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prologue

閉じた瞼から日差しが降り注ぐのを感じる。木々の枝が風に揺れると、頬に触れる風と共に瞼越しに光が瞬く。木々の葉が揺れる音と共に、シャキシャキと小気味良い音が耳元で聞こえる。その音に眠気を誘われる穏やかな午後。


「これでよろしいかと。」

理髪師が声をかける。


光に目を慣らしながら、ゆっくりと目を開ける。そこには、東屋に差し込む柔らかな光の先に美しく刈り込まれた緑の芝生と、さらにその先に荘厳な佇まいのアルブス城がそびえ立つ。


「ありがとう。気持ちもすっきりしたようだ。」

生まれてから今日まで、肩にかかる程の長さにしていた銀色に輝く髪を頬にかかる程度に短くしたのだ。それは、今までの自分との区切りであり、新しい世界への第一歩としての、ちょっとした儀式のようなものだった。

「さて、では向かおうか。」

椅子から立ち上がると、感無量の顔をした理髪師が最後の仕上げにブラシで服を払う。側に控えていた幼馴染である護衛が動き出す。

歩き出すと共に、その少し後ろを護衛が付き従う。


周りに人がいなくなると、護衛がつぶやく。

「これからは、ありがとうなど容易く声をかけてはいけないと思う。立場が変わるのだから。」

「そういうロイだって、勝手に私に話しかけているじゃないか。発言を許可した覚えはないぞ。」

いつもの様にふざけながら答える。

「そうだな。私も態度を改めないといけないな。

いや、改めます。今回はご容赦を。」

真面目で堅物な幼馴染は、真剣な顔だ。

「これから荒波に揉まれないといけないんだ。ロイといる時は今まで通りにしてほしい。そうじゃないと、頑張れそうにないよ。」

承知したと幼馴染が返す。


「これから、どうなるんだろうな。」

心の中にあるぼんやりとした不安がつい口に出る。

「わからないが、私たちにできることをやっていこう。」

相変わらず、幼馴染は前向きで元気をくれる。

「そうだな。未来が明るいといいな。」


そんな事を話しているうちに、アルブス城の扉に着いてしまった。


心の中でつぶやく。

「さあ、開幕だ」



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