邂逅の時は近い
「あ~、逃げられた」
そう言いつつも、俺自身全く焦っていない。
また、会える。第六感がそう言っている。俺の勘はともかく当たる。
ということで、列車に揺られ本部に戻る。
まあ、面倒事押し付けられるのは確かだ。けど、面倒事は嫌いじゃない。むしろ、楽しみだ。
「ライトさん。本部から手紙です」
若い雑用がそう言い、手紙を差し出してきた。
ほら来た。俺は礼を言い、手紙を受けとる。
特殊部隊隊長ライト=エスト
指令
白明一族の長、イワグラの子を保護し、白明一族と友好的な関係を結べ。
裁きの眼裁判長並び幹部団
うへ、超お偉いさんからだ。さすが面倒事。めんどい。
てか、友好的な関係っておい、裏を返せば今は仲悪いっつー事だろ。
しかも保護って、手元に置きたいだけだろうし。
まあ、いっか。敵襲があるのは確かだしなぁ。強いのが釣れるといいな。
「ライト、白明の村までは次の駅で降りた方が早いぞ」
ふと声のする方を見ると、鎧兜の男がいた。... ...窓枠にしがみついて。
「また... ...お前は」
俺は呆れつつも手をさしのべる。
「よっこらせっと。いやぁー、悪いな。焦った。焦った。ふざけて列車にしがみつくもんじゃないな」
男は笑いながらそう言った。
俺はため息をつくと、
「アホか、お前は。素でやってんだか、わざとやってんだか」
と、言う。
すると、男は馬鹿にしたような口調で
「俺は素手じゃ戦わないって。ライト、記憶力大丈夫か?」
と、笑う。
ああ、こいつはダメだ。
こんなやつが隊を率いてて本当に大丈夫なのか?
「それよりも、何故ここへ?」
話を変えるため、声色を変えて尋ねる。
すると、
「裁きの眼騎兵隊隊長、韋駄天のゲイルもライトさんと同じ指令を受けたからだな」
と、鎧兜の男、ゲイルは言った。
てか、自分の二つ名まで言うか。
やっぱ、こいつは面白い。
「ああ、よろしくな」
笑顔で俺はゲイルに握手を求める。
すると、ゲイルも笑いながら俺の手を握った。