プロローグ
いつものように通学路を歩いてて。
いつものように横断歩道渡って。
ちゃんと青信号だったのに。
「麻希!!危ない!!」
車にぶつかられたような、ものすごい衝撃が体を襲う。
あれ?
すごく体が軽い気がする。
体って、こんなにふわふわ浮いたっけ?
それよりなんでお母さん泣いてるの?
私はちゃんと側にいるじゃない。
お父さんまで、なんで涙が出てるの?
いつも泣くなって言ってるじゃん。
……ん?
おかしくない?
私はここに居るのに、体は目の前にあるなんて。
「麻希…。なんで死んだの?」
お母さんは相変わらず私の体を見つめながら涙を流してる。
今お母さんは何て言った…?
私が…、死んだ?
『認めない…。認めたくない!!』
でも認めないと、この状態は辻褄が合わない。
そうだ。
目の前の体に戻ったら、きっと戻るはずだよね!!
そう思って体に近づいたら
『きゃっ!!』
体がどこまでも持ち上がる。
どこまでもどこまでも。
でもテレビで見るような宇宙に飛ぶのではなく、どこか光っている場所。
『やだ!!
まだ絶対にいきたくない!!』
必死にあがくと、まるで私を操っていた糸が切れたように落下する。
そして私の記憶は途切れた。