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いろいろな短編  作者: 北上ユキ
1/8

剣士の手解き


 剣先が伸びる。


 そうだ、剣は腕で振らない。

 肩から紐が伸びてその先に剣がある。


 足で力を抑え、腰で力を伝え、肩で力を操作する。


 腕は紐だ。手は柄を握るだけ。切るのは肩と背中だ。だから強い剣士は胸が厚い。腕が隆々と張った剣士の刀は、動きが悪い。


 対する剣士5人は、太々とした腕を持っていた。


「さて、勝てるか?」

 自分に問うた。

 師は言った。

「勝つ負ける。生と死。全ては同じ。流れに任せ、流れを操れ」


 思い出すたびに、想いを重ねる。


「全く、意味が分からん!」


 怒りに任せて、剣を振るう。

 ただ重ねた技は、力に任せない。

 力を操り剣先を伸ばす。


「ひとつ」

 剣先1寸が、1人目の喉に潜る。喉を裂き、気管に入った血は、肺を溺れさせた。


「ふたつ」

 下から上に、剣先が走る。脚の内側を刃が撫で、太い管を切った。血が吹き出し2人目がくたりと倒れる。


 一瞬でふたつの命が尽きた。

 残り3人は未だ理解できない。

 力が違う。速さが違う。技が違う。何より覚悟が違う。


 初めから決まった勝負だった。


「死ぬか。逃げるか。覚悟を決めるか……好きにしろ」

 どれでも構わない。俺はただ切るだけだ。



 

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