表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裁きの眼  作者: earth
6/12

破壊の代償は

黒いローブを身に纏い、フードを被って町を歩く。

黒はいいのだ。血で汚れても分かりにくいし、闇に紛れやすい。

さて、今回の依頼は町の破壊である。いや、大量虐殺と言った方が分かりやすいか。しかし、町に騎士やあの組織の連中はいないようだから、簡単だ。


決行の時間は夜の十一時。鐘が鳴る同時に全てをゼロにする。

今は、その五分前位だ。私は元来時間をきにする方ではないが、依頼はぴったりと言われたので、少し町をさ迷っている。と、いっても暇だ。そのため、依頼の確認をすることになる。これがいつもの暇潰しだ。


まず、依頼者はある国のうら若き女王陛下である。女王陛下は長く伸ばした水色の髪と、凍てつくような微笑みの持ち主で、その姿はまさに氷帝そのものであった。しかし何か問題があったのか、青い目は年相応の不安を抱いていた。


次に、依頼の内容はこの町、トウクの破壊である。いや、厳密に言うと『ある人物の環境から人間を消す』だ。


そして、依頼の理由。これは、私が依頼を受ける時に必ず依頼者から聞くのが決まりとなっている。今回は一国の主だったが、情報を受けとることができた。だが、今は考える暇はないようだ。


鐘の地を這うような音が響いた。


此より、歯車(うんめい)は再び我等の手に。

其の代償は、トウクの壊滅。

代償に敬服を。


私はまず、歩いていた男を切った。そして、向きを変え、今度は老人を切る。今度は、... ... ...これでこの道は終わりだ。

次は家屋。最後に、残った後始末。


全て終わった頃には、空が明けてきていた。予想通りの時間帯だ。これで依頼は完了した。

と、同時に次の依頼を思い出す。

次は、白明一族の双子の暗殺だ。ここから歩いてすぐのところに白明一族の村がある。今日中に終わらせるか。


そうして、歩き始めた時である。

これは、直感というものだと思う。後ろから殺気を感じた気がする。

危険信号が走るのと同時に、後ろを振り返った。


「久しぶりだな」

声の主は私と同じ黒いローブを身に纏い、ニタリと笑った。こいつが殺気の正体だ。

私は、まっすぐそいつを見据えて言った。

「変わってないな」

すると、

「Kこそ、そのまんまだ。なんのため行動してるのか全く分からない」

と、返される。

そう言っている本人の思っていることも私には理解できないが。

「情報が速くて楽だな。依頼のことだろう」

金を貰わずどんな仕事でも受けるというのは珍しいらしく、噂になっているようなのだ。

多分、こいつもそれを聞いたのだろう。

「まあ、有名だから。で、次の依頼は白明の双子殺害か」

私の反応を窺うように、そいつは言った。

むこうからすると、ここまでは知られてないと思っていたのだろう。

まあ、大体それくらいは知っていると思っていたが。

「ああ、そうだ。それが何かあるのか」

返事を待たずとも答えは分かる。こいつがそれを言ったということは何かあるということだ。

「教えてほしいよな。けど、な。教えたくないんだよな」

悪戯っ子のような顔をしながらそいつは言った。

「なら、別にいい」

そう私が言った瞬間だった。

空を切る音が聞こえたかと思うと、首もとにナイフが当てられていた。

「ホントにつまんないな。このまま首切ったら楽しめるか?」

そう言うと、そいつはナイフを近づける。ああ、変わった。


前と同じだ。こいつは何かのスイッチが入ると危険人物となる。いや、もっと危険になる。しかし、慣れたもので私は、

「何を望むのか」

と、聞く。

すると、そいつは口を開いた。

「なんだろうな、ホント。まあ、いい。じゃあ、俺についてこいよ。依頼なんて、依頼者殺せば問題ないからな」

つくづく分からない奴だ。本当に理解できない。

「分かった。しかしS、どこにいくのか」

と言うとSは、

「うるさいな。潰すよ」

と返すが、殺意はほとんどないようだ。

「行くぞ」

Sが進むのに、私は適度な距離を保ちついていく。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