登場人物・技設定
主要キャラのみの設定を書かせてもらっため、何人かは乗せてありませんが、ご了承ください。
魔法 空気中に存在する魔力と、術者の体内に内包する魔力を混ぜ合わせて術式を描くことによって方向性を決め、解き放つもの。
術者は自身の魔力が尽きれば魔法を使えなくなるため、空気中の魔力をいかに上手く使えるかによって価値が決まる。
……というのが俗説であり、エクセルに限っては完全に例外。彼の魔法に関する能力は込める魔力が多すぎることや、無意識に行なってしまう収束に癖がある以外、全ての面で突出した才能を持っている。おまけに彼自身の保有魔力もバカげたものがあるため、空気中の魔力を使う必要がない。
属性 術式を描く際に必ず必要となるもの。無属性魔法というのは術式を描かず、ただ魔力をそのままぶっ放すだけの代物に過ぎない。当然、威力は属性付きに劣る。
属性は大別して炎、水、風、土、光、闇の六属性だが、これらを混ぜ合わせた亜種属性が無数に存在する。具体例を出して言えば風と水の亜種属性で雷がある、など。
ちなみに治癒属性は水属性に分類されるが、非常に繊細な魔力放出技術が必要となるため専門分野として独立している。
適性 人々が体内に保有している魔力にもそれぞれ属性があり、その属性以外の魔法は使えない。これを適性と言う。無視して使おうとすると、体内の魔力が反発して暴走を引き起こす。
魔導士を志す者はまず適性の段階で結構な人数が弾かれる。魔導士の数が少ないのもこれが理由。
適性を持つ者は大体二つの基本属性を持ち、その二つを重ねた亜種属性にも適性を持つ。もちろん個人差はあり、一つの属性に突出していたり三つ以上の属性に適性がある場合もある。
クリスタル 魔力が極限まで収束することによって作られる物体で、属性によって僅かに色がつく以外は無色透明で水晶のように透き通った結晶。
見た目は色付き水晶とほとんど変わらないが、中に込められた魔力は小さくても膨大。そして一点特化属性の最高級魔法発動体として機能する。
そして中に込められた魔力の密度から、外側からの魔力を全て弾くことが可能。エクセルはその特性を利用して相手の魔法を防いだりする。
エクセルはこれを個人で作ることができ、自由自在に形と属性を変えられる。そしてエクセルの使うクリスタルの剣は内部にあらかじめ術式を刻んだ自分の魔力を込めてあるため、一度だけではあるが魔法剣の媒体にすることが可能。
魔法発動体 魔法を発動する――厳密には術式を描く際に大体の魔法で必要になる基礎部分を肩代わりする物質。主に宝石の内部に件の術式を刻んで使う。
エクセルも魔法学院にいた時はオパールを使っていたが、何度も何度も騒動に巻き込まれて無くしており、特に修業を終えてからは術式を描く速度も上がっている上、何より彼は剣士として動き回るため使わなくなっている。
こう書くと必要ないのだと思われがちだが、これはエクセルが魔法でも剣でも戦える魔法剣士であるがゆえの例外。魔導士一筋を貫くのなら必須となる。魔法でしか決着がつけられないのだから、魔法の発動にかかる時間に関しては死活問題である。
月断古流剣術 通称月断流で呼ばれているエクセルが二年半で修得しようとした流派。全ての剣術の祖となったと一説で囁かれるほどの古い歴史を持ち、代々の継承者たちが改良しながら受け継いでいるため、すでに剣術の領域に収めるには怪しいレベルまで達している。
