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愚者の王
錬金術は技術ではなく、思想だ。
それも善意に満ちた……いや善意があった筈だ。
だが、世界とはそんなものだ。
善意が悪意に。愛が否定に。理想が堕落に。
ある時、ひとりの愚者が思った。
愛が憎しみになるなら、きっと人間は素晴らしい存在だ。だって人間は死を歓びに変えられるのだから
そして、愚者は進み始めた。
愚者ゆえに歩みは遅く。迷い。願い。否定し。気づき。愛した。
きっと、人間とはそんなものだ。
低きに流れて腐れ堕ちる。
それが、道理で真理の理屈……
だが、稀に高みに流れて腐れ生きる者もいる。
問題は、それは果たして
どこまで……いつまで
人だったのかという話。
そう、これは人は
どこから来て、どこに行くかという
簡単で退屈な話。




