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数日後、学校に再び五十嵐が現れた。
「先日はご協力ありがとうございました。この度は深夜さんにあらぬ疑いをかけてしまい申し訳ありません」
「それを言いにきたんですか? わざわざどうも…」
応接室。深夜とリリアンとの三人でまた話は行われていた。アリバイが証明されたことで疑いが晴れたことをわざわざ報告にきたという。本当に律儀な人だ。
「捜査は大丈夫なんですか?」
「今日は捜査も兼ねているんです…さらにご協力していただきたいことがありまして」
五十嵐の話によると、殺された津幡亜紀の周辺を洗ってはいるものの、男性経験が豊富だったという点を除くとほとんど事件に繋がりそうな事象は見つかってこないという。身内や友人の話から、何人か過去の交際相手には辿り着き話を聞くことができたが、いずれも犯行は不可能だったし、心当たりもないという。
「最後に津幡さんにお会いしていたのはどうやら深夜さん、貴方みたいなんです。そのとき、津幡さんに何かおかしな様子はありませんでしたか?」
「…おかしいっちゃ、おかしかったですけどねぇ…」
「?」
「あいつ、高校時代付き合ってたときはそんなことなかったんですけど、この間会った時は、なんというか、俺だけしか見てなかったというか…他のものを意識的に遮断しているように見えたんです。それに、やたらよりを戻したがってる感じだった」
「ほう…」
「…あの、こっちも一つ質問してもいいですか」
「お答えできる範囲であれば」
「あいつこの間会ったとき、息子がいるって言ってたんです。それ、ホントなんですかね? ホントなら、今どうしてるんですか」
「あぁ…そうですね。息子さんが一人。今は津幡さんのご実家の方にいるそうです」
「…そうですか」
「私からは、以上ですが、そちらは」
「いえ、何も」
「では、名刺を渡しておきますので、また何かありましたら、ここに連絡してください」
「あんな思いしたのに、子供の心配するなんて、深夜も相当お人よしだな」
「津幡に何かあったとしても、その子供は関係ないだろ」
五十嵐が帰っていったあと、二人は職員室の水道で、出したお茶の片付けをしていた。
「…誰がそんなことしたんだろうな…」
「さあなぁ。そういうのは警察に任せようぜ」
「警察といえばよ、あの五十嵐って人、ここのこと、よく知らないのかな?」
「え?」
「お前なんかすげぇ世話になってるじゃねぇか。俺もだけど」
「あー、そういえば」
「まぁわざわざ話も出さないか。でも、また花神楽か、って内心うんざりしてたりしてな」
「ありえるなぁ」