ちなみに現在の継承者はハルナで、彼女はヤマトを継承者にするつもりであった。エクセルの剣術の才能に関しては期待していないため、エクセルにこの話は持ちかけていない。
月断流剣技 壱刀から什刀まであり、抜刀術の形で扱うものがほとんど。ただし、技量が上がりさえすれば他の武器でも使用可能。エクセルでも弐刀ぐらいならどんな武器を使っても放てる。
壱刀・牙 敵の懐まで入り込み、一気に屈んで放つ下段攻撃。初歩の初歩であり、体の柔軟性とちょっとしたコツさえ掴めば誰でも使用可能。
しかし、威力には侮れないものがあり特に抜刀術の形で放つと、神速の抜刀でなおかつ避けにくい下段攻撃になるので、必殺技にもなりうる。
弐刀・断空 高速で剣を振ることにより真空波を放つ技。月断流剣士が相手になると力不足感が否めないが、数少ない貴重な遠距離攻撃技。癖も強くないので、エクセルは魔法を纏わせる媒体に愛用している。
参刀・陽炎 使用している武器の長さを自由自在に変える、もはや剣技と呼んでいいのかわからない技。だが月断流の中では剣技の扱いを受けている。この辺りから理論はすでに失われているため『考えるな、感じろ』で覚えさせられる。ちなみにエクセルはクリスタルを使うことで自在に刀身を操れるのでほとんど使わない。
四刀・血桜 振り抜いた武器を粉々に砕き、その破片がある程度の追尾機能を備えて敵に襲いかかる技。技が終わると砕かれた武器は元に戻る謎の性質を備えているが、これも理論に関しては失われている。
ただ、何らかの方法で破片を絡め取られると普通の剣士は武器を失ってしまうため、非常に癖の強い部類に入る。
エクセルはクリスタルの武器を使ってこの技を使用する。そうすることによって欠点を補えるからだ。
伍刀・無限刃 剣を振り抜いた軌跡を放射線状に沿うように無数の刃が出現して、使用者の視界に映るもの全てを斬り裂く技。エクセルが修得しているのもこの剣技まで。弱点も癖もなく、対個人でも対多数でも非常に役立つ汎用性の高い技。エクセルは魔法を絡めてさらに強力にして使用する。
陸刀・閃光 一言で言ってしまえば弐刀・断空の強化版。断空の時よりもさらに速く抜刀し、光の如き速さの真空波を生み出す技。月断流遠距離攻撃の中では最速を誇る。遠距離からの牽制にもってこい。
七刀・鳴動 抜刀した際のあまりの速度で斬撃の軌跡に沿って空間に歪みを作り出し、中にいるものを押し潰す技。もはや魔法でも再現できない領域にあるが、月断流の中では剣技に分類される。誰がなんと言おうと剣技。
これの強みは普通の防御では意味がないということで、効果範囲から逃れるか(範囲自体は断空や閃光と大差ない)次元断層でかき消すしか防御方法がない。次元断層を覚えていないエクセルにとっては鬼門にあたる。
鉢刀・黄昏 上段からの斬り下ろしと下段からの斬り上げを超高速で行う技。範囲も小さく、威力もさほど高くはないが、特筆すべき点は次元断層を突破できる点にある。つまり、次元断層破りに特化した剣技。ちなみにエクセルは未習得。
仇刀・天照 輝く光を纏わせた剣を振り抜く技で、これも次元断層の突破に主軸が置かれている。鉢刀の改良版だと思えば良い。そしてここまで一度しか陽の目を見ていない不遇な剣技。エクセルは次元断層も使えないので、タケルが使う機会もない。
什刀・■■ 名称、効果、ともに不明な月断流奥義。ハルナでさえこの技は修得しておらず、どんな技なのかまったくわからない。今後の展開次第では出てくるかも?
