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1-1

大陸の南側に位置するフェリシア王国は、南を穏やかな海に、西側と北側を急峻な連山に囲まれた国である。500年ほど前にできたこの国は、最初は海を眺める小さな港湾の都市国家であった。

やがてそれぞれの国が他国と交易するようになると、主要な港湾都市となり、圧倒的な力と財力で周りの小さな国々を飲み込みながら領土を広げた。西側と北側は連山の頂まで広がり、東側は強大な帝国との境界まで至って、やっとその膨張を止めた。中には血を見る併合もあったが、多くがその財力に飲み込まれる形で従属した。それが、50年前の話である。450年もの間、膨張を続けたこの国は、継ぎ接ぎだらけであったが、豊穣をもたらす国土と連山から採掘される様々な鉱物により、国民は総じて食うに困ることがない生活を送っていた。


ルシアス・ステラ・フェリシアは、この国の第12王子である。

とんでもない事が起きない限り、王位継承権争いにはかすりもしない立場であった。それ故、周りからも期待されることなく、幼馴染の二人と共に伸び伸びと幼少期を過ごし、将来は何処かの公爵や伯爵あたりに婿入りする人生なのだろうとぼんやり自覚していた。王族としての価値は、その程度しか無かった。


ところが、その「とんでもない事」が起きたのである。始まりは、第3王子だった。何もないところで躓くようになり、走れなくなり、起きる事ができなくなった。御殿医が診察するも原因が分からず、様々な薬草や温浴等の治療を施すも症状は悪くなる一方だった。果てには、祈祷まで行ったがどうにもならず、とうとう息をすることもままならなくなってしまった。

そんな中、第2王女も躓くようになってしまった。間を置かず、次々と王子、王女が同じ病に倒れ、そして皆帰らぬ人となった。僅か5年足らずの話である。

この国は男女関係なく、上から王位継承権があり、上から順に第1王子、第2王女と定められる。

第1王子から第12王子まで、第5王女を除く間の9人が星となってしまったのである。あまりの惨事に、「王家の呪い」と囁かれ、この国は滅ぶのではないかと市井でも大変な噂になっている。


ルシアスにとって、兄弟姉妹はご尊顔を拝する程度であり、意味のある言葉を交わした記憶はなかったので、悲しくはあるものの、その程度であった。彼らは皆、10代で発症し、成人するまでにこの世を去った。自分もそのうち何らかの症状が出るのだろうと悲しんだのが15歳、人生に後悔がないように色々楽しんだ16歳、まだ生きていることに感謝しながらさらに人生を楽しんだ17歳、症状が全く出ないことに疑問を持ちながらも人生を謳歌した18歳、これが最後の年と羽目を外した19歳。

そして幸せな事に、20歳を迎えたのである。

第1王子とルシアスと、話したことは無い第5王女の3人が20歳を越えて、健勝に過ごしている。とても幸せな事である。


しかし、ルシアスは後悔していた。

19歳になった1年前の自分が恨めしい。もっと真面目に国政を学んでおくべきだったと今更ながらに猛反省し、20歳になったその日から王族に必要な教養、知識を叩き込んだ。正確には、半年経った今も叩き込み中である。言うなれば、今のルシアスは外見のみがそれらしく見えるハリボテ王子である。


何番目の喪に服しているのかも分からない、そんな中、ルシアスは第1王子に召喚されたのだ。


ルシアスは幼馴染の護衛を従え、執務室の扉の前に立った。そして、その重厚な扉が開いた。

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