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裁きの眼  作者: earth
2/12

そして、動きはじめる薇

列車から身を投げると、それはそれは透き通った青空が見えた。

ふいに綺麗だな。なんて、思うはずない。

そんな物思いにふけっていると、投げ出された身は草原に落とされる。

あぁ、背中打ったぁ。これ寝るとき辛いヤツだ。

しかし、そんなことで嘆いている暇はない。なんてったって、身一つで遭難してるんだからな。

もとはといえば、あの残念イケメンのせいだ。普通、奴隷階級のいたいけな少女を正義うんたら組織に引っ張るか?

見るからに弱そうなのに。

アホか、まぬけか、どうしようもないのか。うん、全部だな。


違う、違う。それよりも身の安全だ。

しょうがない、動くか。

立ち上がって、服の埃を払う。

そして、適当な方角に進んでいく。


~郊外の小さな家


「何故ここへ?」

二対のソファーにそれぞれ腰かける二人の人間。

そこには不穏な空気が何処と無く漂う。

「殺して欲しい人間がいる」

静かな空気の中、片方の豪華な服に身を包んだ男が言った。

すると、もう片方の黒いローブを被った人間はそれに返す。

「了解した。ターゲットについて詳しく教えてもらいたい」

それを聞くと、男は話し出す。

「白明という一族の族長の双子、どちらも殺ってほしい」

すると、ローブの人間は少し考える素振りをしたあと、

「双子の殺害、それでいいな。そうなると報酬は、貴方の一年間の情報全てとなるが、良いか?」

と、男に問う。

男は、渋々というように頷いた。


さすが、一国の宰相ともなると情報の質も量も段違いだった。

と、宰相がいた席を見て思う。

報酬はその者の持っている情報。

情報さえ渡せばどんなこともする。要するに、便利屋である。と、いっても大概が暗殺だった。

今回もやはり、暗殺。だが、難易度が少々高めだ。


白明一族。この一族は大陸でも一二を争うほど有名な一族だ。

その理由はこの一族の特殊な特徴にある。刀、杖、本、鋏、人形... ...。彼らはすべての物の中でも自分に合う最高の"物"を人生をかけて探す。

そして、それを持つと人を越えたかのような力を手にする。

それが白明一族。

そして、白明一族は国に属さない。一族で固まって生活する。

まあ、国を守る者としては危険かつ邪魔な存在でしかなかったのだろう。


「どうしたの?そんな考え事してさ」

ふと目の前を見ると先ほど宰相がいたソファーに一人の少年が座っていた。

すると少年は、

「また、依頼受けてんだぁ。しかもタダ。人間様に媚び売ったって裏切られるだけって分かってるのに。何で?K」

と、首を傾げた。同時に、動作に合わせてワイン色の髪が動く。

「私は知りたい。それだけ」

そう私が言うと、彼は更に首を傾げる。

答えは出てこないらしい。

なので、

「そう気に留めなくていい」

と言うと、すぐに納得したような表情になる。

「まあ、いいか。ああ、それよりそうだ!ご飯食べるからK呼んでこいって言われたんだった。ね、K行こ」

そう言うなり、私の手を引っ張る。

彼、Aはいつまで経っても子供らしい。

私はそんな彼の手をとって歩き出す。


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