什刀偽・大和 エクセルが最終決戦で会得した魔法剣技。全身全霊を乗せた抜刀術で無限刃と鳴動を同時に発動させ、さらに魔法によってそれらの剣速を無限加速することにより、次元も空間も効果範囲に入るものは例外なく斬滅する。なお、空間と次元を同時に斬り裂くため、効果範囲は次元の位相がずれ、避けることすらままならない。
最終決戦後のエクセルはこれを自由に使えるようになるが、威力が高過ぎて完全に殺し合いでしか使えないので、極力使わないようにしている。
月断流天技 月断流に伝わる技なのかどうかも定かではない得体の知れない術。これに関しては完全に感性の問題で、才能がない奴は何度やってもダメ。
空駆 天技の中では比較的楽な部類に入り、月断流剣士はほぼ誰もが修めている。文字通り空を駆ける技。熟達した人間はどんな姿勢からでも使用が可能であり、地上に頭を向けて走ることも可能。
夜叉 脳が処理する情報の中で戦闘に不要なものを削ぎ落とし、恐ろしい集中力で体感速度を引き上げ同時に身体能力も引き上げる技。月断流の中でそれなり以上の剣士が相手の場合は必須となる。まずこれがないとお話にならない。エクセル、ニーナも使用可能。
告死 夜叉の集中力を高める際に殺意を放ち、相手を萎縮させ動けなくさせる天技。夜叉を少しだけ改良した技だが、エクセルの戦う相手に殺気が効くような平和な精神を持った人間がいないので使われる機会はほぼない。
影走り 独自の歩法で直線だけではあるが、夜叉以上の速度で動く天技。直線しか動けないため汎用性が低いと思われがちだが、相手の目の前で急停止してフェイントをかけたり逃げに使用したり相手に体当たりを仕掛けたりと汎用性は高い。
地走 剣で地面をこすり、衝撃波を作る天技。どちらかと言うと剣技に近い特性を持つが、閃光に比べれば速度も攻撃力も劣るため、実用性は低い。だがそれでも断空以上の性能は持っているため、閃光を使えないエクセルは魔法剣の素体にしたりと結構重宝している。
鏡写し 自分とまったく同じ実体を作り出す天技の秘奥。この世でエクセルただ一人が使用可能で、夜叉の速度で作った分身に水属性の魔法で仮初の肉を与えることによって発動する。これはまだエクセルが未熟なのか、はたまたこの天技自体が魔法の使用を前提として存在するのかは定かではない。
鏡削り 天技・鏡写しの応用版で、腕や足などを作り出す。一部だけなので消耗も少なく、なおかつ自分の体の何処かであれば自在に作れるため、いくつも腕を作れば同時に全方位攻撃も可能。鏡写しと同じくらい汎用性は高い。
次元断層 神速で抜刀することにより次元の歪みを作り出し、そこに攻撃を向かわせ全てかき消すという究極の防御天技。月断流同士の戦いでこれを使えると、戦いが一気に技術の凌ぎ合いから思考の読み合いの頭脳戦になる。
欠点らしい欠点もなく、強いて言うなら抜刀術の形でしか放てないことくらい。倒すには抜刀した直後の隙を狙うか、次元断層破りの技を使うよりほかない。
エクセル
今作の主人公で題名の象徴でもある魔法剣士。容姿はダークブラウンの耳にかからない程度に伸ばされた髪と、優しそうな光を宿すブラウンの瞳で構成されている。眉目秀麗と騒がれるような華美な容姿ではないが、どこか温かみのある優しい顔立ちをしている。
十歳の頃に村をタケルによって焼かれ、その際に村の記憶をほとんど失っているなかなかキツイ過去を持つ。それからは自分を拾ってくれたヤマトについて旅をし、十五歳の時にティアマトへ入り十七歳で出る。当初は魔導士として生きるか迷っていたのだが、ヤマトとの死別を切っ掛けに魔法剣士の道を志す。
そしてハルナのもとで二年半の修行を積み、立派な魔法剣士となった。服装は濃紺のローブの下に革の鎧を着込んだ軽装。
魔法に関しては悪魔的としか言えないほどの才能と魔力を持ち、世界でただ一人魔力の集合体であるクリスタルを単独で作り出せる能力がある。後にそれらが異体からの侵略に対抗するために星が与えた力であることが判明する。
性格は至って温厚で初対面の人には礼儀正しく、友人たちの間でも砕けた言葉は使うが、穏やかな態度は崩さない。基本的に仲裁役やツッコミ役に回ることが多い。思慮深い面も多々あるがそのために考えてもわからない、しかし知っていないと命に関わるようなヤバい疑問に対し、なかなか開き直れず悩み続けてしまう悪癖がある。
