Diary : Zero Years Old
ここから12歳まで、日記編となります。
私はこの世に転生したらしい。
私は羊水にいた感覚を覚えている。
なんとも言えない感覚だった。
呼吸をしなくても苦しくない。
まるで死んだ時、ふよふよと漂っていた時のような…
いや、この話はやめよう。
まず私が産まれて目に飛び込んできたのは嬉しそうな父の姿、次に私を抱く看護師の姿、そして汗を大量にかきながら満面の笑みを浮かべる母の姿だった。
産まれた時、呼吸の方法を私は知っているため、泣かなかった。
しかしこれがまずかったらしく、どこが病気があるのではないかと心配されてしまった。
そのあとの健康な様子を見て親も安心したらしい。
そして名前が変わった。
私の名はレナータだ。
最初は抵抗があった。
捺という名前があったのだから。
すぐに慣れた。
慣れてしまった。
私の心が欠けたような気がした。
なんと、この世界には俗に言う苗字というものがない。
その代わり産まれた地域が苗字となる。
そこまでは把握していない。
この小さい体ではあまり考えることができない。
幸い、この親は子供を外に連れ出すのが好きなようなので、この家だけでなく、周りの家、商店街などを見ながらこの地域の特色を掴んでいきたい。
『年月は書かれていない』