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「ん…?」
「直樹、何聴いてるんだ?」
「あ、いや、何でもない」
「通報できたか?」
「うん」
同じ頃、地すべりが起きたという山を訪れていたのは、暴食トリオの三人と、テオ、隆弘、ノハの三人だ。地表がむき出しになっている現場を捜索していて、手首が本当に見つかったときはさすがの暴食トリオも驚いた。偶然とはいえここまで上手くいくと快感で震えすら起きる。五十嵐には通常の通報という形で連絡した。一度深夜のマンションで警察の面々と会っている隆弘には、念のため他の場所の捜索と称してノハと共に現場を離れてもらっている。
「俺も離れた方がいいんじゃないのか? 相当目立つぞ」
「テオみたいな道化役がいるとはぐらかすのが楽だし」
「お前は兄に対する敬意ってものがないのか」
「そもそも地すべりが起きたとこに僕らみたいな学生がいるって時点で十分おかしいんだよ。兄さんだって『地すべりが起きたっていうから怖いもの見たさで後輩引っ張ってきた』って言い訳するつもりだったでしょ?」
「んー、まぁな」
「で? 何を聞いてるんだ? そのイヤホンで」
「あっ、ちょっと今いいところなんだから」
テオが直樹の耳からイヤホンを抜こうとしたのを直樹はさっと押さえて阻止する。
「これで、少し進展するといいがな」
「手首が見つかったことで、警察としてはDNA鑑定をせざるを得なくなっただろうね。あ、サイレン…来たかな。兄さんちょっと見に行ってくれる?」
「…分かった」
テオが山をおっかなびっくり降りていくのを見送ると、暴食トリオが音も無く集まった。
「何か分かりましたぁ?」
「津幡亜紀の司法解剖があって、ちょっと面白いことになったみたいだよ? もしかしたらDNA鑑定しなくても分かっちゃうかもしれない」
「ホントですかー? じゃあここまで来たの損じゃないですかー」
「そうとも言えない。もっと明確な証拠を突きつけないと逃げられる」
「その五十嵐って刑事も、よくこうもベラベラと喋ってくれますよねぇ?」
「………上手くいきすぎな気もするけど」
程なくして警察がテオと共に到着し、現場検証と簡単な聴取を行い、手首を回収して去っていった。
「さて、俺たちも帰るか。…あの二人どこまで行ったんだ?」
「ちょっと探してくるよ。兄さん先降りてて」
「あぁ…言われなくてもそうさせてもらう。もう足が限界だ」
テオが足を震わせながら山を降りていくのを少し心配そうに暴食トリオは見届けた。幸運値Fマイナスの彼ならば、一度や二度足を滑らせて転んでもおかしくない。
視界からテオが消えると、直樹はスマートフォンを取り出した。暴食トリオは山を歩き出す。直樹は電話をかけていた。
「もしもし…白井直樹です」
「あぁ、直樹くん。さっきはありがとう。ナイスタイミングだったよ…」
「そうですか、なら良かったです。今、大丈夫ですか?」
「あぁ。今聴取が終わったところなんだ。…だいぶ分かってきたよ」
五十嵐は少し興奮気味に、聞いてきた内容を語った。その内容が先ほどまで聞いていたものと変わらないことを確認する。
「なるほど……分かりましたよ」
「本当? …俺もだよ」
「なら、この後お会いしませんか。答え合わせをしましょう」
「いいね、そうしよう」