だが、一方で自分の決めたことや誰かを守ることに関しては誰にも譲らないほどの意志の固さを誇り、自分の中にある『一度決めたならやり通せ』という信念だけは絶対に曲げない。
温厚であまり人と衝突したがらず流されることが多いため、ヘタレのように思われがちだがいざという時の決断力は高く、いつの間にか物事の中心にいることが多々ある。
また、理不尽慣れしているため自分に関することでは滅多に怒らない。彼が本気で怒る時は兄ヤマトを貶された時か、自らの大切にしているものを汚された時くらいだ。
戦闘に関しては魔法と剣の両方を使用するオールラウンダー。クリスタル生成能力も備えているため、ありとあらゆるレンジに対応できる。だが、遠距離になると魔法での攻撃しかできず手加減が難しいため中・近距離が得意。
またほとんどの戦いで格上の人間やモンスターと戦ってきたため、危機察知能力と死中に活を見出す能力は卓越しており、どんな状況でも決して諦めることはない。
……こうして書くと最強のように思われるが、彼の立ち向かっている相手がそれ以上なため格下に見られがち。今後の彼の戦いに余裕があるものなど一切ない。
現在、ロゼからの告白を受けたことで自分の想いがどこにあるのかを自覚。ニーナと一緒に笑い続けるために戦う。
異体討伐後、どさくさにまぎれてニーナに告白されてしまった返事をする。そして幼馴染から恋人へと変わったニーナと一緒に目的も何もない、自由気ままな長い旅に出た。
ニーナ
今作のメインヒロイン。そしてエクセルの幼馴染でエクセルの幼少時代を知る唯一の人間。幼馴染であるがゆえに過去はエクセルとほぼ変わらず、ティアマトに入っていないことと村を焼かれた時の記憶を持っていることがエクセルとの差異。
銀色の髪を背中辺りまで伸ばし、瞳もシルバーのややツリ目で強気な印象を与えるが、容姿自体は文句なしの美少女。
性格は気さくで誰に対しても物怖じすることなく話すが、親しい人間には強気な面を見せたり頑固な一面を見せたりする。
しかしタケルに村を滅ぼされたことがエクセル以上に根を張っており、タケルが絡むと残酷な一面が浮き彫りになる。その豹変ぶりは幼馴染であるエクセルですら頭を悩ませるほど。
おまけに何かと不安定な一面を持っており、小さなことではつまづくけど大事な場面では決して迷わず自分で決めるエクセルと違い、一人では立ち上がることのできない脆い部分も持ち合わせている。
だが、エクセルが迷ったり悩んだりしている時、ほんの少し背中を押したり黙って微笑んであげられる本質的には優しい少女である。
旅を始めた当初はエクセルのことも記憶を失った幼馴染と見ており、何かと世話を焼いていたが、いつの間にか立場が逆転。今ではエクセルの方がニーナの扱いで気を揉む状態になっている。
そのことを彼女自身は悔しく思っており、エクセルの世話を見るのは自分だと意気込んでいる状態にある。そのため、エクセルの細かいフォローなどは全て彼女がやっている。
記憶を失っていても前を向いて歩こうとするエクセルのことは少なからず想っており、それはエクセルがティアマトにいた頃も同様だった。そのことに気付いていたからこそ、ヤマトも何も言わなかったのだが。
そしてエクセルとは長い付き合いがあるため、何から何まで彼のほぼ全てを知り尽くしていると言っても過言ではない。
戦闘スタイルはバケモノじみた隠密技能からの奇襲が得意で、隠密に関してはヤマトすら騙せるほどの技量を持つ。そのため、タケルの感知できる範囲外から気配を隠して攻撃すれば一撃で奴を殺せる。しかし彼女自身が奴を正面から下すことを望んでいるため使われることはない。
また、天技・夜叉を覚えておりある程度の高速戦闘もこなす。使用武器は小回りのきく短剣。
ヤマトのことを崇拝の域に達するほど依存しており、彼の死を一番悲しんだ人物。だが、同じく悲しんでいるはずなのに次の日にはいつも通りとはいかないまでも立ち上がったエクセルを見て自分も強くなることを決意。そして今に至る。
異体討伐後はエクセルの恋人として、何かと偉い人限定で有名になってしまったエクセルを公私に渡って支え続ける。もっとも、公の場など堅苦しい場所を好まないエクセルの公を支えることは滅多になかったが。
