まともに使えるのは、言語を知っているユウキとネキロム(予定)だけである。
《転移門》
勇者ユウキが使用したネキロムを転移させた魔法。今回はランダムだったが、座標指定させて好きに移動する事も出来る。いわば、どこ〇もドア。
《網目の世界》』
グリッドラインが世界に刻まれるネキロム作の常時展開型の魔法。左右正面後方全てにキッカリと正方形が敷き詰められており、まるでパースを練習している画家が描いた絵のような光景が、視界に表示される。
魔法の発動位置とは、日頃の練習によって上達するもの。しかしネキロムはこれで熟練の魔法使いにも手が届く程の精密さを手に入れてしまった。
《時間遡行》
文字通り、時間を巻き戻す魔法。秘奥とも呼べる代物であり、そこら辺の兎が使っていい魔法では無い。範囲を絞り、巻き戻す時間を十五秒とした事で五割の魔力消費程度で済んだ。もし世界の時を巻き戻そうとしたのならば、一体どれほどの魔力が必要なのか。
“夢幻魔法”
ネキロムが考えた新たなる魔法。言語は日本語。直接的な攻撃力は無く、逃走や防衛に徹している魔法を創っていることから、ネキロム本来の臆病者の性格が窺える。
凝ったものにしようと、兎を使った魔法名を考えてはいるが、本来の意味と少しズレが生じており、ガバガバである。
夢幻と名付けたのは、幻想や幻惑よりも強そうだから。
《二兎追うものは一兎も得ず》
ネキロムそっくりの幻影を作り出し、攻撃をそちらに向かわせることで、本体は逃げる魔法。応用力が増し、幻影に自己意識を植え付けたりネキロム以外の幻影を創り出せるようになった。
“????”
写真を保存する為の魔法陣。
火炎、操水、疾風、回復の四つを使い込み、時止めと近しいことを成している。
三百年ほど経過している筈だが、その年月分の劣化は写真には見受けられない。
時空魔法に適正の無い者が創ったであろうこの魔法陣は一種の芸術ともいえる。
火炎で温度調整、操水で湿度対策、疾風で光の屈折、回復で状態維持をする技術は何のために生まれたのか。