異世界転移は教室から
青く透き通った空、風に揺れる木々、川のせせらぎ。
都会では決して味わえないような美しい自然に心奪われ寝転がる男、倉木 慎夜はただ現状を考えるべく頭を動かす。
そして、ただ一つの結論に辿り着く。
「俺…異世界転生でもしたのか……」
放課後に教室で寝ていたとこまでは覚えている、そして、理解はしたが思った以上に頭が追いついて来ない。
すっと立ち辺りを見渡すがそこに広がるのは立ち並ぶ木々と小川だけでクラスメイトの姿は誰もいなかった。
「え、誰もいないのかよ」
教室で寝ていたら異世界転生していて一人孤立してしまった。
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学生生活も一年と一月にもなり過ごしすっかり慣れた頃合いの頃、GWも過ぎて5月の半ばいつも通り登校する男、倉木 慎夜はいつも通り登校している。
教室に着いて見る風景は…
「えー、この三角形の辺ABから二等分線を引き…倉木また遅刻か」
「すみません、朝は弱くて」
「はぁ…お前いつも同じ言い訳だな、早く席について授業の準備をしろ」
そう言われ席に着き何も無かったかのように授業を受け休み時間になると1人の女生徒に声をかけられた。
「また遅刻したの?ダメだよ、ちゃんとした時間に学校に来ないと」
「単位は取れてるから問題は無いはず、去年はそれで進級もできたしね」
「そういう問題じゃないでしょ」
母親のように説教するのは、幼なじみの柳原 花蓮である。
明るい茶髪のショートヘアーの活気溢れる容姿。茶髪と言っても染料で染めたような茶色ではなく、花蓮の雰囲気に良くあった明るい茶髪だ。大きな瞳に常に笑顔の顔には誰もが一度が見つめただろう。
遅刻常連犯で態度も悪く評判の低い俺とは違い、規則は守り人当たりのいい明るい性格で周囲からの評判はとてもいい。
クラスの中でも中心人物の1人と問題児であり、対照的な2人だと周りから見られている。
付き合いとしては母親同士の仲が良く、母親同士が会う度に顔を合わせるせいか自然と仲が良くなった。幼少期、小学校、中学、高校と長い付き合いで互いの性格は把握しているつもりである。
「毎日起こしに行ってるのになんで二度寝して…しっかりしなさいよ、寝る時間が遅いにしろ学校は時間通り来ないとダメだよ!」
「はいはい」
「はい、は1回!」
「花蓮も倉木くんに付ききっりだと彼が甘えるだけだとおもうよ?」
「私は花蓮に甘えてないで自立しないといけない年頃だと思うわね」
「ま、一回言って直るようなやつならとっくに治ってるがな!」
そういい話に入ってきたのはクラスの中心人物にあたる、赤羽龍馬と花蓮の親友の間宮天音、赤羽龍馬の親友の西城真哉である。それぞれ長けたことのあるクラスおろか学校の有名人だ。
赤羽龍馬は顔もよく勉強、運動と何でもできて生徒や教師から多大な信頼を得ている。俺らが1年の時に近所で起きた暴力沙汰を解決した事で有名でもある。
その上、顔もよろしく女子の中でファンクラブが出来るほどの人気っぷりだ。女子からの人気だけでなく男子からも好かれている。高い身長にさっぱりした黒髪に万人に向ける爽やかな笑顔でたくさんの人を魅了している。ただのイケメンかと思えば勉強も運動も上等なものでとても評判がいい。
真宮雨音の知っていることは少ないが、人あたりが良いということと学年で俺の次に頭がいいのである。俺の信用がない分真宮や赤羽たちに信用が傾いてることもあり、俺がいなければ実質学年トップの頭脳と人あたりの良さで評判が良いのである。
花蓮の中で俺の次に関係の長く互いに親友と言い合うほどで、花蓮と真宮の付き合いも小学生入ってからずっと一緒にいる。花蓮が活発な女子だが、真宮は淑やかな女性って感じの雰囲気だ。長くクセ毛一つない黒髪に、優しげで柔らかなたれ目で、顔にしろ性格にしろ抜けたとこが全くない常識人だ。
西城真哉は、熊のように大きな体にライオンのような勇ましさを感じるオールバックの髪。厳つい顔つきをしているが中身は優しくて誰にでも気軽に話しかけに行くタイプだ。現に俺自身友達と呼び合えるような仲はこの真哉だけ。他だと、移動教室の時に寝てると起こしてくれて目覚まし時計みたいだと思ってたりする。
こんな感じのクラスの中心層に心配やら注意やらされ評判の悪いのが、俺こと倉木慎夜である。頭の良さでいえば学年トップを維持し、小学校時代は剣道で全国まで行く実力を持ち神童と呼ばれたくらいだったのだ。
遅刻常連犯なのは母子家庭の家で学費を払うためにバイトをかけ持ちしているからである。理由としては真っ当なのだが授業態度は悪いし遅刻が多いのはいかん!と、言われたりで教師から評判が悪い。改める気も全くないので今の現状維持を続けているのである。
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時間は過ぎ放課後。
部活やら遊ぶだのでクラスが教室から出てくなか机から動こうとせずしていた。
(バイトまで2時間半あるのか1時間くらい寝てから行くか)
そう思い机に突っ伏して寝ていた。
クラスでは色々な話題で盛り上がっているがそんな喧騒も気に止めず寝ていると、
「…みな様は………に選ばれた……かいを…ってほしい……」
そんな声を聞いてたのが最後、次に意識が捉えたのは異世界の自然であった。
初投稿になります。
投稿ペースは書き終わり次第朝の6時に更新していきます。