ロゼリッタ・フォン・クーベルチュール
エクセルがティアマトで知り合った学友で、彼にとって一番の親友と言ってもいい人物。愛称はロゼ。
背中の中ほどまで伸ばした太陽のごとく輝く金髪と、苛烈な意志が体現したかのような金の瞳を持つ。容姿、スタイルともに非の打ち所がなく、おまけに性格も非常に良いため男女の人気が高い。表面化してくるのは女性の方だけだが。
何事も白黒ハッキリつけなければ気が済まない性格であり、エクセルとの関係は彼女が一方的に勝負をふっかけたことから始まった。
基本的に温厚で何かに巻き込まれない限り受動的で腰の重いエクセルと、自分からガンガン首を突っ込んでいくロゼは相性が悪いかと思われたが、これが意外とそうでもなくエクセルの学院時代は彼女とともに過ごしたと言っても過言ではないくらい彼女に引っ張られている。良くも悪くもトラブルメーカーでムードメーカー。
また、意外と乙女な一面や他人の恩義に対して非常に律儀な部分もある。そして基本的に面倒見は良い。
エクセルのことを最初は越えるべき壁程度にしか思っていなかったのだが(後々になってそれがいかに無謀なことであったかを思い知る)、付きまとっているうちに彼の隣が非常に居心地の良いことに気付く。腰こそ重いものの、一度腰を上げたら最後まで付き合ってくれる彼の信条はロゼにとって非常に好ましく、また頼もしいものであった。
これに関しては彼の非凡な才能も働き、魔法に関して天才と言わしめたロゼを守れるほどの力量があったことも起因している。
自分が強いことを自覚しており、その自分がピンチになった時にはいつでも助けてくれるエクセルに最初は好敵手としての友情があったのだが、次第に変化して半年もする頃には女性としての愛情を抱くに至っていた。
それとなくアプローチはしていたのだが、清々しいまでに空回りしていた。彼女のアプローチが婉曲過ぎるのと、エクセルの頭の回転が別方向に働いてしまったがゆえの悲劇。
結局告げることのできないまま三年間も離れ離れになってしまうが、見違えるほど強くなって戻ってきたエクセルにとうとう告白する。そしてそれがエクセル自身、どこに思いが向いているかをハッキリと自覚することとなり、結果としてフラれてしまう。
だが、三年以上待ち続けた彼女にとってそれはある意味わかりきった答えであり、現状の再確認に過ぎない。彼女はあきらめず、エクセルを想い続けるつもりのようだ。
ヤマト
エクセルとニーナにとって未来永劫忘れられない人物であり、現在の彼らを形作ったと言っても過言ではない人物。享年は三十二。
エクセルたちの村を滅ぼした張本人であるタケルとは兄弟関係にあり、小さな頃に両親を失ってからは二人一緒に生きてきた。ハルナに目をつけられたのもその頃。
そして剣士としての才能を開花させ地上でも屈指の使い手に育つが、それと同時にタケルが宝刀を持ち出して脱走してしまう。その際に何人か村の人間も殺しており、ケジメをつけるべくヤマトも村を出る。
タケルを追い続けるが、追いつかずエクセルたちの村が滅ぼされる場面を見てしまう。そこでエクセルとニーナを拾い、実の妹や弟に対するように接して見守っていった。
性格は至って大雑把なものだが、タケルに関することとエクセルたちの未来に関しては大人らしい思慮深い一面ものぞかせる。
未熟で迷いを見せることも多いエクセルやニーナと違い、迷うことなく自分の道を進むことのできる完成された人格。英雄の器となるべき人間だった。
だが本人にそんなつもりは毛頭なく、ただタケルへのケジメとエクセルたちの成長を見守ることに心血を注ぎ続けていた。
エクセルとニーナの方向性の違う天才性はヤマトも当然知っており、特にエクセルに関しては成長すれば自分を越えるかもしれないと思っていた。そしてそれは三年後に証明されることとなる。
剣士としての能力は卓越したものがあり、剣のみの勝負で彼と勝負できるものなど世界中見回してもハルナとタケルぐらいのものである。
月断流をほとんど修めているため、全距離オールラウンドに戦うことができる。能力ではほとんどあらゆる面でエクセルを上回る強者。
タケルと剣の勝負をして、あと一歩で勝てるというところまで追い込んだのだが、タケルの持っていた剣の意図せぬ邪魔によって負けてしまう。致命傷を負ったヤマトはエクセルに全ての決着を託し、息を引き取る。
