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8話 幹部会

「それでは幹部会を始めましょう」


 今、自分が住んでいる家は二階建てであり、この村で1番大きい家となっていた。

 幹部会を行う2階の一室は、カーテンが閉められ小さな蝋燭をを灯りとし、円卓を中心に置いていた。


「まず、最近信者が多くなり管理が大変になってきました。管理に時間を取られ使徒である私たちの時間が無くなり身動きがうまく取れておりません。前回の会議でも話しましたが、私たちの下に付く者を付けてはどうでしょうか?」


 カーキは続けて現状の問題点と改善点を話賛同を求めるように参加者たちを見回す。


「わしは反対だ」


 すぐに白い髭を多く蓄えたマルトが反対をしカーキは困ったように理由を尋ねた。


「どうしてですか? マルト」


「一部の信者にまだ傲慢な者が混じっている」


「そいつを外せばいいんじゃないか?」


「傲慢な奴は外されたら外されたで、喚き散らすものさ」


「しかし、それだと管理ができません」


 解決策が見つからず苦悩する会話にマドフは簡単に入り込んだ。


「管理をやめよう」


 思わぬ提案にカーキは不意をくちをパックっと開けた。


「管理をやめるですか」


 伺うように尋ねてきたカーキにマドフは優しく答えた。


「管理をしていても何もいいことは起こらない。あと、普通にめんどくさいじゃん。それよりも、大事なことがある」


「大事なことってなんだい?」


 マルトが気楽に茶を飲みながらマドフに聞いた。それに対して睨みを効かしたギドはマルトに突っかかる。


「おい、マルト、マドフ様に対して口が軽いぞ」


「それは失敬失敬」


 中は悪くないがマルトがマドフに対する気楽さにギドは度々不快感を感じている。

 だからと言って互いに足を引っ張ることはしないし、お互いが相手の実力を認めていることをマドフもカーキもわかっていた。


「別にいい。二人こそ堅苦しくないか?」


「いえ、そんなことありません。このように話せているだけで光栄です」

「自分も同じです」


 ギドとカーキは海での一件から一貫して態度を変えない。自分のことを信じて、敬い、信じてくれている。その心酔さは自分が死ねと言えば死んでしまう事も厭わないほどに。


「そうか、まぁ、良い。話を戻そう」


 三人にはこれから先発展のためにより強固な協力が必要となる。これはそのための一歩だ。


「近頃、この村にやたらと出入りしている集団がある」


「おりますね。おかしな気の者が闊歩しているのを見ると手が出てしまいそうです」


 外見はとても強そうには見えないマルトだが偶に交戦的な面が前に出る。それをギドが止めるのがいつもの流れだった。


「手、出すなよ?」


「わかっております」


 外見はとても強そうには見えないマルトだが偶に交戦的な面が前に出る。それをギドが止めるのがいつもの流れだった。


「それで、その変な気をした奴らの情報が欲しい。危険な気がしてしょうがないんだ」


 この世界は前世の世界と同じくらい、いやもしかしたらそれ以上に倫理観に乏しいように思えて仕方がない。今でさえ村が安定しているが宗教を設立当初裏切り者に関して容赦はなく我々に報告する前に滅多刺しにされていた。


「わかりました。直ぐに探りを入れ情報を手に入れます」


「その必要はないよ、そいつらはミセラル教の者だ」


「なぜわかる」


 ギドの疑問は当然のことだった。マルトは普段タバコを吸うか昼寝をしているだけなのだ。


「あいつら、わしの昼寝の邪魔をしよった馬鹿どもだ」


「マルト、話したのか?」


 昼寝を邪魔されたのがそんないも不満だったのか機嫌が悪そうに


「はい。話しました。こちらの情報を取ろうと必死になっておりましたが、とぼけときましたわ」


「ミセラル教は大きな宗教団体ではないですが、村の一部をしっかりと確保していますね。向こうも取り入りたい新たな信者をこっちに取られて苛立っているのかもしれません。引き続き情報収集が必要そうですね」


「だな。俺もあまりミセラル教に関して知らないから考えとかないとな」


 この世界には宗教がいくつも存在している。宗教は最小で家族であり、独自の信仰を持っているらしい。

 多くは村で信仰が根を張り共同体へとなっている。時として、村の宗教が巨大となり世界に影響を与える勢力となったとか。

 自分たちの宗教はまだまだ世界とは戦える可能性がない。気づかれぬまま踏み潰されてしまうだろう。


 カーペットに椅子の足が軽く引っかかってしまうが力を込め後ろへ押し、部屋を出て行った。直ぐに廊下の窓から降り注ぐ光に目を細めてしまうが近頃のベッドが快適になったのか目眩を起こすことなく歩き始めることができた。


「マドフ様、変わられましたね」


「あぁ、まぁ、この土地も初めは酷いものだったからな」


「返す言葉もない」


 ここにきて2年。生まれ変わった自分は、前世との感覚に悩まされていたが、この土地へ来て人間の残虐性はどの世界も同じだとひしひしと感じた。

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