ジジイとババアと平和憲法
『日本の萌え萌え文化研究所』の前には武装した第二、第三思春期の女性たちが押し寄せていました。もちろん、男たちを物色するためです。研究所内にいる男たちは矢を放つなどして抵抗していますが、グレネードランチャーや対戦車ミサイルを装備した女性たち相手では敵いそうもありません。
「今こそ女性による選別を!」
「イケメンを差し出せ!」
「無駄な抵抗をすると女性人権差別法で死刑にするぞ!」
この絶望的な状況を見て、ポチ青年は愕然としました。どこからどう見ても助かりそうにありません。しかし、彼はあきらめませんでした。萌えを愛する仲間たちです。第二、第三思春期の女性たちからすればブサメンはミジンコ一匹分の価値もないかもしれませんが、ポチ青年にとっては大事な仲間たちです。
ポチ青年は迷わず懐からスタングレネードを取り出しました。
「クソババアども! こっちだ!」
聞きなれていない罵声にキレて振り向いた女性たちはモロにスタングレネードの音にやられ、その場に昏倒しました。
その隙をついて研究所に駆け込むポチ青年。
彼はここで仲間たちと運命を共にする覚悟でした。
お爺さんとお婆さんは破壊の限りを尽くしていました。政府庁舎だろうが、民家だろうが、寿司屋だろうがお構いなしに倒壊させていきます。もちろん、お爺さんとお婆さんにそのつもりはありません。あくまでも二次被害でこのレベルです。
「ババアや、異国の地で行う夫婦喧嘩とやらもまた面白いものじゃのう」
「うむ、ジジイ! 貴様へたばってはおるまいな」
ド派手な空中戦を繰り広げながら息一つ切らしていないのはさすがといったところでしょうか。
その様子を大統領官邸の一室から見ていた大統領補佐官はさすがに迷いました。
「だだだ、大統領! 民家がもうほとんどありません! あのエイリアンどもにすべて倒壊させられました!」
「……耐えるのです。我が国には憲法九十九条があります。九十九条は非戦と不戦を定めています。こちらが戦う意思を見せなければ外敵から攻められることはありません。この思いは通じるのです」
大統領に進言した補佐官の顔は青ざめていました。
「本当に通じるのでしょうか?」
「信じるのです。信じる者は救われるのです! 愛は信じるところから始まるのですから」
その大統領の思いを多分まったく知らずにジジババは民家や施設を木端微塵に破壊していきます。戸惑いなんてミジンコ一匹分もありません。まるで朝飯前と言わんばかりに軽々とつぶしていきました。
「……大統領、このエイリアンどもに愛は通じないと思うのですが」
「それでも信じるのです。いつか、この思いが届くはず!」
なるほど、信じる者は足元をすくわれるということですね、わかります。
大統領は祈りを捧げるために大統領官邸の地下にある礼拝堂に入っていきました。補佐官はジジババの破壊活動をしばらくじっと見ていましたが、やがて意を決したように大統領の執務室へと足を進めました。
こんばんは、星見です。
あと二話くらいです多分。何とか今月中に!
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