彼の物語はそこで終わってしまうが、その後をエクセルはちゃんと引き継いで終幕まで持っていって見せた。
タケル
エクセル、ニーナ、ヤマトにとって特別な意味を持ち、また彼らの最大の敵として君臨する存在。
元はヤマトと血を分けた兄弟で月断流を学んでいた同門なのだが、いつでも自分より少し上の実力を持つヤマトに嫉妬を抱いてしまい、さらなる力を求めて宝剣を盗んで旅立つ。宝剣自身が意志を持っていることにはすでに気付いていた。
異体の核が用いられた宝剣の言葉に乗せられ、世界を守るためという名目の下でいくつもの村を滅ぼして殺した人たちの骨を魔法陣に使っていった。
だが、皮肉にもエクセルたちの住んでいた村を滅ぼすことが彼の死因に繋がるのだから世の中何が起こるかわからない。
エクセルが十七の時にヤマトと再び相見え、剣を交える。剣の天才であるヤマトとほぼ互角に戦い、それでもタケルの方がわずかに下回っていた。エクセルの絶妙極まりないタイミングでの妨害もあり、負けることも覚悟したのだが剣の助けもあり、逆にヤマトを倒すことに成功してしまう。
その後も異体にとって脅威となりうる星の意志の魔力を宿したエクセルを狙うが、ハルナのもとで修行していたため手が出せなかった。
おまけにヤマトを下してから二年半後のエクセルは見違えるように強くなっており、剣の助けがあっても苦戦するほどになっていた。
最終的に仲間の力を借りたエクセルのもとに敗れ去るが、それと同時に異体も活動を活発化し、その中に取り込まれてしまう。しかし、異体内部で彼はさらなる肉体を手に入れエクセルの前に立ちはだかる。
戦いの最中で什刀に至ったエクセルの前に再び敗れ、今度こそトドメを刺される。
性格はヤマトとはほとんどあらゆる面で対照的で、細かいことにも目がいく几帳面な性格。その割に自己陶酔するクセがあったりとかなりのナルシストでもある。
まとめるとエクセルとよく似た性格をしているのだが、お互いの在り方がまるで違う。
エクセルは根本に優しさがあるのに対し、タケルは全てを自分の為に使う。
そんな彼が唯一尊敬していたのは、剣の師匠であるハルナと兄ヤマトだけであった。
ハルナ
エクセル、ヤマト、タケルの剣術の師匠。月断流の師範である。
切れ長の瞳に背中のあたりまで伸ばされた濡れ羽色の髪が艶やかなクールビューティーな見た目をしているのだが、性格は豪放磊落にして怠け者。必要最低限の家事しか行わず、エクセルたちが転がり込んできたときはこれ幸いと仕事を押し付けまくった。しかも戦闘狂の一面まで持っており、強い人間を見たらまず戦いたくなる。
人間としてダメな部分はかなり多いが、それを全て補ってお釣りが来るほど剣士としての技能は高い。おそらくエクセル、ヤマト、タケルの三人が口を揃えて世界最強の剣士は間違いなくあの人だと答えるレベル。
人外じみた身体能力と剣術、体術を自在に操って敵を屠る戦闘スタイルを取り、総合的な実力はエクセルを上回る。
しかし、攻撃力という点においてだけはエクセルに劣り、なおかつ自分の戦いではないと理解していたため異体の討伐はエクセルに譲った。
エクセルのことは今までとった弟子たちの中でも最も剣の才能が少ないと睨んでいたが、同時に戦う人間としての精神的な部分や、死中に活を見出す才能に関しては高いことも見抜く。剣士としてさほど高い位階には昇らなくても、ヤマトたちを越えるであろう確信が彼女にはあった。
そして見事にタケルを倒し、異体を消してみせたエクセルを彼女は自分と対等に戦える人間に成長したと認める。
……結果として、エクセルとの本気の勝負が彼女の目的となって旅に出たエクセルを追いかけ回すことになるのだが、それはまた別のお話である。
少し燃え尽きて遅くなりました。申し訳御座いません。
ここに乗せてあるのは私自身が考えていた設定ですが、魔法剣技や魔法の名称に関しては乗せてありません。実際、その場で名前を考えるものも多いので、省略させていただきました。
ちなみにエクセルたちの後日談は書くつもりはありますが、そちらはかなり先の話になりそうです。本編を書き終わったら全てのやる気が消えてしまって……。再燃し始めるのにもうしばらくかかりそうです。




