異世界転移は探索と出会いから
(さて、どうしようか)
現実離れした異世界の森で目覚めて少し経つ、起きた時からここが異世界であることは理解していたが、ここが異世界の森ということ以外の情報が一切なく、これからどうするかが全く決まっていない。
町に出れば何かあるかも?しかしどこに向かえば町があるのか、魔物的な敵が出る危険性やら考えることは山積みである。
(とりあえず探索をするか、まずは情報収集だな)
そう張り切り歩き始めた。なだらかな地形に大きな葉をつけた沢山の木々、川の綺麗なせせらぎも耳を癒す音だがこの場所が安全なのか危険なのかもわからなければ耳を傾ける余裕もない。
10分ほど歩いた時に1メートル30ほどの木の棒を見つけた。持ち手から先端につれて細く伸び先が少し曲がった木刀に近い棒だった、護身用にでも持っておこうと数回素振りを行い棒に納得がいき歩き始めた。
(やみくもに歩いても意味無いしなぁ、何かわかりやすく街の方向でも書いた看板みたいな目印がないのか)
ないものねだりをしても意味無いか、と吐き捨てたそばから魔物らしきものが現れた、見た目は蜘蛛で大きさも50センチを超える大きさで、色は黒に赤と黄色の斑模様だった
(蜘蛛はあまり得意じゃないし避けるか)
そう思い何も見なかったと思いその場を離れようとしたが、後ろから蜘蛛が追ってきた。それに負けじと走って逃げたがそれに負けず劣らずと追いかけてくる蜘蛛。
「これは逃げれないな」と呟き振り向きながら左手に持っていた木の棒を居合の要領で引き抜いた。一閃、蜘蛛に直撃はしなかったが前足二本を切り裂いた。
(思っていた以上に力がかかりすぎてコントロール出来なかったか、次は当てる)
次は確実に当てるよう抜刀が十分にできるよう1歩大きく飛び下がる。木の棒を持った左手を少し後ろめに収める、右手をすぐに抜けるよう持ち手に手を添え、体を前屈めの状態に、見様見真似の居合の構えを維持する。次にこちらへ動いた瞬間切り抜くため。
(集中しろ、動いた一瞬が勝負だ……)
蜘蛛が1歩、動いた瞬間
刀術:居合ノ太刀
引き抜いたが最後、蜘蛛が跡形もなく消えた。しかし、消えたのは蜘蛛だけでなく周りの地形まで綺麗な弧を描いて抉っていた。
頭に何かが流れていたがこの時はまだ気づかなかった。
(これは、さすがにやりすぎたかな。地面まで抉ってるし
さっき頭に何かが流れたような…まぁいいか)
そう思い何も無かったかのように探索を再開した。
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蜘蛛を切ってから少し日が中天に差し掛かった頃
「やっと見つけたか…」
川である、起きてから飲まず食わずで歩き続けただけあって、体が水分を欲していてる。
起きてから川の流れる音はしていたが、見つけるまでに時間をかけすぎた。おかげで喉も乾ききっていたせいなのか、なんの躊躇もなく川の水を飲んだ。大自然で飲んでいるせいなのか、喉が渇いてたのか水がとても美味しく感じた。
(久しぶりに飲む水はうまいなぁ、水が美味いのかもしれないがとりあえず美味い)
充分に水を飲んでから移動してすぐの事だった。
ヴォォォォォォ!!
”何か”の遠吠えがした。耳をつんざくほどの大きさに耳を抑えた。これは何かあると思い慎夜は遠吠えがした方向へと向かった。
遠吠えしたであろう付近に到着すると、そこにいたのは全長3メートルを超える巨体の猪だ、数も1頭ではなく5頭はいた。
それに対した状態にいる”彼女”もいた、人と呼ぶには美しすぎ目を奪われた。長い紅の髪に真っ黒な瞳、凛とした整った顔立ち、着ている緋色を基調とした配色に黄色の菊の模様だった。
そんなことより猪型の魔物だな、このまま逃げるか戦うかだがこの後の行動には熱に浮かされていたのだろう。
「おらぁ!」
何のためらいもなく落ちていた石を”猪”に投げつけた。案の定”猪”はこちらに気づいた3頭が突進してきたが、異世界に来てから上昇していた運動神経のおかげで軽々と避けていく。
避けながらさっきの場所から距離を取っていき戦闘に入る。
2話に分けたかったがいらない内容多くなりすぎたので必要最低限にして1話にまとめました
(´・ω・`)