異世界での当たり前の暮らし
目の前には大きな看板がありそこには「ダイソンの鍛冶屋」と書いてある
そういえば気が付くと身体の自由がもとに戻っている。ここが目的地ということなのだろうか?
多分ヨーグじいちゃんの話から推測するにここが勤務地なのだろう
おそるおそる足を踏み入れるとそこにはガタイのいいおじさんがせっせと動き回っていた
「おはよう、キネラ」
まぶしい笑顔であいさつをされる
「おはようございます、ダイソンさん?」
たぶん雰囲気的にこの人がダイソンさんだろう、と予想して挨拶を返す
「なんで疑問形なんだ?まぁいい、預かっていたものを届けてきてくれ」
横を見ると切れ味の凄そうな包丁などが名札とともに並んでいた、どうやら研いだりするメンテナンスもこの鍛冶屋では受けているようだ、そりゃあ使い古してすぐ捨てるなんてことはできる庶民はそうそういないだろう
「わかりました!地図を貸してもらえますか?」
届けるといわれても街の全容もわからないので何も場所がわからない
「横に置いてあるだろ?それもってっていいから昼までには頼むよ」
ダイソンさんは見かけによらず気配り上手のようだ、よくみると確かに地図と鞄が置いてあるので丁寧に名札と刃物を布に包んで鞄に詰めていく
「それでは行ってきます!」
街を知るいい機会だしさっさと出かけよう
昼までって言ってたけど店にもだしここに来るまでに時計はなかった、この世界にはまだ時計は普及してないのかな?そもそも存在しないのかな?
預かった荷物は5件ほどだし多分ゆっくり行っても仕事はこなせるだろう
そう思いながら外へ飛び出した
穏やかな陽気だ、今は春なのかな?朝起きたときは少し肌寒さを感じたけど今はとても心地よい気候だ
そもそもゲームの世界に入ってきたのかも正直まだわかっていない、異世界転生というジャンルのアニメや小説は生前にも流行っていたジャンルでたしなむ程度には知っているが、ゲームの世界で生きていくならば時があり季節があるはずだが、そもそもソード戦記の中には時間の概念はあるものの季節までは存在しない
ゲームと同じ世界なら存在しないし完全に似た世界ってことなら季節はあるかもしれない、それは今後生活していく中での楽しみとしてとっておこう
5件の配達を終え、わかったことや気が付いたことをまとめておこうと思う
まずキネラは思ったよりモテるということだ
何を言ってる?と思ったかもしれないが転生前の人生含めてもこんなことがなかったため興奮している、配達は包丁だったり鎌のようなものだったりで男女様々だったのだが、だれからも笑顔で対応され、なんなら常連のお客様なのか「またお願いね♡」と濃厚な視線を向けられたりした。
この世界はヨーロッパ調だしみんな比較的美男美女に見えるかと思ったが、キネラはその中でも比較的イケメンということだ
なんかちやほやされる感覚が恥ずかしい、この感覚を忘れずにいないと顔だけの残念イケメンに精神性が育ってしまう恐れがあるので調子に乗らないようにと自分の中で決意した
次にこの街の規模だ
一番端まで行ったわけではないが鍛冶屋の近くの大通りは中央通りのようなもので、それが中央でクロスして街から外に出る道にそのままつながっているようだ。
外には検問があり何か手続きをしていたので、出るためにはなにか許可証のようなものが必要なのかもしれない時間があったら外にも出てみたいな
街自体は大きな壁で円形に囲まれており、まるで城塞のようだった
こんな特徴的な街なら以前ゲームした際には訪れた記憶がない、ここはゲーム時代には存在しなかった街なのだろうか?なにか歴史の本だったりこの街自体の生い立ちもわかればもう少し思い出しそうだが今のところは不明だ、転生初日?にしてはいい具合に調べられたと思う
そんなこんなで太陽がてっぺんに近づいたので鍛冶屋に向かう
少しお腹がすいてきたので少し細い路地で焼き鳥的な何かを食べながら帰宅する、これは鳥か?なんのタレだ?わからないけどおいしいからOKです
「ただいま戻りました!」
元気よく戸を開けるとカウンターに暇そうなダイソンさんの姿があった
「おぅおかえり、なにか問題はあったか?」
ダイソンさんの仕事に不満がある人はいなかったか問いかけてくる
「みなさん満足そうでしたよ?喜んでいたと思います」
対面で感じたことをそのまま伝える
「そうか!それは何よりだ、キネラは昼ごはんは食べたか?まだなら食べてきてもいいぞ?」
まだお腹に余裕はあるがさっき食べた串焼きで十分だったので断りを入れる
「俺はまだだから食べた後少なくなっている剣とかを補充のために作ってくる、午後は店番頼めるか?商品の金額は全部棚に書いてあるからその金額で売ってくれれば大丈夫だ」
確かによく店内を見渡すと壁掛けの商品やかごに入れられて、雑多にまとめられている商品のところにも〇〇ゴールドなどと記載がある、中にはとても買える人いないんじゃないか?と思うほどの高価な商品まであった、まぁ見世物でうちの鍛冶屋ではこれだけできますよ、と腕を見せつけるためのもので売る気はないものなのかもしれない
そうやって商品をまじまじと眺めているとダイソンさんに声をかけられる
「いつもと同じ品ぞろえなのに何か変なところあったか?」
代り映えしない1日だとしても私にとっては初めての経験だ、だがそれがダイソンさんに疑問を抱かせてしまった
早くこの生活にも慣れないと
「いえ、見直していただけです。店番はお任せください!」
胸をドンと叩いて自信ありげにアピールする
「やけに張り切ってるなぁ、まぁ客が来るかは分からんが任せたな!」
ダイソンさんはそのまま颯爽と外へ出ていく
気ままに昼飯を買い食いしたけど間違ってはなかったことにホッとしつつ、カウンターに座るお客さんが来たほうがヒマじゃなくていいなぁと考えながら午後が始まる




