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六本木の夜は、いつもより濃く淀んでいた。
ネオンの光がビルのガラスに反射し、地面に赤と青の血のような染みを落とす。
黒澤メイは、クラブ「エクリプス」の裏口に立っていた。
黒いジャケットの襟を立て、短いスカートの下で冷たい風が素肌を撫でる。
下着はない。
今夜は、必要ない。
21時ちょうど。
三ツ木ミミが息を弾ませて駆け寄ってきた。
茶髪が汗で張り付き、頰が赤い。
「メイちゃん! 遅れてごめん!
リナがセキュリティのファイアウォール厚すぎてさー、ちょっと時間かかっちゃった!
でも、もう全部ループ済みだよ!」
すぐ後ろから、高本リナが静かに現れる。
眼鏡の奥の目が冷静に光り、黒ストッキングに包まれた長い脚が、ヒールの音を響かせる。
彼女は無言で頷き、ドアの電子ロックに小型デバイスを当てた。
カチリ、と小さな音。
扉が開く。
最後に、茅ヶ崎マヤが優雅に歩み寄った。
長い黒髪を指で梳きながら、唇を曲げる。
「ふん。
全員揃ったわね。
それじゃ、始めましょうか。
今夜の主役は伊集院恭一。
あたしが最後の一息を奪ってあげる」
四人は音もなく地下へ降りた。
階段は螺旋を描き、照明が薄暗く、壁に湿気が染みている。
地下三階、VIPルーム。
扉の前で、リナがもう一度デバイスを操作。
カメラが死に、警報が眠る。
メイが最初に扉を開けた。
部屋は広い。
黒と金の内装、巨大な円形ソファ、中央にガラステーブル。
伊集院恭一はソファの奥に座り、葉巻をくゆらせている。
銀髪が照明に輝き、目は冷たい。
周りを囲む護衛は二十三人。
黒スーツに銃、耳にインカム。
全員、殺気立っている。
伊集院がゆっくり顔を上げた。
「…誰だ」
メイは答えず、中央へ歩み寄った。
ヒールの音が、部屋に響く。
護衛の一人が銃を抜く前に、彼女は右足を高く上げた。
スカートが完全に捲れ上がり、白い秘部が露わになる。
一瞬の静寂。
シュッ――
黄金色の奔流が弧を描き、伊集院の顔面へ直撃。
液体は額から頰へ流れ、皮膚が即座に白く泡立ち、ジュッと溶け始めた。
「ぐあぁぁっ!?」
伊集院が絶叫し、立ち上がる。
だが、すでに遅い。
メイはもう一度足を上げ、連続で放尿。
今度は胸へ。
スーツが溶け、肉が剥がれ落ち、内臓が覗く。
伊集院の体が崩れ、ソファに沈み込む。
護衛たちが一斉に動き出した。
銃口がメイに向く。
だが、そこにミミが飛び込んだ。
「えいっ! みんなー、こんにちはー!」
彼女はくるりと回り、スカートを捲り上げ、尻を突き出す。
ブシュッ、ブシュッ。
黒褐色の毒便が扇状に飛び散り、五人の護衛の顔と胸に直撃。
触れた瞬間、皮膚が腐り、肉が溶け、骨が露出。
悲鳴が部屋に響き渡る。
「臭っ! でも、効くでしょ?
あたしのスペシャル便、今日も絶好調♪」
リナが静かに動いた。
長い脚を鞭のように振り、一人の護衛の首に絡みつける。
ストッキング越しに、筋肉が浮き上がる。
彼女は体重をかけ、脚を締め上げる。
骨の軋む音。
男の顔が紫に変わり、舌を出し、動かなくなる。
「…無駄な抵抗は、時間の浪費」
マヤは優雅に歩み、混乱の中心へ。
一人の護衛が銃を構えるが、マヤはスカートを広げ、男の顔の上に腰を落とした。
「んっ…ふふ、暴れないでね」
スカートが頭を覆い、柔らかな尻が顔を押し潰す。
男はもがくが、マヤは両手で頭を抱え、体重を全部かける。
息ができない。
肺が焼けるような苦しみ。
十数秒で、動きが止まる。
部屋は地獄と化した。
メイは立ったまま、片足を上げて次々と放尿。
弧は正確で、護衛の喉や目を貫く。
溶けた肉が床に落ち、焦げた臭いが広がる。
ミミは笑いながら跳ね回り、尻から毒便を浴びせ続ける。
一撃で三人、四人をまとめて崩壊させる。
リナの脚が、次々と首を折る。
マヤは一人ずつ、優雅に座り込み、窒息させる。
二十三人の護衛は、七分で全滅した。
部屋の中央に、伊集院の半溶けた死体が残るだけ。
メイはゆっくり足を下ろし、スカートを直した。
髪から滴る汗と、指先から滴る黄金の残り。
彼女は静かに伊集院の胸に黒いカードを置いた。
《Deadly Dymes》
《完了》
ミミが息を弾ませて駆け寄り、メイの腕に抱きついた。
「やったー! 完璧すぎ!
メイちゃんのピュアゴールド、今日も最高だったよ!
あたし、興奮しちゃった!」
マヤが髪をかき上げ、ため息をつく。
「まあまあね。
でも、ちょっと汚すぎるわ。
あたしの優雅さが霞んじゃうじゃない」
リナが眼鏡を直し、静かに言った。
「護衛の数は想定内。
セキュリティも完璧だった。
報酬は明日、ケン経由で振り込まれる。
一人1125万。
おめでとう」
メイは無言で頷いた。
胸の奥で、数字が響く。
1125万。
これで、母親の治療費が半年分。
アパートを解約して、都心のマンションへ。
まだ足りない。
もっと、もっと。
四人は部屋を出た。
背後で、溶けた肉の臭いが残る。
エレベーターの中で、ミミがメイの肩に頭を乗せた。
「ねえ、メイちゃん。
これからもずっと一緒に殺そうね。
3Mに、リナも加わって、4Mになっちゃう?
ふふ、楽しそう!」
メイは小さく息を吐き、初めて、わずかに唇を緩めた。
「…ああ」
外へ出ると、夜空に月が浮かんでいた。
冷たい光が、四人のスカートを照らす。
まだ、頂点は遠い。
だが、一歩、また一歩。
黄金色の奔流が、彼女の体の中で静かにうねっていた。
Leonard Damionの影は、まだ届かない。
だが、近づいている。




