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Don't LIE
「…何で私?」
捺が必死に考えた質問はそれだった。
「あなたは善行ポイントが貯まってますからね〜」
なんだそりゃ。
と捺は思ったが、細かいことは気にしないようにした。
「あなたは『スーパースター』に憧れて、善行を積み、悪行を窘め、平和に尽くし、クラスでも人気者でした。
ですがあなたはなんと通り魔に殺されてしまったのです。なんと悲しいの〜。」
天使は感情の篭っていない声でそう言った。
「能力って何?」
「所謂、火を操るとか、時間を止めるとか、そういうものです。」
「私のは何?」
「教えられませんが、あなたに授ける能力は26個です。」
多い。
と捺は不審に思ったが、とりあえず受け入れることにした。
兎に角ここは黄味が悪い。
真っ暗な空間も不安だが、かと言って真っ白というのも居心地が悪いのだ。
「じゃあさっさと転生させてくれない?」
「わかりました〜、どうぞ〜。」
そこで彼女はハッと気づく。
「転生場所は何処だー!!」
天使に掴みかかろうとするが、すり抜ける。
その瞬間、麻酔の様に意識が切れた。
天使が言う。
「グッドラックです〜。」
天使はまた悪魔の微笑みをした。