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The Beginning
痛い。
そのまま捺の意識は消えていった。
眩しい。
気付けば、ふよふよと白い空間に漂っていた。
その後に見えたのは、とある葬儀会場。
泣いている親。
友。
クラスメート。
祖父母。
そして真ん中に映る遺影は、私。
悲しい。
悔しい。
いろいろな感情が捺を渦巻いていた。
初めて死を実感した。
「と言ってもこれが最初で最後だけどね。」
捺はフフッと、自分自身を哀れむような顔で笑った。
「そうでもないかもしれませんよ。」
背後に誰かがいた。
捺は冷や汗をかきながら振り返った。
殺されたトラウマは癒えていないのだ。
「警戒しないでくださ〜い、私は天使で〜す」
天使は満面の笑みで言った。
「随分意地悪な天使なんですね」
捺は引き攣った笑顔で言った。
「転生と言う言葉はご存知ですか〜?」
「…輪廻転生ってやつ?」
「ん〜と、やっぱ説明したほうが早いですね〜」
捺は馬鹿にされている思い、皮肉を言うような口調で、
「虫とかは勘弁してよね」
と言った。
しかし、天使は戯けた声で
「人間に転生するんですよ〜、しかも能力付きで」
とても天使とは思えない、悪魔の笑みだった。