ブラとふんどしとマシンガン
突撃してきた兵士たちを十秒とたたずに叩きのめすと、お爺さんはブラを額に巻きました。
「見よ! これこそが萌えの頂点! エロスなり!」
いつの間にかギャラリーができています。その中から
「あの老人、ブラを鉢巻代わりにするとは……これが日本の新しい文化か。勉強になる」
「ふんどしも侮れぬ! あれが本場、日本風のファッションというわけか」
と感嘆の声が上がります。この国の国民はどこかネジ四本分くらいずれているようです。彼らは日本国のスタンダードではないことを教えてくれる人がいないことが残念です。
「おのれッ! 変質者め! 国防軍隊長の名に懸けて貴様らを」
と隊長が言いかけたところで
「お待ちなさい」
と人当たりの良さそうな老婆が間に割って入りました。
「だ、大統領……? こいつらは間違いなく侵略者です! エイリアンです! 地球外生命体に違いありません!」
「お黙りなさい。我が国は『人権の国』を標ぼうしているはずです。そのことを思い出しなさい。客人は外国人であれ宇宙人であれ、変質者であれ手厚くもてなすのが我が国の流儀です。さあ、彼らを迎賓館にお連れしなさい」
大統領と呼ばれた老婆はぴしゃりと隊長に言い放ちます。
隊長は一瞬不服そうな顔をしながらも
「イエス」
と大統領に向かって敬礼しました。
「失礼しました、お二方。どうか、我が国の魅力をたっぷりとご堪能ください。そろそろお昼になります。迎賓館ではお二人のお食事をご用意させていただきます」
大統領は笑顔でお爺さんとお婆さんに話しかけます。
が
「ふむ、この国のぎゃるはなかなかレベルが高いようじゃの。ワシは満足じゃ」
「もしゃもしゃ。これがオオムギか。まずいのう」
とやはり人の話を聞いていません。
一分くらいの間を開けて
「おや? そこなババアは誰じゃ?」
と失礼極まりない反応を示します。これだけで国際問題に発展してもおかしくありません。
「大統領ムハトメリシュと申します」
「うむ、ワシはツインテール教団教皇ジジジロス十八世じゃ」
「ワシは天下の美女ババゲロス二十二世じゃ」
大統領は笑顔をひきつらせたまま
「では、こちらにどうぞ」
と案内を始めました。
こんにちは、星見です。
昼間から何を書いているのでしょうか。
さて、三話目です。ゲストハウスでお爺さんとお婆さんはどんな奇行に走るのか?
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……