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いろいろな短編  作者: 北上ユキ
7/8

古い家

 私には、兄がいました。

 いつも私を、一番に考えてくれたひと。

 私が、わがままを言っても困った顔をして、叶えてくれたひと。


 父は、私を守ってくれたと。

 母は、神さまが兄を手放したくなかったと。


 たぶんそうなのでしょう。

 兄はそんな人でした。


 だったら、私が……もう一度、わがままを言えば帰ってきてくれるのでしょうか。


 古くて朽ちた家。

 森に飲みこまれかけた家。

 もう誰も、住まない忘れられた家。


 でも、ここが私と兄の生家です。

 ここには、兄との記憶が確かにあります。


 忘れなければ、いけないのでしょう。

 忘れなければ、私の中で兄は生き続けるのでしょう。


 でも……それは。


 私は兄の妹です。

 優しくなければいけない。


 あの人の妹です。

 強くなければいけない。


 きっと、兄は無理しないでと止めるでしょう。


 でも私は……あの人が、誇りを持って逝けるように。


「さようなら。兄さん」


 私は、古い家に別れを告げて

 私を生きるために帰ります。

 

 

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