ジジイと青年と美少女天国
異国の地で始まったお爺さんとお婆さんの戦いの一日目は引き分けに終わりました。
お婆さんはお爺さんとポチ青年率いる『日本萌え美少女連合軍』に押され気味でした。そこでお婆さんは秘策を考えます。
お婆さんが第二思春期の女性に肩入れしているのは別にフェミニストだからでも、老女の天下を狙っているからでもありません。何となく面白そうだからです。とりあえず、ヨーロッパにババア万夫不当の歴史を刻んでやれとばかりに暴れる口実ができたからです。そして、ヨーロッパのイケメンを大量に仕入れるためです。逆ハーレムがお婆さんの永遠の夢でした。
お爺さん・ポチ青年たちの連合軍とお婆さんの激闘が始まって二日目。
すでに市街地は半分以上が荒廃しています。どこの世紀末でしょうかと問いかけたくなるくらいにモヒカン姿で棘付きバットを常備した第二思春期の女性たちがハーレーで街中を爆走しています。
それでも、大統領は一切何もしませんでした。
それは彼女たちの人権を守るためです。
女性の人権はこれを侵してはならない。
それはこの国の唯一普遍の真理なのです。
何が起ころうと、男がどれだけ犠牲になろうと知ったことではありません。世の中の光である女性たちを守るためにすべてを捧げると決めた大統領の決意は重いものでした。
そんな世紀末の中をお爺さんとポチ青年は日本刀を片手に駆け回ります。
迫りくる第二思春期の女性たちを躱し、お婆さんを後ろから不意打ちしようと狙います。え? なんで卑怯にも後ろからかって? 正面から突撃する勇気ありますかそこのアナタ。
お爺さんがポチ青年にとらせた戦術はもっぱら人員を動員してのかく乱戦法です。派手に暴れ回らせてお婆さんの気を引いてくれればいいのです。その隙をついてお爺さんとポチ青年がそれぞれお婆さんを狙います。
「つまり何じゃ、そこなオタク男子ども。貴様たちもストレスがたまっておるじゃろう。萌えアニメばかり見てハァハァしとらんと、ちょっとポン刀とか金属バット持って暴れてくるのじゃ。意外とすっきりして病み付きになるぞ?」
というお爺さんのアドバイスがポチ青年の仲間たちの決意を固めました。
そして、彼らは今暴れまくってます。
日頃、第一思春期や第二思春期の女性たちにオタクというレッテルを張られていることに対する憂さ晴らしのごとく
「オラオラオラ! ブチ斬るぜぃ!」
とか
「そこのお前、俺の名前を言ってみろ!」
とか本当に楽しそうに暴れまわっています。
「ぐふふ、良いのう。ポチや、これが日本男子の喧嘩じゃ。よく覚えておくのじゃぞ」
「はい、師匠!」
間違った日本文化を教えないで欲しいと突っ込む人間はここにはいません。
「では、参るぞポチ! 極悪ババアどもを倒し、我らが理想郷を!」
「北欧美少女天国をここに!」
お爺さんとポチはそれぞれお婆さんを倒すために動き出しました。
こんばんは、星見です。
またしても何というタイトルでしょうか。煩悩炸裂といったところですね。
それはさておき、この物語も終盤です。相変わらず私の手元を離れて、お爺さんとお婆さんが好き勝手やってくれています。そういえば、桃太郎は日本に置き去りですが、最終話あたりで出張ってきてくれます。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




